近日、中国のEC業界で、中国政府の個人情報保護強化によってECプラットフォームが消費者の注文データ(電話番号や住所など)を暗号化するという噂が拡散。そうした場合、消費者データを基とするターゲティングができなくなると出店者の間で懸念が強まっている。

Douyinが注文データを暗号化、中国ECマーケティングに波紋を投じる
(画像=Douyinが出した消費者データ暗号化ルール(weiboより)、『チャイトピ!』より引用)

事の発端は、ライブコマース大手のDouyin(抖音/中国版Tik Tok)が8月1日から、消費者の名前、電話番号、住所などの情報を暗号化すると発表したことである。
これに伴い、中国政府工業情報化部の命令で、アリババや京東など大手EC各社も暗号化するのでは、と噂が飛び交った。

実際には、工業情報化部のサイトにこの件についての記載はない。その上、中国政府の官員がメディアの取材で「この噂は事実ではない。企業が自発的に行った行動で、政府から命令したわけではない」と発言している。

噂はさておき、もしEC各社が消費者情報データを完全に暗号化した場合、出店者にどんな影響があるのか?

従来は、消費者がECモールで買い物をすると、店側は電話番号や住所など、消費者の情報を取得できた。さらに、同じ電話番号で登録されていれば、別アプリでの行動情報も取得可能なため、これらのデータに基づいて、消費者の購買力や嗜好を分析し、消費者に合ったマーケティングを行っていた。

しかし、注文データが暗号化された場合、店側が消費者のデータを取得できない上、別アプリでの消費者データ分析も不可能になる。
現在流行している「私域流量(プライベート・トラフィック)」を利用したマーケティングも難しくなることは、言うまでもない。

チャイトピ!編集部より

中国政府が個人情報保護を強化する中、EC各社がこれに応じて一定の措置を取ると思われるが、消費者データをどこまで非公開にするかは、まだ明確にされていない。

これらの動向から、今後は消費者の許可を得た場合のみ、情報開示とそれに基づいたマーケティングが許可される可能性が高いだろう。

提供・チャイトピ!

【関連記事】
【2020年】中国EC業界を振り返る【三大トレンド】
中国Z世代の消費習慣、20代前半の女性3人に聞いてみた
中国企業2020年Q1決算まとめ(アリババ、テンセント、バイドゥ含)
2020年中国ビジネストレンド10大ニュース
利用有料化に批判殺到、中国配達ロッカー普及の課題