本連載の第2回で取り上げたGSTアクアタイマーと同じく、1997年に誕生したIWCのスポーツ系シリーズ“GSTコレクション”に属し、その中で高い人気を誇ったGSTクロノグラフを取り上げる。

かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第8回|IWC  GSTクロノグラフ】
(画像=GSTクロノグラフ(Ref.3707-003)。チタンケースモデル。ステンレスモデルよりも軽くて着け心地は軽快だが、若干傷に弱いのが難点。ガンガン使う人にはステンレスタイプがオススメ、『Watch LIFE NEWS』より引用)

GSTコレクションとは、数々の傑作スポーツモデルを生み出したポルシェ・デザインとのパートナーシップを解消後、その技術を生かしてIWCが独自に開発した高機能モデルのコレクションである。

そのため第2回のアクアタイマーのような驚異的な防水性能を誇るダイバーズウオッチから今回のクロノグラフ。それ以外にもGMTモデルや永久カレンダーモデル、あるいは水深計が付く特殊なモデルなど多岐にわたる。IWC復活の象徴的な意味合いがあったのだろうか。かなり力を入れて開発されたことがうかがえる充実ぶりだ。

 アクアタイマーの記事でも触れたが、名前のGSTとは、G(Gold=ゴールド)、S(Stainless=ステンレススチール)、T(Titanium=チタニウム)の頭文字を組み合わせたものだ。つまり、素材違いも用意されている。しかも一部モデルを除いて、文字盤の色違いもラインナップするなど豊富なバリエーションもこのコレクションの大きな特徴といえる。

かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第8回|IWC  GSTクロノグラフ】
(画像=GSTクロノグラフのステンレスモデルに設定された白文字盤タイプ(黒もある)、Ref.3707-013。インデックスにゴールドをあしらうなど雰囲気がだいぶ違う。なおゴールドケースの高級ラインには白文字盤が設定された、『Watch LIFE NEWS』より引用)

さて、このGSTクロノグラフだが、魅力はシンプルにモノトーンで構成されたこの端正かつ飽きのこないデザインにある。まさに当時のIWCの質実さを体現する作りと言えるのではないか。

また、クロノグラフでありながらも120気圧防水を備えムーヴメントも優秀だった。ETA7750をベースにゴールドメッキを施し、ブルースチールのネジや緩急針も高級なトリオビスに交換するなど、かなりモディファイされたCal.7922を搭載する。当時は精度の高さでも一目置かれていた存在である。

2000年前半の国内定価が50万円台半ばなのに対して並行輸入品の新品実勢価格は30万円台後半。現在のユーズドの実勢価格も30万円台で流通している。

GSTクロノクロノグラフ オートマティック
■商品データ
型番:Ref.3707-003
素材:チタンケース&ブレス
ケース径:39.7mm
防水性:120気圧防水
駆動方式:自動巻き(Cal.7922)
その他:クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スモールセコンド、日付け・曜日表示
当時の国内定価55万1250円

文・菊地 吉正 /提供元・Watch LIFE NEWS

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