デイリーユースできる価格帯から、語りどころのある“名作モデル”を紹介していく連載企画。第2回はアポロ15号の“月面探索”で使用された伝説的クロノグラフに注目。
》アポロ15号の船長が個人的に携行して月面探索で着用
NASAと時計の関係といえば、オメガがよく知られるが、実はオメガ以上にNASAと密接な関係を築いていたのがブローバだ。
ブローバは1960~70年代、NASAの求めに応じて宇宙開発に関わるようになり、69年のアポロ11号による人類初の月面着陸では、ブローバ アキュトロンの計時装置が搭載された観測機器が月面の“静かの海”に設置され、重要な月面データの送信を正確にコントロール。実に46回もの宇宙飛行にブローバのパネルクロックやタイマーが採用されている。
NASAは全6回の友人月面着陸に成功しているが、71年8月2日に月面着陸に成功したアポロ15号で、月に降り立った7人目の人類となり、初めて月面で自動車を運転したデイヴィッド・スコットが月面探索時に腕に巻いていたのも、実はブローバ製クロノグラフだった。
この歴史的偉業に際して、公式装備品以外で月に降り立ち、唯一個人所有されていたオリジナルのブローバ ムーンウオッチは、その希少価値の高さから2015年10月22日にアメリカで開催されたオークションで、162万5000ドル(約1億9700万円)もの価格で落札されている。
このアポロ15号で携行されたクロノグラフ以外にも、ブローバは宇宙飛行士のための腕時計を数多く開発しており、クロノグラフ A、クロノグラフ B、クロノグラフ Cのコードネームで呼ばれる時計は、70年~71年のわずか2年間のみ、一般向けにも生産されたとされている。
ブローバはマイルストーンとなったモデル、当時話題を呼んだデザインなどをモチーフに、現代にアップデートするアーカイブコレクションを製造しており、アポロ15号の月面で携行されていたクロノグラフを復刻した〝ルナ パイロット クロノグラフ〟のほか、〝クロノグラフC〟、〝クロノグラフA〟もリバイバルモデルを展開。
復刻版ではムーヴメントに現行ブローバ自慢のハイパフォーマンスクォーツクロノグラフが採用されるなどブラッシュアップを実施しつつ、デザインやディテールはオリジナルを忠実に再現しているのが魅力的だ。
》月面に降り立ったオリジナルのクロノグラフ
アポロ15号の船長が4度目の月面探索時に身に着けていたというブローバ製クロノグラフ。私物であったことから船長の手元に保管され、オークションで約1億9700万円で落札された。
BULOVA(ブローバ)
アーカイブシリーズ ルナ パイロット クロノグラフ
アポロ15号とともに月に降り立った伝説的なブローバのクロノグラフを忠実に再現した復刻版ムーンウオッチ。当時のブローバロゴ、ケースから少し飛び出た風防、分厚いグローブでも操作しやすく工夫された大きく細長いプッシュボタンなど、オリジナルモデルに見られたディテールが見事に再現されている。オリジナルのディテールを忠実に再現する一方、ケースにがブラックPVD加工を施し、新デザインのレザーストラップを採用するなど、新しい魅力が加えられているのもポイントだ。
》宇宙飛行士のために開発された個性派クロノ
これは1970年代当時の広告。アメリカ国旗と同じ配色から星条旗を意味する“スターズ&ストライプス”のニックネームをもっていたオリジナル。ムーヴメントこそ異なるが、比べれば再現度の高さがわかる。
BULOVA(ブローバ)
アーカイブシリーズ クロノグラフC
1970年に発表されたクロノグラフCの復刻版。アメリカ国旗と同じ配色で、星条旗を意味する“スターズ&ストライプス”というニックネームをもつ。赤・白・青の大胆な配色が目を引く文字盤デザイン、コインエッジ付きベゼル、そして完璧なラウンドシェイプのケースなど、オリジナルのディテールを忠実に再現している。
BULOVA(ブローバ)
アーカイブシリーズ クロノグラフAサーフボード
1970年~71年の2年間のみ生産された“クロノグラフA”。 二つのインダイアルを囲む楕円形のデザインがサーフボードのように見えることから、“サーフボード”の通称でも知られている。
【問い合わせ先】
ブローバ相談室
TEL:0570-03-1390
文◎船平卓馬(編集部)
提供元・Watch LIFE NEWS
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