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人と違って道具を作ることのない野生動物たちは、自らの習性を駆使してたくましく生きています。
空を飛んだり、音波でエサを探したり、猛毒を持ったりなど、習性はさまざまです。
ここでは、その中でも特に「奇妙で面白い習性を持つ動物10選」をご紹介します。
1.ウサギは”うんち”を食べて2度目の栄養吸収をする
健康なウサギは、1日に300個近くのうんちを出しますが、そのうんちには主に2種類あります。
乾燥した堅いものと柔らかく湿ったものです。
この内、柔らかく湿ったうんちは、ウサギが一度に消化できなかった栄養が豊富に詰まっているので、それを食べてしまいます。
こうした軟便は夜に出やすく、もしペットのウサギが夜な夜なうんちを食べていても心配する必要はありません。
2.スローロリスは脇をなめて毒をつくる
パッチリとした目が愛らしいスローロリスは、世界で唯一毒を持つ霊長類です。
彼らは脇の下にある腺から毒素を分泌し、これを舐めとって唾液を混ぜることで毒液をつくります。
この毒液を口に含んだまま敵に噛みつきダメージを与え、致死性もかなり高いです。
多くはこの毒液を自分の子どもに塗ることで、天敵や寄生虫除けにしています。
人でも噛まれたら、命の保証はできません。
3.ナマケモノは1週間に1度しか排泄しない(しすぎると死ぬ)
ナマケモノは一生のほとんどを樹上にぶら下がって生活しますが、トイレをするときだけ地面に下ります。
ナマケモノは消化が非常に遅く、食べ物によっては1ヶ月近くかかるので、週に1回しか排泄をしません。
そのため、1回の排泄量はとても多く、全体重の3分の1が減ることもあります。
また、地上にいるナマケモノほど無防備な生き物はおらず、天敵に襲われたらまず助かりません。
なんと彼らの死因の50%は排泄が占めているのです。
4.寄生蜂はテントウムシを「ゆりかご」にする
寄生蜂(きせいほう)にとって、テントウムシは子どもを育てるために最適な「ゆりかご」です。
産卵前の寄生蜂は、手頃なテントウムシに針を打って麻痺させ、洗脳状態にします。それから体内に卵を産み、3週間後にテントウムシのお腹を突き破って、子どもたちが出てきます。
子どもたちはテントウムシの足の間でマユをつくるのですが、テントウムシはまだ死んでおらず、マユの上に覆いかぶさって、子どもたちを守るのです。
まさに、ゆりかご状態ですね。
5.フグの猛毒は最大30人を殺せる
日本や中国では高級料理にもなっているフグですが、猛毒を持っていることで有名です。
フグ毒は非常に強力で、青酸カリの1000倍と言われており、1匹で最大30人の成人を殺められます。フグ毒(テトロドトキシン)に有効な解毒剤はありません。
驚くことに、フグ毒は体内でつくられるものではなく、食べた物に付着しているバクテリアを溜め込むことで毒にしているのです。
なので、野生のフグほど毒が強く、飼育下だと毒素は弱まります。
6.シャチの趣味は「ジャイアント・キリング」
野生の世界では「自分よりデカい相手は襲わない」が鉄則ですが、シャチは違います。
彼らはエサのためではなく、遊びの一環として、巨大なシロナガスクジラやマッコウクジラ、ザトウクジラを襲うのです。
ときには6トンのシャチが、推定200トンのシロナガスクジラを襲うこともあります。
そんなときは、群れになって静かに忍び寄り、仲間で一気に仕留めます。
ホオジロザメが恐れるのも納得です。
7.フルマカモメのヒナは”油を吐いて”敵を撃退する
フルマカモメという鳥のヒナは、飛ぶことができず、攻撃力もゼロに等しいため、しょっちゅう天敵に狙われます。
ところが、ヒナも黙っていません。天敵が近づくと、胃の中の濃縮された油を吐き出し、天敵に浴びせかけるのです。
この油は体の防水コーティングを奪う性質を持っており、天敵が油を落とそうと川に入ると、浮力を失って溺れてしまいます。
よくフクロウやサギ、カラス、ウミワシなどが、油のせいで溺死しているようです。
8.カクレクマノミは1度だけ性別を変えられる
映画『ファインディング・ニモ』で有名になったカクレクマノミにも面白い習性があります。
カクレクマノミは、コロニーで暮らしていますが、最初はすべてオスとして生まれます。
コロニーの中にメスが1匹おり、群れをまとめているのですが、そのメスが死ぬと2番手のオスが性転換をしてメスになります。ただし、一度メスになれば、二度とオスには戻れません。
そして、そのメスは2番手に繰り上がったオスと交配して子孫を残します。
カクレクマノミは、メスを首長にしたコロニーを循環させて、世代交代をしているのです。
9.「血の涙」を流すツノトカゲ
北アメリカを原産とするツノトカゲは、相手によっていくつかの防御パターンを持っています。
敵が近づいてくると、その危険度を評価して、素手では勝てないと判断すると、目から血を噴射させるのです。
ツノトカゲは目の下に血を溜めた袋を持っており、そこに圧力がかかると勢いよく血が噴き出します。これにびっくりした相手は、たいてい尻尾を巻いて逃げ出します。
また、血の涙は目の表面の汚れを洗うためにも流すそうです。
10.オマキザルはオシッコで手を洗う
オマキザルは、自分のオシッコを使って手と足を洗うことで知られます。
目的は2つあり、メスを惹きつけるためと自分をリラックスさせるためです。
米・メリーランド州にある国立衛生研究所動物センターで行われた研究では、群れの頂点に立つオスのオマキザルは、側にメスがいるときほど頻繁にオシッコで手足を洗うことが分かっています。
また、オシッコで手足を洗う回数の多いサルほど、他のサルに比べて攻撃性が低く、ストレスホルモンであるコルチゾールの数値も低かったのです。
オマキザルにとって、オシッコはリラックス効果の高い香水のようなものかもしれません。
参考文献
unbelievable-facts
提供元・ナゾロジー
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