「たいして欲しくない、必要ないもの」を買ってしまった経験は少なからず誰しもがあるだろう。

オンラインショッピングがこうした傾向に拍車をかけているのは世界共通だろう。米比較サイト「Finder.com」の調査によると、「オンラインで衝動買いをしたことがある」米国の消費者は約2.2億人にのぼり、年間総額177.9億ドルが衝動買いに使われているという。

そして、オンラインを通じた重度の「買い物依存症」は女性よりも男性の方に多く見られ、「毎日衝動買いしている」ミレニアル世代はベビーブーマー世代の6倍にもおよぶ。

「衝動買いや浪費を減らしたい」と思っているにも関わらず、悪習慣から抜け出せずにいる人は、ファイナンシャルアドバイザーなどの専門家が提案する「衝動買いを減らす4つの方法」を実践してみてはどうだろう。

6割以上が月に一度は衝動買い 男性は女性の2倍以上、浪費する

前述の調査によれば。一回の買い物につき平均81.75ドルを使っており、総額は177.8億ドルにのぼる。同サイトが2017年7月、2445人を対象に実施した調査では、64%が「少なくとも月に一度衝動買いをしている」ことも分かった。

少々意外に感じるが、オンラインでの衝動買いは女性(62.5%)より男性 (67.2%) の方が多い。「毎日何かを購入してしまう」という重度の衝動買い依存症率も、男性(11.0%))は女性(4.8%)の2倍以上だ。既婚者(30.9%)が最もオンラインで衝動買いをする傾向が強く、独身者(28.9%)、別居者(25.0%)、離婚者(21.4%)、寡婦(12.2%)と続く。世代的にはミレニアル世代が最も衝動買いの頻度が高く、「毎日衝動買いしている」割合は8.4%とベビーブーマーの6倍に値する。

4割が「買ってから後悔」バーゲン品からタイムシェアまで

まったく買うつもりのなかったものを買ってしまっても、結果的に満足しているのなら救いはある。しかし実際には「後悔している(44.5%)」回答者の方が、「満足している(42.5%)」回答者より若干多い。衝動買いがトラブルを招くことも珍しくはなく、10人に1人が「家族やパートナーともめた」と答えている。

衝動買いで何を買っているのか?

それでは皆、どのようなものを衝動買いしているのだろう。半額、クリアランスなどと聞くと抵抗できない「バーゲン品」、ちょっと小腹が減った、口さみしい時の「ジャンクフード」、数か月後にはホコリをかぶる運命の「エクササイズ・ダイエット器具」、数回観たら買ったことすら忘れてしまうDVD、「TVでお馴染みの、有名人が愛用している」などを謳い文句にした商品など、たいして欲しくもないのに買ってしまいそうなものが多い。

ファイナンシャルアドバイザーなど専門家の証言によると、経済的に余裕のある層にとっては、「新車」「タイムシェア」「ボート」などが、衝動買いの後悔の種となりやすいようだ(The Simple Dollar2017年9月29日付記事)。

ミレニアル世代にとっての最大の浪費は「銀行の金利や手数料」?

ミレニアル世代は衝動買いする傾向が強いが、それで後悔することも少ないという点が興味深い。衝動買いよりも、「銀行の金利や手数料」などを浪費と考えているようだ。デューク大学金融研究所コモン・センツ・ラボの調査によると、97%が「銀行の手数料がもったいない」と答えている。ほかには「毎日のコーヒー」「コンビニでの買い物」「飲み代」「外食」「デジタル購読」などが、過半数のミレニアル世代にとっては衝動買いより後悔する浪費のようだ。

衝動買い防止策その1――予算を決める

原因や金額、種類は異なれど、衝動買いや浪費がすべての世代に定着していることは疑う余地がない。どうすれば衝動買いを避けることができるのだろう。

サイエンティフィック・アメリカン誌は、人が衝動買いや浪費に走りやすいのは週末だと指摘している。そこで週の半ばに週末に使う予算を決めておき、週末はその予算内で過ごすようにする。予算を意識することで、お金を使う時に「本当に欲しいのか、必要なのか」と自分自身に問いかけ、無駄な出費を防ぐ効果が期待できる。

衝動買い防止策その2――冷却期間を置き、「本当に必要か」自分に問いかける

衝動買いする最大の理由として過半数が「今買っておかないと損する、後悔すると感じるから」と答えているが、果たして本当にそうだろうか。購入を決める前に、一度、二度と自分に問いかけてみるだけで、驚くほどすんなりと衝動買いの衝動を抑えられるかも知れない。
欲しいと思ったらすぐに買わず、数日待って自分の要求の変化を観察する。「あんなに欲しかったものが一晩寝たら何の魅力もなくなっていた」ということも珍しくない。ただし数日自問自答して「やっぱり欲しい」と買いに行ったら売り切れていた―というリスクもある。

衝動買い防止策その3――誘惑の種の近づかない

オンラインで衝動買いをしてしまうのならばショッピング関連のサイトを避ける、実店舗で買い物してしまうのならば立ち寄らない、あるいは立ち寄る回数を減らす。シンプルだが非常に効果的な方法だ。「買いたい」と思わせる誘惑の種がなければ、衝動買いも浪費もできない。

衝動買い防止策その4――現金払いで「お金が減る」感覚を意識する

キャッシュレス化は便利な反面、お金の感覚を鈍らせる。特にカード払いはその場で支払った=手持ちのお金が減ったという感覚がない。現金払いならば財布から着実にお金が減っていくので、「こんなに減っている、気をつけよう」と心のブレーキがかかる。

オンラインでカードなどを利用して買い物をする時も、支払った分だけ銀行口座から現金を引きだし、「支払い用」の封筒に小分けにしておくなど工夫してみてはどうだろう。「使った感覚」を忘れないことが重要だ。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)

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