ハンドメイドにこだわるドイツ・グラスヒュッテの高級時計メーカー“モリッツ・グロスマン”。

同ブランドは2018年3月のバーゼルワールドで、ブランド初となる自動巻きムーヴメント、Cal.106.0のプロトタイプを発表した。そして、その自動巻き機構は半円形のローターが回転するというものではなく、ハンマー型のローターが左右両方向に振り子のごとく振れてゼンマイを巻き上げるというまったく新しいものだった。その機構もさることながらハンマーの造形もグロスマンらしい独創的なものだったこともあり、大いに話題を呼んだことは記憶にも新しい。19年にはこのムーヴメンの製品版を完成させて、“ハマティック”に搭載、販売を開始した。

そんなモリッツ・グロスマンが新たに発表したのは、“ハマティック”シリーズである、“ハマティック ヴィンテージ”のバリエーションモデルだ。

ハマティック・ヴィンテージ(バリエーションモデル)

【なんと世界限定8本】“モリッツ・グロスマン”ハマティックシリーズに、最新レアピースが登場
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

■Ref.MG-003160。K18RG(41mm径)。

【なんと世界限定8本】“モリッツ・グロスマン”ハマティックシリーズに、最新レアピースが登場
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

■Ref.MG-003168。K18WG(41mm径)
【共通スペック】
自動巻き(Cal.106.0)。各世界限定8本。各638万円

ハマティック・ヴィンテージ最大の特徴は、古典的な技法のシルバーフリクションコーティングが施されたクラシカルな文字盤を採用していることだろう。これにより、視認性を確保しながらも、ベルベットのようにきめ細やかな粒子が輝く、見事な仕上がりを見せている。

この伝統的な製法では、銀の細粒と塩を含む粉に少量の水を加え、ブラシで擦りつけることでダイヤルにコーティングを施し、より美しく仕上げるため、事前に文字盤上の汚れを徹底的に落とし、表面を粗めに仕上げる必要がある。シルバーコーティングの前に文字盤のインデックスやロゴ部分には手彫りのエングレービングが施され、そこにブラックラッカーが充填される。その後、文字盤表面に特有の質感が残るよう注意深く研磨が施され、同時に余分なラッカーも取り除かれる。手彫りされたインデックスやロゴはシルバーコーティングされることなくブラックラッカーが残り、輝くようなシルバーの文字盤と美しいコントラストを形成する。

シルバーフリクションコーティングを施した文字盤を酸化や環境の変化による影響から守るために、表面にはさらに保護コーティングがかけられているのも、見逃せないポイントだ。
これらの行程はすべて、手作業で行われており、熟練したスキルと、経験を必要とし、それらの技術を習得しているのは、現代においてわずかな職人のみとなっている。

19世紀にモリッツ・グロスマンが製作した懐中時計にインスピレーション得たハマティック・ヴィンテージは、細く繊細なローマンインデックスが印象的。1875年に使われていた“M. GROSSMANN”のロゴがクラシカルなデザインを強調し、繊細な梨型に手仕上げされ一本ずつ直火でブラウンバイオレットへ焼き戻された針が視認性を高めている。

【なんと世界限定8本】“モリッツ・グロスマン”ハマティックシリーズに、最新レアピースが登場
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

また、搭載されているムーヴメントは、細部のパーツまで丁寧に仕上げられた振り子式自動巻きキャリバー106.0。このムーヴメントは、ラグビーボールの形をしたハンマー型ローターが、腕の動きによって左右に振れると、二つのラチェットレバー(切り替えレバー)にそれぞれある爪がハンマーの基部の下にある2枚の巻き上げ車の一方と噛み合い、それを押し回すことにより中間車を介して香箱のゼンマイを巻き上げるという仕組みだ。
つまり、ハンマー型ローターが左に振れた場合は左側の巻き上げ車と爪が噛み合い、その歯車を押し出して最大で約13歯分左回転させる。右に触れるともう一方の右側の歯車と爪が噛み合い、右に回す。もちろん片方の爪と巻き上げ車が噛み合うと、もう一方は外れる。逆もまた同様だ。常にどちらかの爪が巻き上げ車と噛み合う設計とすることで、切り替え時に起こりやすい不動作角のロスを限りなく少なくすることに成功。わずかに5度の振り幅でも効率よく巻き上げを行うことができるという。

本バリエーションモデルでは、18Kローズゴールドとホワイトゴールドケースの2種類が用意されている。先進的な技術と伝統的な技法が融合したことで誕生した、世界限定8本のレアピースをぜひチェックしてもらいたい。

【問い合わせ先】
モリッツ・グロスマン ブティック
TEL.03-5615-8185

文・川田健人(編集部)/提供元・Watch LIFE NEWS

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