自然を満喫しながら楽しむキャンプやバーベキュー、登山などのアウトドアをさらに充実した体験にさせてくれる飯盒炊爨(はんごうすいさん)。
飯盒で米を炊いたり、ラーメンや燻製などを調理をしたりすることを飯盒炊爨と呼ぶが、はじめての飯盒炊爨が上手くいくかどうか不安に思う人もたくさんいるだろう。
そこでこの記事では、飯盒炊爨の基礎知識や美味しく米を炊く方法、そしておすすめの5つのアイテムを紹介していく。
すでに飯盒炊爨の知識がある人にも役立つアイテムを取り上げているので、ぜひ参考にしてほしい。
飯盒炊爨とは
飯盒炊爨(はんごうすいさん)と飯盒炊飯(はんごうすいはん)の違いがわからない人は多いが、どちらも飯盒を使って野外で米を炊くという意味で使われている。
敢えて区別する場合、飯盒炊爨は米以外の素材を使った調理も行い、飯盒炊飯は米に限定されるという使い分け方になる。
飯盒は昔からキャンパーの間で重宝されてきたアイテムだが、ソロキャンプが流行したことで選びきれないほどの種類が販売されているのが現状だ。
若者の興味を引くお洒落なデザインの飯盒も多く、使用していない時は渋いインテリアとしても活用できる万能アイテムだ。
飯盒の種類
飯盒は、「兵式飯盒」「丸型飯盒」「角型飯盒」「タンブラー型」の4種類に分けられる。
それぞれの飯盒の特徴は以下のとおりだ。
兵式飯盒 | 軍隊の装備品として活用されていた飯盒。そら豆のような形で、登山やキャンプなど本格的なアウトドア向け。 |
丸型飯盒 | 円柱状で、熱が均等に伝わりやすいアウトドア初心者向けの飯盒。洗いやすいが、かさばりやすい。 |
角型飯盒 | 長方形の飯盒で、メスティンとも呼ばれる。小型でかさばりづらく、米を炊く以外にも焼く・煮る・蒸す・揚げるといった調理に対応。 |
タンブラー型 | 丸型飯盒をさらにコンパクトにした飯盒で、スープや煮物の調理に向いている。登山やキャンプでコーヒーを飲みたい場合にも便利。 |
昔ながらの飯盒といえば兵式飯盒だが、ソロキャンプの場合は、荷物がかさばりづらい角型飯盒が重宝されている。
また、飯盒の素材は「鉄」「ステンレス」「チタン」「アルミ」の種類に分けられるが、重量が軽めで熱伝導率が高めのアルミは、初心者から中級者におすすめだ。
飯盒炊爨でできること
飯盒炊爨は米を炊く以外にも、麺類やスープ類、スイーツといった幅広い料理をつくれる魔法のアイテムなのだ。
【飯盒炊爨でつくれる料理の例】
- 炊き込みご飯
- ピラフ
- パエリア
- 牛丼
- パスタ料理
- ラーメン
- 煮物
- 燻製
- 味噌汁
- ポトフ
- 餃子
- プリン
白米より少し手が込んだ料理をつくりたい場合は、鶏肉や野菜を入れた炊き込みご飯がおすすめだ。
また、米だけではなく、パスタやラーメンなどの麺類や、スープ類、そしてスイーツもつくれてしまう万能さ。ただし、商品によって適した使い方があるため、取り扱いには要注意。
飯盒は、停電時に電気やガスが使えない状況になっても、カセットコンロとガズボンベがあれば米を炊くことが可能。
キャンプアイテムは被災した際に活用できるものが多いため、めったにキャンプに行かない人でも飯盒を購入して、飯盒炊爨の知識を身につけておいて損はないだろう。
飯盒炊爨で美味しく米を炊く方法(兵式飯盒の場合)
飯盒炊爨の経験者であれば、焦がさずに米を炊くのが意外に難しいことを理解できるだろう。
では、どうすれば美味しく米を炊けるのだろうか?
