宇宙には予想外の「匂い」が漂っている
(画像=Credit:popsci、『ナゾロジー』より)

Point

■宇宙空間は焼いたステーキや揚げものの匂いがするらしい

■船外活動から戻ってきたクルーの服は「ステーキの匂いがする」と必ず報告されている

■これは「多環芳香族炭化水素」という化合物によるもので、彗星や隕石だけでなく、地球上の石油や加熱食品の中にも存在する

「宇宙ってどんな匂いがするの?」

あまり考えたこともない疑問だが、言われてみれば確かに気になる。宇宙は真空状態なので、ヘルメットを取って直接匂いを嗅ごうとしたら当然命はない。宇宙空間の純粋な匂いを嗅ぐことはおそらく今後も不可能だろう。

しかし宇宙で船外活動をしたクルーたちがステーション内に戻ってきたとき、決まって「ステーキの焼けた匂いや揚げものの匂いが宇宙服に付着している」と報告されているらしい。

実はこの匂いは、宇宙飛行士たちが母の味を思い返しているわけではなく、「多環芳香族炭化水素(たかんほうこうぞくたんかすいそ)」と呼ばれる物質が原因だ。

宇宙には予想外の「匂い」が漂っている
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より)

NASAのエイムズ研究所のセンター長を務めるルイス・アラマンドーラ氏は「この物質は星の活動に伴う激しい燃焼の副産物として発生し、刺激性の強い悪臭を放つ」と説明している。

多環芳香族炭化水素は、彗星・隕石・星間物質などの中に存在するため、生物や惑星を作り出す基礎分子の候補として挙がっている。

地球上では石油や石炭だけでなく、焼肉・ステーキのような加熱食物の中にも確認できる。そう、しっかり本物のステーキにも入っているのだ。

宇宙には予想外の「匂い」が漂っている
(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より)

さらにアラマンドーラ氏によると、多環芳香族炭化水素は酸素量で匂いの強さを変えるという。例えば、私たちの暮らす太陽系は炭素が豊富で酸素が少ないので匂いが刺激的になる。

反対に酸素が豊富な場所では、炭焼きグリルのような香ばしい匂いに変わるそうだ。

是非とも宇宙の香ばしさを直接嗅いでみたいが、それは叶わぬ夢。しかし逆に考えれば、これは「いきなり!ステーキ」に行けば宇宙空間の匂いを体感できるということなのかも…?

reference: popsci / written by くらのすけ

提供元・ナゾロジー

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