グローバルファウンドリ市場で韓国と台湾、米国の覇権戦争が激化する中、「GAA(Gate All Around)」技術の確保が新たな競争分野として浮上している。これまで業界が半導体の線幅を減らす「ナノ競争」に焦点を当ててきたが、これからは半導体素子の構造革新技術を確保し、性能と効率を高める新概念の半導体の開発に集中することになる、と韓国ニュースメディアのアジア経済が報じている。
同紙は3日、業界関係者の話として、サムスン電子がGAA技術基盤3㎚1世代の製品を来年から量産する計画であり、2023年には3㎚2世代プロセスにもGAA技術を適用することにしたと報じた。 GAAは、半導体電流調整スイッチの役割をするトランジスタの性能と効率を高めた新構造プロセス技術を意味する。
トランジスタのサイズを減らしつつ、高精度に制御するためには、内部構造物が互いに触れる面積が広いほど有利である。このため、初期平面構造で、現在広く使われている3次元フィンフェット(FinFET)構造へと進化しており、今では細長いワイヤ形状のチャンネルを活用したGAAが脚光を浴びている。
GAAは、それ自体だけでも半導体業界の産業革命と呼ばれるほどの画期的な技術である。サムスンはそこから更に一歩進み、紙のように薄く長いシート状の「ナノシート」を用いて効率を高めた「MBCFET」という独自技術を開発した。この技術を用いると、既存の7㎚フィンフェットトランジスタよりも性能は35%向上し、消費電力は50%削減することができる。
現在、半導体線幅を減らすナノ競争では、TSMCが業界トップにいるとされている。TSMCは最近、アップルやインテルなどの顧客と共に3㎚製品のテストを開始し、来年下半期の量産に向けて準備している。サムスンも来年3㎚工程の導入を目標としているが、まだテープアウト(プロセス開発の後、メーカーに設計図を渡す段階)に留まっている。インテルは7㎚代であり、かなり遅れているという。
しかしながら、競争の基準を「GAA導入」に変えれば、話が違ってくる。サムスンが来年3㎚工程からGAAを初導入する予定であり、それに続く形で2023年TSMCが2㎚工程からGAAを導入する計画だという。インテルも2024年に2㎚工程独自のGAA技術「リボンフェット(RibbonFET)」を適用すると宣言し、GAA競争に飛び込んだ。
サムスンの立場ではスケジュール上、「世界初3㎚量産」のタイトルはTSMCに奪われる可能性があるが、世界初のGAA導入を主導しファウンドリプロセスのパラダイム転換を図ることができる。 GAAを介してグローバルファウンドリ工程競争の構造を変えるというのがサムスン電子の戦略であるという。
サムスン証券のファン・ミンソン研究員は「サムスンは3㎚から適用されるGAA工程からはプロセス開発におけるTSMCとの競争で主導権を奪還するだろう」としつつ、「オースティン工場の稼動中断など悪材料の中でも、今年サムスンファウンドリの売上高は20%水準で成長しており、今後も次世代GAA工程基盤の持続的な成長が期待される」と述べた。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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