はじめての飯盒炊爨で失敗したくない人に向けて、美味しく米を炊く方法を紹介していこう。
1. 飯盒は購入後に自宅で火にかける
2. 米と水の量を正確にはかる
3. 米を30分〜2時間浸水させる
4. 沸騰するまで弱火〜中火にかける
5. 米がお粥状になったら蓋を閉める
6. とろ火にかけて25分間放置する
7. 炊きあがったらシャリ切りをして蒸気を逃がす
1.飯盒は購入後に自宅で火にかける
飯盒を買ったあとにまずしておきたいことが、自宅のガスコンロで火にかけておくことだ。
米のとぎ汁を飯盒の8分目まで入れて、中火で10分〜15分くらい火にかけることで新品にありがちなアルミ臭さを緩和させることが可能。
もちろん買ったあとそのままキャンプで使用しても問題ないが、飯盒炊爨で米を美味しく炊きたい場合はぜひ試してほしい。
2.米と水の量を正確にはかる
飯盒の内蓋や外蓋を計量に使うことができるが、実は商品ごとに誤差があるため注意が必要だ。
米の量を正確にはかるには、デジタルスケールや計量カップを用いるのがおすすめ。自宅で正確にはかったあと、ジップロックに入れてキャンプやバーベキューに持っていこう。
水に関しては、飯盒の内蓋の目印に合わせてぴったり注げば問題ないだろう。
兵式飯盒で米を弱火で炊く場合、米1合に対して水190gを使うとやわらかめに仕上がるため、この基準で水の量を調整して好みの固さに仕上げよう。
3.米を30分〜2時間浸水させる
米をといだ後は、ジップロックに米と水を入れて浸水させて一定時間放置することで、炊きあがりが良くなる。
浸水させる時間は夏の場合は最低30分間、冬の場合は最低1時間を基準としよう。
夏の場合 | 30分〜1時間 |
冬の場合 | 1時間〜2時間 |
春〜秋にかけては、米の温度が上がって雑菌が繁殖しないように、クーラーバックの中で放置するといいだろう。
米の浸水の工程を省いてしまうと、芯まで火が通りづらくなって仕上がりが固くなり、米の甘みも十分に出なくなってしまうのだ。
4.沸騰するまで弱火〜中火にかける
浸水させた米と水を飯盒に移したら、弱火〜中火にかけて蓋をしないで沸騰を待つ。
そして、沸騰が近くなって泡立ってきたらスプーンなどで、米が潰れないように丁寧にかき混ぜる。
かき混ぜることによって、米の温度を均等に上げることができ、炊きムラを減らすことができるのだ。
5.米がお粥状になったら蓋を閉める
米の水気がなくなり、全体的にお粥状になったら蓋を閉めるベストタイミングとなる。
米が飯盒に張り付き始めた頃が、蓋を閉める合図だと覚えておこう。
沸騰時間は10分を基準として、固めに仕上げたい場合は短く調整しよう。
6.とろ火にかけて25分間放置する
蓋を閉めた後は、弱火よりも更に火力が低いとろ火にして、25分間放置する。
常に火をかけていないと飯盒の中が急速に冷めてしまうため、火が消えたらすぐに点火できるように気を配っておこう。
待っている間は、できる限り蓋を開けないのが飯盒炊爨で米を美味しく炊くコツとなるが、初心者で大失敗を避けたい場合には、蓋を開けて状態を確認しよう。
また、炊きあがりを待っている間に焦げた臭いがした場合、おこげが付き始めた合図となるため、すぐに火から下ろす必要がある。
7.炊きあがったらシャリ切りをして蒸気を逃がす
25分間放置することで米が炊きあがるため、すぐに火から下ろそう。
火から下ろしたあとは、蓋を開けてご飯を切るようにかき混ぜてシャリ切りをして、飯盒内の蒸気を外に逃すことでさらに美味しくなる。
シャリ切りをしたあとは蓋を少しずらして空気が入る状態にして、5分待つことでふっくらとした仕上がりになる。
ここまでが、飯盒炊爨で美味しく米を炊く方法だ。
