NTTドコモは今年7月、SMBC日興証券、お金のデザインの3社による「長期・分散・積立」を基本とした資産運用サービス拡充に向けた協業合意発表に続き、dアカウントでログインするだけで対象の項目を自動集計する家計簿アプリ「スマート家計簿 スマー簿(スマー簿)」をリリースした。

・NTTドコモ、SMBC日興証券、お金のデザインの3社の協業について
・「スマート家計簿 スマー簿」について

 今回の3社合意により、個人それぞれのライフステージや社会環境の変化に合わせた、高品質で付加価値の高い資産運用サービスを幅広く提供することを目指し、金融庁の「貯蓄から資産形成へ」のさらなる推進に貢献していきたいとしている。また、AIロボアドバイザーサービス「THEO+ docomo」や、dポイントを使って株式を買うことができる「日興フロッギー+ docomo」の利便性向上とあわせ、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」など税制優遇制度への対応を挙げた。

ドコモが「貯蓄から資産形成へ」を打ち出す狙い 新たな囲い込み手段?
(画像=金融庁による「貯蓄」と「投資」の違い、『BCN+R』より 引用)

 大手3キャリアと呼ばれるドコモ、KDDI、ソフトバンクは、スマホ決済(d払い・dポイント/au PAY・Pontaポイント/PayPay)を中心としたポイント還元や一部の料金プランの見直し・値下げで争ってきた。近いうちに、この争いにiDeCoや投信クレカ積立・ポイント積立(クレジットカードや保有するポイントによる投資信託の積立購入)が加わると見る向きもある。今回のドコモなど3社の協業は、将来的にdポイントを利用した投資信託の積立購入サービスを開始するための布石でもあるのだ。

家計簿アプリから伝わる、1ポイント1円相当の「ポイント」の価値向上

 家計簿アプリでは、登録済み金融サービスの「ポイント」は資産に計上され、資産総額に含まれる。有効期限のあるポイントは現金ではないと否定的な見方もあるが、条件付きのポイントプレゼント(抽選)キャンペーン、ポイント交換増量キャンペーン、ポイント引き換えクーポンなどから、現金よりも使い勝手のいい、本人に結び付いたデジタルマネー相当として「ポイント」の価値がますます高まっていると感じる。

 ドコモが家計簿アプリをリリースした狙いは、保有するポイントの有効活用、いわゆる「ポイ活」ニーズや、余計な支出(主に固定費)を減らす家計見直しニーズの高まりにあるだろう。証券会社のみならず、通信事業者までが大きく打ち出したことで、金融庁が掲げる「貯蓄から資産形成へ」は、少なくともスマホユーザーの間では、今まで以上に共感できるスローガンになりそうだ。

文・嵯峨野 芙美/提供元・BCN+R

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