目次

  1. 小さなチームは「新たなアイデア」を生み出す
  2. 研究の重要性はチームの規模と無関係
斬新なアイデアを生むのは9人以下の「少人数チーム」であることが判明
(画像=『ナゾロジー』より引用)

Point
■過去50年間の研究や特許について分析をおこなった結果、「9人以下」の小さなチームのほうが斬新なアイデアを提供しやすいことが分かった
■逆に「10人以上」の大きなチームは、既存のアイデアをブラッシュアップすることが得意であると判明
■いずれにせよ研究の重要性に差はないため、資金援助などが適切な配分でおこなわれることが望ましい

画期的なアイデアでブレイクスルーを生み出すためには、「少人数のチーム」が理想的であることが「3人」といった少人数で実施された研究によって示されました。

Large teams develop and small teams disrupt science and technology

小さなチームは「新たなアイデア」を生み出す

科学におけるほぼすべての分野で、より「大きなチーム」を組織することが一般的になってきました。この傾向は、研究の分野の専門化が進んだことや、コミュニケーション技術の発達による影響が大きいといえるでしょう。端的に言えばこれは、より複雑な現代の課題を解決しようとするためには、規模の大きな学際的なチームが必要とされているということです。

斬新なアイデアを生むのは9人以下の「少人数チーム」であることが判明
(画像=『ナゾロジー』より引用)

しかし、この流れに疑問を持ったシカゴ大学のジェームス・エバンズ氏率いる3人の少人数チームが、ある調査を実施しました。彼らは過去50年間にわたる、6,500万もの研究や特許、ソフトウェア製品を分析して、どのようにして研究や製品が生み出されてきたのかを評価するための指標を開発しました。

そしてその中で彼らは、ある興味深い傾向を発見しました。分析によれば、規模の小さなチームほど、既存の概念を覆すような新たなアイデアを提供していたというのです。そして逆に、規模の大きなチームほど、既存のアイデアをさらに改善することが得意であることが分かりました。ここでいう「小さなチーム」とは、1~9人で構成されたチームを指し、「大きなチーム」とは、10人以上で構成されたチームを指します。

研究の重要性はチームの規模と無関係

また、彼らは大きなチームの研究であるほどポピュラーで旬なトピックを扱っており、結果的に大きな注目を集めていることも指摘しています。そして小さなチームは対照的に、過去の課題を解決するための研究を多く扱っているため、どうしても注目度は低くなってしまいます。しかし注目すべきは、ノーベル賞を受賞した研究の多くが小さなチームによって実施されていたという事実です。中には当然ながら「例外」も存在しているということです。

いずれにせよ、大きなチームと小さなチームの研究のどちらも重要であることには変わりありません。こうしたサイエンスとテクノロジーの健全な生態系を守るためにも、科学のポリシーは、よりチームの規模に多様性を認めるように、資金をはじめとしたサポートをしていかなければなりません。

提供元・ナゾロジー

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