目次

  1. 犯人は人類。自然災害も必要としない威力
  2. 6度目の大量絶滅は、人類が食い止める!
いま前例のない大量絶滅が進行中! 犯人はやはりアイツだった
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

Point

■現代の大量絶滅について詳細な科学的な評価が行われた包括的レポートが発表された

■現代に起こっている大量絶滅は、自然の大規模な環境変動イベントを伴わない人類活動を原因としたものである

■IPBESは人類活動が原因で絶滅の危機に瀕している生物は100万種に上ると報告し、これを食い止めるための具体的な政策提言を行った

地球がヤバイ。それは近年多くの研究者から発せられるメッセージだ。

特に地球上で今大量絶滅が進行中だと言う話はよく耳にする。しかし、これは散発的な研究報告の中で指摘されるに留まっていた。

しかし、5月7日にこの個々に行われた研究データを全てまとめあげ、「前例のない」勢いで生物の絶滅率が「加速している」事実が発表された。

それは地球サミットを契機として設立された政府間組織IPBESより発表された報告で、450人以上の研究者が参加し、1万5千件にも及ぶ科学報告書と政府報告書を分析したかなり科学的にも信頼性の高いレポートだ。


Media Release: Nature’s Dangerous Decline ‘Unprecedented’; Species Extinction Rates ‘Accelerating’


犯人は人類。自然災害も必要としない威力

いま前例のない大量絶滅が進行中! 犯人はやはりアイツだった
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

地質学の研究では、地球上で少なくとも5度の大規模な大量絶滅が発生していたと報告している。

過去の大量絶滅については、全球凍結、巨大隕石など、劇的な環境変動が地球規模で発生したためと考えられている。しかし、現代ではそんな劇的なイベントを伴わずに、我々人類の活動が原因で大量絶滅が進行中なのである。

IPBESは約10万種に及ぶ生物学者の報告を徹底的に調べ、絶滅の危機に瀕しているまたは絶滅した生物が27,159種に上ると報告している。その内訳は、哺乳類が1,223種、鳥類が1,492種、魚類種が2,341種であり、絶滅危惧種の半分近くは植物であるという。

この絶滅危惧率を全世界の生物種に適応した場合、100万種の生物が絶滅の危機に瀕している計算になる。

これは科学的に評価した上でまとめられたデータ報告で、これでもう環境問題について「それ、あなたの感想ですよね?」とは言えなくなってしまった。

6度目の大量絶滅は、人類が食い止める!

いま前例のない大量絶滅が進行中! 犯人はやはりアイツだった
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

巨鳥モア、ニホンオオカミなどここ数百年で絶滅した動物の話は数多く聞く。昔は見ることのできた動物が、今はもう見ることができない。そんな切ない話が今後も増えるかもしれない。

大量絶滅を食い止めることは実際かなり困難と思われる。

しかしIPBESは130を超える加盟国があり、大量絶滅を食い止めるため、農業、流通、漁業、水資源に至るまで政策への提言が行われている。詳細な調査報告とともに包括的な解決のためのアプローチが試みられているのである。

これまでの大量絶滅は、回避不能な天変地異によって引き起こされてきた。しかし、どうやら6度目の大量絶滅は人類の努力によって回避することが可能なようだ。

地球の危機を救うだなんて、アベンジャーズみたいで素敵やん。

え? マッチポンプじゃないかって? 聞こえない、聞こえない…。

reference: zmescience,環境省/written by KAIN

提供元・ナゾロジー

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