約14年に渡り行われてきたSIMロック解除に関する議論は、結局、総務省の尽力により「SIMロックの原則禁止」ということで決着した。そのことを定めた「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」の改正案が、2021年10月1日から適用されることになる。果たしてこの改正はユーザーにどんなメリット・デメリットをもたらすのだろうか…。

SIMロックを守りたかった携帯各社とその理由

「SIMロック原則禁止」が10月スタート、ユーザーのメリット・デメリットとは?
(画像=通信と端末の両方でバランスを取って販売するのが一般的だった、『オトナライフ』より引用)

 近年強硬とすら思える勢いで進められてきた「SIMロック原則禁止」。総務省は、SIMロックをかけることが購入者の利便性を損ない、他社への乗り換えを阻害し、事業者間競争をも阻害することになると信じて止まなかった。確かに、ユーザーからすれば、他社のSIMを挿入しても利用できず、キャリアを変える度に端末を変える必要が出てくることから、SIMロックは不便な存在だ。

 では、なぜSIMロックが存在し、キャリアはその解除に難色を示してきたのだろうか。その主な理由は、端末値引きの仕組みにあった。かつて携帯各社は、スマートフォンなどの端末価格を実質0円、1円など、無料も同然にして新規契約者を獲得し、毎月の通信料金からその割引分を回収するというビジネスモデルを展開していた。それゆえ、契約してすぐ解約されてしまうと端末値引き分の原資が回収できなくなってしまう上、割賦を組んで購入した端末の場合、その支払いまでも踏み倒されてしまうリスクがあることから、SIMロックをかけて他社のSIMで利用できないようにすることにより、リスク回避していたわけだ。