満身創痍ながら、オリンピックはなんとか終了したものの、そのツケは大きく連日の感染爆発で、すでに「制御不能」。また首都圏の医療体制も深刻な「機能不全」に陥っている。

 感染者(陽性者)が1日全国で3万人、東京・神奈川・千葉・埼玉の首都圏で1万人は早晩視界に入って来た。今や主力のデルタ株に加えて政府がその存在を隠蔽していたとされる南米由来のラムダ株が五輪期間中に日本上陸。さらにワクチンの効果に対しても疑問の声が上がり始めている。

 これではもう自主防衛しかない。それで集団免疫状態ができるのを待つしかないということになりそうだ。とにかくこれは簡単に終わらない。「終息」にはあと2年はかかりそうだ。しかし「収束」ということになれば、現在の第5波が最大にして最後のピークという感じではないのか。前述したように1日の感染者(陽性者)全国3万人、首都圏1万人が目処ということになろうか。このピークが「収束」という医療関係者の声は多い。とにかく「陰の極をじっと待つ」ということなのだろう。

 大型商業施設にとっては、今回の4回目の緊急事態宣言の9月12日までの延長で、回復基調気味だった商況もまた振り出しに戻った観がある。

 最近その動向が大注目されたのは、7月から8月末にかけて計18店舗が閉店するアーバンリサーチグループ。同社の2021年1月時点での会社概要によると店舗数約250店舗、年商485億円(2021年1月期)、従業員1500名と記されている。全国250店舗のうちの18店舗閉店だから全体の10%にも満たないが、渋谷パルコ、銀座シックスなど好立地の店舗が多く、「大丈夫なのか?」の声も聞かれている。

 最近の同社の動向を調べてみると、昨年6月中旬に、「7月の商品仕入れをすべて一旦止める」旨のメールを一部取引先に一方的に通知していたと東京商工リサーチのレポートは明らかにしている。この東京商工リサーチによるアーバンリサーチの企業紹介では、2020年1月期は売上高681億7731万円とある。さきほどの自社紹介では、2021年1月期485億円とあるから、わずか1年でほぼ200億円がスッ飛んだことになる。これはかなりキツイ。この取引先へのキャンセルも本来なら下請法に抵触する行為だが、アーバンリサーチ社が資本金1000万円の未上場企業であり、形式的には該当しないが取引先からはかなりの不興を買っていたという。とにかく現在の感染拡大第5波&第4回緊急事態宣言延期を、このアーバンリサーチが乗り切れるのかどうか。逆に言えばこれで「収束」が見えるならどんなことでもするのだろうが、9月にほぼ「収束」しそうとは言うものの、それが仮に長引いたりすると事態はかなり深刻である。アーバンリサーチのことばかり書いたが、セレクト業界ナンバーワンでEC化率32%のユナイテッドアローズですら赤字決算を出して、今期も黒字化が微妙という状態なのだから、推して知るべしということだろう。

 この他最近の動向で注目される企業は、業績が悪化しその立て直しのため創業者中西浩一氏と子息によるMBO(経営陣による企業買収)による上場廃止を8月18日に発表した紳士服専門店のオンリー(東証1部)だ。

 同様の理由で東証1部上場の染色加工のサカイオーベックス(本社:福井市)も3月不成立になったMBOを再び実施すると7月27日に発表している。

 とにかく、第5波感染拡大&第4回緊急事態宣言延長(9月12日まで)の最中になにかとんでもない事態が起きても不思議ではないほど、状況が煮詰まっていることだけは間違いない。くれぐれも無能無策の政府や東京都には頼らず自主防衛の気持ちを忘れないことである。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

【関連記事】
「オニツカタイガー」からファッションと快適性の両面にこだわった新作シューズが登場
「ニューバランス」から90年代のアウトドア小物に着想を得た限定カラーの「992」が登場
「ザ・ノース・フェイス」が独自に開発した防水透湿素材を使用したコーチジャケットを発売
「ミズノ」が高反発ソール素材を搭載したランニングシューズ「WAVE AERO 19」を発売
「ナイキ」から環境に配慮したバスッケトボールシューズが誕生