Point
■「@」が歴史上最初に用いられてたのは、1536年まで遡る
■フィレンツェの商人フランチェスコ・ラピが、「アンフォラ 」という単価記号を示す意味として「@」を使用した
■1971年のレイ・トムリンソンが「@」をメールアドレスに使った
「@」の起源は500年!?
SNSやメールアドレスなど、「@」は毎日のように目に飛び込んでくる。それほど現代には必須記号となっているが、その始まりは意外と知られていない。
ところがローマ・ラ・サピエンツァ大学のジョルジオ・スタビレ教授によると、「@」が公式に登場したのはインターネット時代よりはるか以前、1536年のことだという。果たしてその目的とは?
「@」は商業用の「単価記号」だった
「@」が記録として歴史上に初登場したのは1536年5月4日のこと。
フィレンツェの商人フランチェスコ・ラピが重さや質量を表す単位として「@」記号を用いていたのだ。彼はスペイン・セビリアに滞在中、ローマに送る物資を載せた船に次の手紙を同封した。
ワイン1@を積載。これは1バレルの13分の1に相当し、金額にして70から80ドゥカート
ここでの「@」は「アンフォラ」を意味しており、元は穀物やワインなどを入れる粘土製の壺のことである。1アンフォラが、物量11.3kgあるいは22.7リットルに相当したそうだ。
要するに「@」は最初、商業用の単価記号としてスタートし、「商品12@1ドル」と書けば、単価1ドルで商品12個だから「計12ドル」といった使われ方をする。
ラピはアンフォラ記号を書く際、「a」の尻尾を丸めて文字を囲むようにしていたので「@」になったようだ。
インターネット時代の「@」
その後「@」は活躍の場を広げることなく、1800年代半ばに登場したタイプライター第1号の中にも「@」キーは含まれていなかった。
しかし1971年、プログラマーのレイ・トムリンソン氏が「@」を一躍大スターにのし上げる。
彼はインターネットの電子メール・アドレスで、ユーザー名とドメイン名を分けるために「@」を使用したのだ。要するにユーザーが、個別のローカルマシン上ではなく、別のホスト上にいることを「@」で示した。
ここから現在最も一般的な「@=at」の意味が誕生する。
トムリンソン氏は、アドレスに「@」を使用した理由についてこう話している。
「選択肢は多くありませんでした。コンマやイコールではあまり意味的に不適切だと思ったからです。そこで@を『〜のホストにいる〜さん』つまりアット(at)の意味で使おうと決めました。」
トムリンソン氏は残念ながら2016年に亡くなっているが、彼が残した「@」は世界中のアドレス内で生き続けている。
提供元・ナゾロジー
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