アメリカ東部・バージニア州で現在、半月型の頭を持つヘビのような生き物の目撃情報が相次いでいます。

住民から連絡を受けた同州の野生生物管理局(英: Virginia Wildlife Management Control)の調査により、謎の生物はヘビではなく、アジアからの外来種である「コウガイビル(英: hammerhead flatworm)」と判明しました。

コウガイビルは、地球上で最も不死に近い生物のひとつであり、驚くべき能力を多数持っています。

目次

  1. 切断しても死なず、数が増えるだけ
  2. からだの一部を切り離して「クローン増殖」する

切断しても死なず、数が増えるだけ

扁平動物の仲間であるコウガイビルは、名前に「ヒル」とつくものの、環形動物に属す一般のヒルとは異なる生物です。

バージニアで発見された個体は、全長25〜30センチもあり、ヘビと見間違えるのも無理はないでしょう。

コウガイビルの驚くべき能力は、からだを真っ二つに切り離しても死なないことにあります。それどころか、切断された部分がそれぞれ生命を持って活動を始めるのです。

つまり、1匹のコウガイビルを7つに切り分けたら、7匹に増えてしまいます。

切断しても死なない「不滅の生物」がアメリカで増殖中、”切った数だけ増える”能力を持つ
(画像=切断しても不死身のコウガイビル / Credit: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

さらに、トカゲの尻尾のような「自切能力」もあり、針で地面に固定されても、その穴を大きくすることで脱出できるのです。

開いた穴はわずか数日で完全に修復します。

からだの一部を切り離して「クローン増殖」する

コウガイビルは肉食で、ミミズやナメクジ、カタツムリなどを捕食しますが、人間にはまったく無害です。

食事の際は、半月型の頭からエサを食べると思われがちですが、実は口にあたる部分はお腹辺りにあります。そこから喉のような器官を押し出して、消化酵素を分泌し、ミミズやナメクジを溶かして汁を吸い取るのです。

繁殖も不可思議であり、成体のコウガイビルが尻尾の一部を切り取ってその場を去ります。切り取られた部分からは10日以内に頭が生えてきて、一個体として活動を始めるのです。

交配なしの無性生殖のため、際限なく増えていきます。そのため以前紹介した「クローン人工ザリガニ」のように、自然界で際限なく増えてしまう危険性があるのです。

切断しても死なない「不滅の生物」がアメリカで増殖中、”切った数だけ増える”能力を持つ
(画像=色や模様もさまざま / Credit: dailymail、『ナゾロジー』より引用)

現時点では、驚異的な能力の数々を見せつけられるばかりで、その仕組みはまったく解明されていません。

アメリカには1900年頃、植物の輸入の過程で入ってきたとされており、バージニア州では数十年前から一般に目撃されるようになっていました。(日本にも数種ほど存在)

バージニア州で数が増えている原因はわかっていません。

野生生物管理局は、当面の駆除方法として「塩か柑橘系の油をかけるのが有効」としています。

参考文献

iflscience

dailymail

提供元・ナゾロジー

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