「レールガン」は、火薬ではなく電気によって弾丸を発射します。

SF作品には頻繁に登場してきましたが、最近、レールガンに似た本物の手持ちコイルガン「GR-1 Anvil」がアメリカで市販されることになりました。

開発したArcflash Labs社は、「最強の携帯型コイルガン」と称しています。

目次

  1. 手持ち「レールガン」が市販される
  2. 史上最強の携帯型コイルガンの性能

手持ち「レールガン」が市販される

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=レールガンの仕組み / Credit:Tosaka(Wikipedia)_レールガン、『ナゾロジー』より引用)

電磁気力で弾丸を発射する装置はレールガンと呼ばれます。

レールガンとは、2本のレール上にある金属片に電流を流し、加速させることで弾丸として射出する装置です。

これまでにも軍事兵器として中国やアメリカで大型レールガンが開発されてきましたが、現段階ではどれも実用的ではありません。

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=コイルガンの仕組み / Credit:ZeroOne(Wikipedia)_コイルガン、『ナゾロジー』より引用)

また、これら「レールガン」の他に、コイルガンと呼ばれる装置があります。

こちらはコイルによって磁性体を加速させて弾丸として射出する装置であり、レールガンとは構造が異なります。

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=開発された携帯型コイルガン「GR-1 Anvil」 / Credit:Arcflash Labs、『ナゾロジー』より引用)

新しく開発されたGR-1 Anvilはコイルによって射出する装置なので、レールガンではなくコイルガンに分類されるでしょう。

しかもGR-1 Anvilは携帯型のコイルガンであり、一般的なライフルのような使用が可能。

市販されているため、一般人でも入手できます。

史上最強の携帯型コイルガンの性能

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=ライフル、バッテリー、キャリーケースがセットになっている。 / Credit:Arcflash Labs、『ナゾロジー』より引用)

GR-1 Anvilは、セミオートマチックの高電圧コイルガンです。

コンデンサ充電システムを採用しており、フルパワーで毎分20発、ハーフパワーで毎分100発の発射が可能。

また射出される弾丸速度は、秒速75mです。

弾丸には、直径12.7mm未満の鋼棒であればなんでも利用可能ですが、その場合は自己責任となるため、既定の「標準弾」の使用が推奨されています。

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=鋼棒または「標準弾」が利用可能 / Credit:Arcflash Labs、『ナゾロジー』より引用)

ちなみに銃口エネルギー(銃から発射された弾丸のエネルギー)は、約85J(ジュール)とのことで、これは最上級のエアライフルと同等です。

火薬を用いた「22口径ライフル(140J)」と比較すると半分程度のパワーだと言えますね。

Arcflash Labs社によると、「この非殺傷性がセールスポイントになっている」とのこと。

ただし、「市販されている携帯型コイルガンの中で最も強力かもしれない」とも述べています。

手持ちの「レールガンのような銃」が米国で発売される
(画像=殺傷能力は低い / Credit:Arcflash Labs、『ナゾロジー』より引用)

利用法の1つには、動物への精神安定剤投与が考えられるとのこと。

遠くから安全かつ効率的に、コイルガンで薬剤弾を打ち込めるのです。

現在、GR-1 AnvilはArcflash Labs社の販売サイトで、購入可能。

約6か月待ちですが、3375ドル(約37万円)支払うなら入手できる(国ごとの法律に違反しなければ)でしょう。

提供元・ナゾロジー

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