Point
■トルコ南部にある古代遺跡「ギョベクリ・テペ」の彫刻は、紀元前1万950年頃の「彗星衝突」を記録していた可能性が高い
■彫刻に施された動物たちの配置が、紀元前1万950年頃の天体の星座と一致した
■この時期は「ヤンガードリアス」という氷河期が始まっており、彗星の衝突がその原因であると考えられる
古代彫刻の暗号は、なんと「彗星衝突」の記録だった!?
イギリス・エディンバラ大学の研究によると、トルコ南部にある古代遺跡「ギョベクリ・テペ」に彫られた動物の位置が、約1万3千年前の星座の配置と一致することが明らかとなった。
この時期は「ヤンガードリアス」と呼ばれる亜氷期が始まった年代であり、彫刻の解読から彗星の衝突がその原因となっている可能性がきわめて高くなったようだ。
研究の詳細は、2017年の「Mediterranean Archaeology and Archaeometry」上に掲載されている。
DECODING GÖBEKLI TEPE WITH ARCHAEOASTRONOMY:WHAT DOES THE FOX SAY?
動物の配置が天体の星座と一致
遺跡内の「ヴァルチャー・ストーン」と呼ばれる石柱には、サソリや魚など星座に用いられる動物たちが彫られている。
これらは明らかに意図的な形で配置されており、研究チームはこの動物群を天体の星座であると想定。動物の配置に該当する星座年代をシミュレートした結果、紀元前1万950年頃の天体と一致することが判明したのだ。
1万950年頃といえば、「ヤンガードリアス」という小さな氷河期が始まったとされる年代だ。
要するに彗星衝突の影響で舞い上がった塵が地球上を覆い、氷河期が始まったと考えられるのだ。それを示すかのように、石柱には頭部のない人の像も彫られている。
これは彗星衝突による甚大な被害を示しているのだろう。
文明の転換点となった「彗星の衝突」
さらにこの時代は、人類が狩猟採集の文化から農耕文化へと移行していった重要な時期でもある。
おそらく彗星衝突により、広範囲に自生していた植物が壊滅的な被害を受けたため、人類は自分たちで作物を育てる必要に迫られたのだろう。
また同時期にマンモスも絶滅し始めており、狩猟文化も大きく変化したようだ。
まさに「彗星衝突」は人類の文明を180度転換させた歴史的な出来事と言える。
主任研究員のマーティン・スウェットマン氏によると、「ギョベクリ・テペ」は古代の天体観測所として活用されており、彫刻が施された石柱は天体現象を記録する記念碑であったとのことだ。
「ギョベクリ・テペ」が建設されたのは紀元前9000年頃と、彗星襲来の2000年ほど後に当たる。つまり彗星衝突は数千年にわたって古代人たちの間で語り継がれ、その後石柱の彫刻として記憶されることとなったのだろう。
最終更新日:2021.01.27 WEDNESDAY
公開日:2019.05.02 THURSDAY
提供元・ナゾロジー
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