INDEX
- Q1.クマが現れた! こんなときはやっぱり死んだふり?
- Q2.体を温めるには酒でしょ酒! ウイスキーにビールに……。
- Q3.登山者ならやっぱり地形図が読めてこそ一人前でしょ!
- Q4.防寒着を忘れてしまい、寒くてブルブル……。
- Q5.道に迷ってしまった。どうしよう、登りと下りどちらに進むべき?
- Q6.仲間がもう動けない。いっしょに待つべきか、助けを呼びにいくべきか?
Q7.眠ったらダメだ。寒い山で眠ってしまったら二度と目覚めない?
登山を深めていくうちに、知らないことに直面するのは当たり前の話である。曖昧なまま放ってきて、もう聞きづらいこともあるかもしれない。プロの山岳ガイドに、7つのシーンで取るべき行動について答えてもらった。
Q1.クマが現れた! こんなときはやっぱり死んだふり?
A.これをすれば助かる、なんていう明確な解決策は存在しません。
クマの習性について、視力が低いが、嗅覚はヒトの7億倍ともいわれています。でも、たしかなことはわかっていません。ですから、遭遇した際の対処方法も体験談が語られているだけで、検証されたものはないのが実情です。
最近の若いクマの個体のなかには、ヒトに興味を持ったり、クマ鈴の音に興味を持ったりする例があるという報告も。「これさえ知っていれば大丈夫」という発想ではなく、「クマは怖い」という漠然とした警戒心こそが身を守る最善策といえるかもしれません。
Q2.体を温めるには酒でしょ酒! ウイスキーにビールに……。
A.アルコールを摂取すると血管が拡張して、体温を奪うことになります。
たしかに、アルコールを口にすると最初は体温が上昇します。だから寒いときにはウイスキーなどを飲むという人もいるでしょう。しかし、血管が拡張し熱が逃げていくため、やがて体温は次第に下がっていくのです。
また、アルコールの影響は体温低下以外にも、「酔い(=脳の麻痺)」「交感神経の刺激(アセトアルデヒド)」「脱水症状」などがあります。安全に登山するためにも、登山中のアルコールはなるべく控えて、下山後の楽しみにとっておいたほうが賢明といえます。
Q3.登山者ならやっぱり地形図が読めてこそ一人前でしょ!
A.地形図に親しむことは登山者の「たしなみ」です。
自分が歩いた山の全体像を見わたすことは登山の振り返りでも重要な要素です。振り返る内容は行動時間や高度グラフ、地形図でのルート確認などで。この作業は“山塊”と“地形図”をリンクさせる能力を高めてくれます。
よく登山計画で地形図を使うといわれますが、じつは登山後の振り返りで地形図を見ることから始めると親しみやすいもの。リアル(山塊)と二次元(地形図)をリンクさせる能力がなければ、デジタル化された地図を用意しても活用は難しいかもしれません。
Q4.防寒着を忘れてしまい、寒くてブルブル……。
A.気づいた時点で登山を中止して下山しましょう。
登山とは、どれくらいきっちりと準備できるかを競うゲームといっても過言ではありません。必要なウエアはなにひとつ欠けることがあってはいけないのです。これは装備についてもいえること。装備不備の登山では安全性を保つことができません。
ましてや防寒着のように重要な装備は、バックパックの中に身体を突っ込んだからって代用できるものでもありません。潔く下山して、次の山行に活かしましょう。いいですか、準備不足な山行はその時点で失敗なのです。
Q5.道に迷ってしまった。どうしよう、登りと下りどちらに進むべき?
A.登るでもなく下るでもなく、登山道に戻ることを基本にしてください。
道迷いに陥ってしまったとき。生還への第一歩は、登山道に戻ることです。なぜなら、それを逆にたどればスタート地点、つまり登山口=街に戻ることができるからです。よくいわれる言葉として、「道に迷ったら尾根にあがれ」というのがあります。しかし、未知の領域にさらに進むことは問題解決になりません。
このようなトラブルを防ぐために、GNSS(全球測位衛星システム)を利用したログや、それを逆にたどるようにルートを示してくれる高機能腕時計などは有効でしょう。
Q6.仲間がもう動けない。いっしょに待つべきか、助けを呼びにいくべきか?
A.救助を要請し、救助隊到着までいっしょに待ちましょう。
仲間が動けなくなったときにどうするべきか。まず、動けない仲間を孤立させないことを基本線に行動しましょう。携帯電話を使って救助要請をするか、通りがかった人などに救助要請を依頼するか。救助隊が到着するまでは、仲間に寄り添い、容体を見守ってあげましょう。
シチュエーションに応じて、保温をしたり、ようすを見ながら話かけて安心させたり。これらも重要な手当になります。動けない仲間を孤立させる、置いていくということは、とにかくご法度なのです。
Q7.眠ったらダメだ。寒い山で眠ってしまったら二度と目覚めない?
A.行き倒れのように眠ることは厳禁です。
体力の限界まで行動し、行き倒れのようにその場で眠り込んでしまった場合。命を落とす危険性は、間違いなく高いものになります。そうなる前に引き返すか、天候状況などを評価して、登山を中止するといった選択肢も取るようにしましょう。
一般的には、しっかりと設営されたテントのように、乾いた空間が位置できる環境で睡眠をとってこそ、疲れは回復するものです。雪山でのビバークは、強靭な体力を持った人にのみ許されるオプションだと心得ておきましょう。
CREDIT :
文◉笹倉孝昭 Text by Takaaki Sasakura
イラスト◉高橋未来 Illustration by Miki Takahashi
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
提供元・FUNQ/PEAKS
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