目次

  1. 「まばたき」で時間を過小評価
  2. 脳が重きを置く感覚に時間は左右される
目の「まばたき」は時間を止めていた
(画像=Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

Point

■ヘブライ大学の研究により、「まばたき」が主観的時間を過小評価させることが判明

■視覚情報テストでは、まばたきによりインプットされる情報が減少することで時間感覚に影響を与えていた

■研究主任のエイレット・ランドー氏は「脳が重きを置く感覚器官が時間感覚を左右させるのでは」と指摘する

「まばたき」が時間を止める!?

人は起きている間の約1割の時間をまばたきに費やしている。成人で1分間に約20回、1時間に1200回、1年で換算すると9日間(!)まばたきしていることになる。

まばたきの間、視覚情報のインプットが0.5秒ほど奪われるのだが、脳がたくみに情報をつなぎ合わせてくれるので情報の喪失には気づくことはない。

新たな研究によると、まばたきは主観的な時間感覚の経過を一時的に止める効果があると判明したようだ。

研究の詳細は、4月16日付けで「Psychological Science」上に掲載されている。

「まばたき」で時間を過小評価

エルサレム・ヘブライ大学の研究チームは実験によって、「現在進行中の視覚処理」と「主観的な時間感覚」との間には密接な比例関係があることを見出した。

まずチームは視覚テストに22人の被験者を募り、それと比較するために聴覚テストも用意して他に23人の被験者を集めた。

視覚グループには本格的なテストの前に、スクリーンに映し出される「白いサークル図」を見てもらった。このとき被験者は「0.6秒間(ショート)」と「2.8秒間(ロング)」の2パターンでサークルを見る。

その後同じくスクリーンに映し出されるサークルに関して、映写時間がショートとロングのどちらに近いかを判定してもらった。

目の「まばたき」は時間を止めていた
(画像=Credit:digest.bps『ナゾロジー』より 引用)

一方で聴覚グループにも似たようなテストを行なったが、こちらはサークルの代わりに「ホワイトノイズ」と呼ばれるものを使っている。そして両グループともにアイ・トラッキング装置を用いて、被験者の目の位置や瞳孔の直径をテスト中にわたって測定した。

すると視覚グループだけ、明らかに時間を短く感じていることがわかった。

脳が重きを置く感覚に時間は左右される

とくに白いサークルを見ている間にまばたきをした被験者は、時間を過小評価する傾向にあったという。これについて、研究主任のエイレット・ランドー氏は「まばたきの持続時間が時間感覚の過小評価と比例している」と指摘する。

つまり「まばたき」の時間が数ミリ秒でも長くなりインプットされる視覚情報が減ると、主観的な時間感覚はそれに比例して短くなっていたのである。

一方で聴覚グループにおいて「まばたき」は時間感覚に影響しなかった。

目の「まばたき」は時間を止めていた
(画像=Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

ということは退屈な話を聞いている時、まばたきしまくったら時間が短くなるんだろうか?

こうした疑問についてランドー氏は「研究の余地がある」と留保しつつも、「主観的な時間感覚は、脳がより重きを置いている感覚器官に左右されるだろう」と推測している。

要するに視覚に依存して情報のインプットを行えば、「まばたき」が主観的時間に影響を与える可能性は十分にあるというわけだ。

研究チームは現在、視覚以外の感覚が主観的時間に与える影響について実験を行なっているとのこと。まばたきの時間ストップ効果が真実ならば、ドライアイは早めに治したいところ…

提供元・ナゾロジー

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