新型コロナウイルス(COVID-19)に感染すると、回復した後も後遺症に悩まされる場合があります。

イギリスの大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)脳科学科に所属するアダム・ハンプシャー氏ら研究チームの調査で、コロナ回復後にIQが7も低くなると判明しました。

論文によると、IQ低下の原因はコロナ後遺症として話題になっているブレインフォグ(脳の霧)とのこと。

研究の詳細は、7月22日付の学術誌『EClinicalMedicine』に掲載されました。

目次

  1. コロナ後遺症のブレインフォグ(脳の霧)は、IQも低下させる
  2. コロナ重症患者は回復後もIQが7ポイント下がったままだった

コロナ後遺症のブレインフォグ(脳の霧)は、IQも低下させる

研究チームは、2020年1~12月の間に知能テストを完了した8万1337人の参加者のデータを分析しました。

そして全サンプルのうち1万2689人が新型コロナウイルスを経験していました。

これにより、コロナ経験者と未経験者のIQの傾向をそれぞれ調べることができたのです。

コロナに感染すると「脳の霧」でIQが7も低くなると報告される
(画像=コロナ後遺症「ブレインフォグ」 / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

年齢、性別、母国語、教育レベルなどの要因をコントロールした結果、コロナ経験者は未経験者に比べて、知能テストの成績が低い傾向にあると判明。

特にコロナ経験者は、推測・計画・問題解決を必要とするタスクが苦手になっていました。

これは新型コロナウイルスの後遺症として報告されている「ブレインフォグ(脳の霧)」に共通する障害のように思えます。

実際、ブレインフォグを経験する人は、「頭がぼんやりする」「集中できない」「正しい言葉が見つけられない」と感じ、認知機能の低下が認められます。

コロナ重症患者は回復後もIQが7ポイント下がったままだった

コロナに感染すると「脳の霧」でIQが7も低くなると報告される
(画像=コロナ重症患者は認知機能も大きく低下する / Credit:Depositphotos 、『ナゾロジー』より引用)

また今回の研究では、認知機能の低下の程度が、病気の重症度と関連していると判明。

人工呼吸器を装着して入院していた人は、最も大きな後遺症を抱えており、IQが7ポイントも低下していました。

これほどのIQ低下は、脳卒中を経験して学習障害を訴えていた人でも生じておらず、彼らと比べてもさらに大きな障害だったと分かります。

しかしハンプシャー氏は、「コロナによるIQ・認知機能の低下のメカニズムが解明されたわけではない」と述べています。

また「認知機能への影響がどのくらい続くのかも分からない」と付け加えています。

そのためハンプシャー氏は、この疑問を解決するためのいくつかの研究に対して、今回の情報を提供しています。

また私たちには、「不要なリスクを避け、ワクチン接種を受けるように」と勧めました。

私たちは自分の知能を守るためにも、コロナに用心しなければならないのです。

参考文献
Large study finds COVID-19 is linked to a substantial deficit in intelligence

元論文
Cognitive deficits in people who have recovered from COVID-19