編集部のカジュアルウオッチ担当:船平が、注目モデルを実機でレビュー。今回は、60年代のヘリテージモデルをベースにした、“YEMA(イエマ)”の復刻ダイバーズウオッチをお届けしよう。
【今回レビューするモデルはコチラ】
YEMA(イエマ)
スーパーマン スキンダイバー リミテッドエディション
1960年代に登場したイエマの代表モデルで、スーパーマンのバリエーションのなかから、 “ウロコブレス”採用した初期仕様を再現した限定モデル。2020年の末に一度先行予約が開始されたのだが、その後、コロナの影響による工場の停滞、特殊なブレスレット構造が影響して無期限で製造休止。半年以上を経てようやく販売が実現した。日本への入荷は10本ほど。希少性の高さも魅力といえる。
■Ref. YSUP21C39-AM2S。SS(39mm×T13mm)。30気圧防水(300m相当)。自動巻き(Cal. SELLITA SW200-1)。世界限定1000本(日本入荷は10本前後)。15万9500円(納期は8月末の予定)
》独特のウロコブレスがほかにはない個性を主張
ここ数年、時計界でトレンドとなっている復刻モデル。高級ブランドから中堅ブランドまで、様々なモデルがリリースされているが、なかでも個人的に注目しているのが、1960年代の時計をベースにしたダイバーズウオッチだ。
1960年代はマリンスポーツへの関心の高まりとともに、“ダイバーズウオッチ”という新たなジャンルが市場に普及しはじめた時代。そのため、アイコニックなデザインを採用したモデルが各社から生み出されているのだ。今回、レビューするイエマの“スーパーマン スキンダイバー リミテッドエディション”も、そんな60年代独特のデザインを再現したモデルのひとつだ。
70年代にフランス空軍のパイロットに採用された実績をもつイエマを象徴するダイバーズウオッチが復刻モデルのベースとなっており、今回の限定モデルでは、60年代の初期モデルに採用されていた魚のウロコを思わせるブレスレットが、品質を高めつつ再現されている。
現時点でイエマジャパンが確保している日本への入荷数は10前後。希少なモデルなのだが、ようやく1モデルだけサンプルが日本に到着したため、画像ではわかりにくい外装の質感や装着感を、実機でレビューしていこう。
》文字盤やケースのデザインの印象は?
60年代に流行した、12・6・9のインデックスが台形になっている意匠を再現。2020年末に製作された第1弾モデル(写真下)はメタルフレームにグリーンのルミノバ夜光を採用していたが、再発売された限定モデル(写真上)はメタルフレームは無くして、文字盤にベージュに夜光塗料を塗布。経年変化したアンティークウオッチの雰囲気を再現したこだわりのデザインに仕上げられている。
60年代に開発され、現在も継承されているイエマ独自のベゼルロック機構もこのモデルの特徴のひとつ。ベゼル自体は両方向回転式だが、リューズとベゼルの間に特殊なパーツを備え、リューズをネジ込むことでベゼルを固定することができる。
最大の特徴はやはり、60年代の初期モデルに採用されていたウロコブレスだろう。削り出しで成形された鱗状コマを組み合わせており、独特のデザインの魅力に加えて、一般的なオイスターブレスよりも動きが滑らかなのもポイントだ。
》時計のサイズと装着感は?
海外市場では39mmと41mmの2サイズをラインナップしているが、日本に入荷するのは39mmの仕様のみ。ラグを含めた縦のサイズが約48mm、厚さは約13mm(筆者が計測)と、現行のダイバーズウオッチとしては小振りなサイズが60年代の雰囲気を醸し出す。バックルは厚みを備えた三つ折れのダブルロック仕様。誤って外れる心配をせずに、安心して着けることができそうだ。ちなみに、アンティーク感を醸すドーム形風防には厚さ2.6mmのサファイアクリスタルを採用。美観だけでなく、強度もしっかり確保されている。
ブレスレットのコマが小さいことに加えて、立て付けに程よい遊びを備えた設計を採用しているためフィット感が高い。手首に馴染んで快適な装着感を実現している。個人的に好印象なのが、ベゼル、ケース、ブレスレットを含めて、時計全体がヘアライン仕上げで統一されている点。汚れが目立ちにくいことに加えて、実用時計らしいタフな雰囲気を楽しめる。
ヘアライン仕上げは筋目が強すぎても弱すぎてもチープな印象になるが、程よい質感を備えた筋目で統一されているのが素晴らしい。実用時計らしい雰囲気と高級感を見事に両立している。
【問い合わせ先】
イエマジャパン
TEL:03-5875-8810
【先行予約販売サイト:タイムギアオンラインショップ】
https://timegear-onlineshop.com/
文◎船平卓馬(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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