飯盒炊爨に慣れない人は、米と水の量を正確にはかる、そして火加減の調整と火にかける時間を間違えないことが成功のコツとなるだろう。
飯盒炊爨のおすすめアイテムを紹介
飯盒炊爨の基礎知識と美味しく米を炊く方法を知ってもらえたところで、ここからはおすすめの飯盒を5つピックアップして紹介していく。
OYANTEN|メスティン・アウトドア専用4点セット
ソロキャンプで大活躍する角型飯盒なら、OYANTENから販売されているメスティン4点セットがおすすめだ。
熱伝導率の高いアルミ製で弁当箱のような飯盒は、幅9cm・長さ16cm・高さ6cmというコンパクトサイズ。
メスティンの他にポケットストーブとバットアミ、麻布の収納袋がセットになっていて、飯盒の中にポケットストーブとバットアミをしまえるため、荷物がかさばらない。
飯盒炊爨で活用する場合、米を炊く以外にもアミを使って中華まんを蒸したり、タマゴやイカの燻製をつくったりすることができる。
初心者向けのマニュアルも付いているため、はじめてのソロキャンプや手軽にデイキャンプやバーベーキューを楽しみたい人には嬉しいアイテムだ。
メーカー | OYANTEN |
商品名 | メスティンキャンプ用セット |
販売価格 | 2,180円(税込・Amazonより参照) |
形状 | 角型(メスティン) |
素材 | アルミ |
サイズ | 幅9cm×長さ16cm×高さ6cm |
総重量 | 約300g |
容量 | 米2合分 |
付属品 | ポケットストーブバットアミ麻布の収納袋 |
キャプテンスタッグ|林間丸型ハンゴー4合炊き
アウトドア、キャンプ用品を多数販売しているキャプテンスタッグの「林間丸型ハンゴー4合炊き」は、シンプルなデザインのアルミ製丸型飯盒だ。
家族や友人とキャンプやバーベーキューをする際に役立つ4合タイプの飯盒で、熱伝導率の高いアルミ製で、飯盒の底面に程よくつくおこげの風味も楽しむことができるだろう。
米全体に熱が均等に伝わりやすい丸型のため、飯盒炊飯の初心者でも美味しく米を炊きやすいアイテムだといえる。
サイズも外径15.5cm、高さ13.5cmと持ち運びしやすいサイズで、販売価格もAmazonで1,500円以下と安価なため、飯盒炊飯デビューに選んでみてはいかがだろうか。
メーカー | キャプテンスタッグ |
商品名 | 林間丸型ハンゴー4合炊き |
販売価格 | 1,427円(税込・Amazonより参照) |
形状 | 丸型 |
素材 | アルミ |
サイズ | 外径15.5cm×高さ13.5cm |
総重量 | 約360g |
容量 | 米4合分 |
PetriStor|ソビエト連邦製実物・兵式飯盒セット
主にアウトドア用品を取り扱う「PetriStor(ペトルストア)から、ロシア軍空挺作戦部隊VDVが実際に使っていた兵士用モデルの飯盒セットが販売されている。
水筒と飯盒、ボウルの3つがセットになっており、軽量且つ、熱伝導率の高いアルミ製だ。
ハイキングや釣り、狩猟などのアウトドアに適した兵式飯盒セットだが、注目すべきはそのデザインだ。
独特の形や味のある加工が施されており、ロシア軍空挺作戦部隊VDVがその当時に使っていたような見た目で、インテリアとして飾っても映えるだろう。
メーカー | PetriStor |
商品名 | ソビエト連邦製実物・兵式飯盒セット |
販売価格 | 4,250円(税込・Amazonより参照) |
形状 | 兵式 |
素材 | アルミ |
梱包サイズ | 幅18.6cm×長さ24cm×高さ9.9cm |
総重量 | 580g |
