水中を泳ぐ恐ろしい新種のスズメバチが発見されました。
新種は、日本に分布すること、水中から姿を現す習性などから、日本を代表する怪獣にちなみ「ゴジラ蜂(学名:Microgaster godzilla)」と命名されています。
水環境に対応するハチは他に2種しか存在せず、全体の0.1%以下です。しかも、その2種でさえ、ゴジラ蜂のように完全に水中に潜ることはできません。
研究は、10月30日付けで『Journal of Hymenoptera Research』に掲載されています。
水中にダイブして幼虫を引き上げる
ゴジラ蜂は、水生植物の裏に生息する幼虫を探し、発見すると水中に潜って攻撃します。数秒間なら水中に潜ることができ、その間に幼虫を仕留めて水上に引っ張り出します。
そして、体内に産卵して幼虫を孵化させ、わが子の生き餌にするのです。
こちらがその様子を捉えた実験動画。
水生植物を浮かべたケースにメスのゴジラ蜂を入れ、同時に「ヒメマダラミズメイガ」の幼虫を隠してあります。ハチは植物の上を歩き、触覚を使って探索します。
幼虫を見つけると、水面からすばやく引っ張り出して、産卵管を突き刺し、体内に産卵しました。場合によっては、幼虫を引きずり出すために潜水もします。
大きく湾曲した足先はこのために発達しており、水中に入って幼虫をつかみ、引き上げるのに有効です。
「ゴジラ」と命名した理由とは?
論文著者のホセ・フェルナンデス・トリアーナ博士(カナダ国立昆虫コレクション)は「本種に”ゴジラ”の名前を冠したのには深い理由がある」と話します。
「第一に、日本の怪獣として、1954年公開の映画『ゴジラ』が浮かびました。ゴジラはその後、多くのリメイク作品が作られ、日本の大衆文化の象徴としてアイコン化されており、私も敬意を表しています」
「第二に、ハチの習性がゴジラに似ている点です。水中から姿を現す姿は、まるで映画の中でゴジラが海面から出現する様に似ていました」
「そして第三に、ゴジラには”モスラ”という蛾の怪獣が登場します。新種のハチが幼虫を襲う姿が、モスラと戦うゴジラと重なったのです。こうした生物学的、行動学的、文化的な理由から、この名前が適当だと考えました」と話しています。
やはりゴジラは怪獣界のスターとして世界的な影響力も大きいようです。
参考文献
phys
iflscience
提供元・ナゾロジー
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