どんなことより毎日の食事を大切にし、食べることが何よりの楽しみ。国内はもちろん、海外でも気になるレストランがあれば飛んで行く。その店の味に出会うために、予約困難な店の予約を取る苦労もいとわない。一食入魂。食べることにお金も時間もつぎ込むフーディたちが真におすすめする店とは――。連載初回は、一年間の外食日数は360日。月に100万は外食で使う今井信二さんに話を聞いた。
Foodie File① 今井信二さんプロファイル
大きな体に、人懐っこい笑顔が魅力的な今井さん(55歳)は、親の時代から続く企業の三代目経営者。気になるお店には、予約が取れれば、日本全国どこへでも、一人でも食事に行くという根っからの食いしん坊だ。おいしそうに食べる姿に惚れる料理人も多い。仕事の関係で、外ではクルマ移動が基本。それゆえ、外食時にはお酒ではなくソフトドリンクをあわせている。1年360日外食。
趣味はゴルフ、クレイ射撃(20年)。時計はパテック・フィリップを愛用。クルマはロールスロイス、フェラーリ、メルセデスほか4台持ち。マークレビンソン、ウィルソンオーディオ、FMアコースティックのアンプなどが並ぶ自宅のオーディオルームで音楽を聴くのが至福の時間。自宅では料理もするため、キッチン用品を買うのも好き。1か月の外食費用は100万円を超える
Foodieが伝授。レストラン選びの流儀
僕は、どんなに食べログで点数が高くても、流行だけで店を選ばないですね。有名なお店に行くだけで満足してしまう人もいるけれど、僕にとって一番大切なのは居心地の良さ。気になるお店があれば、日本全国足を運んでしまいますが、何度も通いたくなるのは、おいしいものを食べて、気持ちよく帰れるお店に限ります。
また、自分ひとりで行くときには、値段はあまり考えずに行ってしまいますが、どなたかお誘いしたり、ご一緒するときは、高くても2万円~3万円までの店を選びます。最近はコース5万円なんていうお店も多いですが、キャビアやトリュフなどの高級食材をこれでもか、と出すだけのお店はあまり好きではありません。そうしたお店で、湯水のごとくお金を使うことに抵抗がないお客様がいらっしゃると雰囲気がよくないですよね。
予約困難なお店に通うには、やはり料理人の方と仲良くなることではないでしょうか。何度も通って、お店の方と仲良くなると、予約困難なお店でも席を都合つけてくれることがあります。どうやって仲良くなるかですか? うーん、おいしそうに食べること、 知識をひけらかさないこと、ですかね。自分が友人におもてなしをしたときに、嫌だと思うようなことはしないことです。自分で見つけた大好きなお店でおいしいものを食べるのは、本当に幸せなひとときです。
食べ歩き仲間から教えてもらって通うこと6年。お気に入りのとんかつ店は【成蔵】
クルマ仲間やゴルフ仲間などを中心に、おいしいものを食べ歩く仲間のグループがいくつかあります。みんなで気になるお店を紹介しあって、広がっていく感じですね。自分が好きなお店に友達を連れて行って 「ここの●●はおいしいけれど、こっちの●●は僕の好きな店のほうがおいしいから今度行こうよ」なんて話をして、知らないお店に連れて行ってもらってたり。
とんかつの【成蔵】さんはそのパターンで巡り会いました。もともと違うお店に通っていたけれど、友人のご縁で高田馬場にお邪魔したらおいしくて。ここの『シャ豚ブリアン』は別格で、ロース派の僕がヒレ派になった店でもあるんです。【成蔵】さんは、移転してからももちろん伺っています。オンライン予約になったのも嬉しいですね。
鮨屋は、予約が取りやすく、食べたいときに食べられるお店が好き
都内で日本料理はあまり行かないのですが、お寿司は大好きです。幼少の頃から、父親に連れられて【久兵衛】などに良く行きました。つまみを数品、好きな寿司を数貫お好みで食べて帰る、なんて姿を見ていたので、お寿司は食べたいときにすぐ行けるお店が好きです。
【日本橋蛎殻町すぎた】や【すし喜邑】さんのように、そこの鮨が食べたくて何か月も先の予約を楽しみにするお店もあります。けれど、”お寿司が食べたい”と思い立ったときに良く伺える【鮨たかはし】や【きどぐち】、最近は水天宮の【高柿の鮨】には、しょっちゅう足を運ばせていただいています。クオリティも抜群、おいしいのに、2万円もあればお腹がいっぱい。【高柿の鮨】は夜は17000円コースですから、本当にお値打ちです。最近、ミシュランの星を取って予約がとりずらくなってしまったのが悲しい・・・・・。本当は、教えたくないお店です。
イタリアンの行きつけは、居心地のいい名店に、絶品の肉が食べられるお店
イタリアンは【アッピア】に良く行きます。肩肘はらない雰囲気だけれど、ちゃんとした空気感がある。いつ行っても、お客様も雰囲気のいい方ばかりです。昔通っていた【キャンティ】のころからお世話になっているサービスの方も多いのですが、毎回本当に素晴らしいサービスをしてくださいます。パスタの量など微調整してくれるので好きなものを好きなように食べられる。11月~3月までの限定メニュー・ブイヤベースが最高で、これは必ず食べにきます。
最近は、食いしん坊仲間の縁で知り合いになった精肉店【サカエヤ】新保さんのお肉を目指していくイタリアンがあります。目黒の【ラッセ】は、北海道で完全放牧で育てている『ジビーフ』や『近江牛』のメニューなどが登場します。お店自体もシックで落ち着くし、居心地がいい。シェフの村山太一さんのお人柄が好きで通っているところもあります。
駒沢大学の【イル・ジョット】も大好きです。「サカエヤ」新保さんが手当した愛農ポークでつくった自家製ハムは最高です。また、同じく新保さんのところからいい近江牛が入ると、塊で焼いてくれるのですが、この高橋さんの焼く肉は天下一品。この肉を目指して食事に行きますね。
焼肉は【炭火焼肉なかはら】一択。浮気はしません
【炭火焼肉なかはら】は食いしん坊仲間から紹介していただいてから、すっかり気に入って通っている焼肉店です。食べるときは、必ず店主・中原健太郎さんの目の前のカウンターで。ここでは、中原さんが自ら肉を焼いてくださいます。焼肉はプロが焼くとこうも味が違うんだ、と実感した店でもあります。もちろん、出してくださる田村牛は最高品質のもの。だからこそ、焼きが大切なんですよね。極上の肉を、プロに焼いてもらう贅沢にハマって以来、焼肉はこちら以外に行っていません。ほかでは味わえない、『幻のタン』から最後のビフカツサンドまで、たっぷりいただいて帰るのが至福です。
中華料理のお気に入りは、二世代で通う名店から住宅街の隠れ家まで
【中国飯店】は祖父の代から通っているお店です。僕たち家族は市ヶ谷店でお世話になっていました。そのときにずっとサービスでついていてくださった方が【富麗華】に移られて以来、【富麗華】は個人的にも、会社の会食でもお世話になっています。上海カ蟹のシーズには絶対に伺いますね。料理も間違いがないし、サービスも本当に安心できます。
【豊栄】は最近行って、おいしくて安くてびっくりしました。茗荷谷という立地は少し遠いですが、でも5000円もあればお腹いっぱいおいしいものがいただけるので、足を運ぶ価値はあります。特に『黒酢の酢豚』『あさりのスープそば』がおいしかったですね。
文・ヒトサラ編集部/提供元・ヒトサラMAGAZINE
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