容量 | キャンティーン:1.06クォート飯盒:1.06クォートボウル:0.53クォート |
付属品 | ミリタリーポーチ |
スケーター|アルミメスティン飯盒・AFTM8N-A
スケーターが販売している角型飯盒は、スタイリッシュなデザインとカラーリングがポイント。
レッド・イエロー・グリーン・シルバー・ブラックの5種類のカラーが展開されており、容量も600ml・850ml・1,000mlと選択肢が多いのが魅力的だ。
可動式ハンドルが付いているため、アウトドアで使う場合は手に持ちながら調理が可能。ハンドルを使わない時は折りたためば荷物がかさばることもない。
飯盒炊爨だけではなく弁当箱としても使いやすいため、シーズンやシーンを問わずに使い回せるおすすめのアイテムだ。
メーカー | スケーター |
商品名 | アルミメスティン飯盒・AFTM8N-A・レッド |
販売価格 | 600ml:2,904円850ml:3,103円1,000ml:3,240円(税込・Amazonより参照) |
形状 | 角型 |
素材 | アルミ |
カラー | レッド・イエロー・グリーン・シルバー・ブラック |
サイズ | 幅12.2cm×長さ11.8cm×高さ6.1cm |
総重量 | 576g |
容量 | 600ml・850ml・1,000ml |
Boundless Voyage|ミリタリーキャンティーン・チタン兵式飯盒セット
主にチタン製のアウトドア用品を販売する業者、「Boundless Voyage(バウンドレスボヤージ)」による、水筒と2種類のサイズのチタン飯盒がオールインワンになったこのセットは、本格的なアウトドアを楽しみたい人におすすめのアイテムだ。
強度・耐食性・軽さに優れたチタン製の飯盒は、登山者やキャンパーに愛されており、バウンドレスボヤージのこの商品は、ミリタリー感溢れるクールな見た目も魅力的。
水筒とリッドのサイズの飯盒は全て組み合わせて収納ができ、総重量は付属のカモポーチを含めても576gという軽量仕様だ。
登山やキャンプで豪華な飯盒炊飯を楽しみたい場合におすすめだが、機能性が高い分、販売価格は1万円を超える。
メーカー | Boundless Voyage |
商品名 | ミリタリーキャンティーン・チタン兵式飯盒セット |
販売価格 | 13,800円(税込・Amazonより参照) |
形状 | 兵式 |
素材 | 99.9%純チタン |
サイズ | キャンティーン:幅7cm×長さ12.9cm×高さ19cmチタン飯盒1:幅8.4cm×長さ14cm×高さ9.6cmチタン飯盒2:幅8.4cm×長さ14cm×高さ5cm |
総重量 | 576g |
容量 | キャンティーン:1,100mlチタン飯盒1:750mlチタン飯盒2:400ml |
付属品 | カモポーチチタンリッドスチールワイヤー |
まとめ
キャンプやバーベーキュー、登山といったアウトドアで、大自然のエネルギーを体全体で感じながら楽しめる飯盒炊爨。
飯盒炊爨では、米と水の正確な計量と火加減の調整、炊きあがりの直後のシャリ切りなどが美味しく炊き上げるポイントとなる。
米に限らず、麺類やスープ類なども調理できるのが飯盒炊爨の魅力だが、はじめての飯盒選びに悩んでいる人は多いだろう。
飯盒を選ぶ際は、素材・容量・重量・デザイン・機能面といったポイントに注目して、どんな場面で使用するかイメージしながら決めるのがおすすめだ。
お気に入りの飯盒をなかなか見つけられない場合は、この記事で紹介した5つのアイテムをぜひ参考にしてほしい。
提供元・男の隠れ家デジタル
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