「ネコは密かに飼い主を狙っており、機会さえあれば人間を殺そうとしている」
と、冗談めいた記事はよく見かけますが、実際のところはどうなのでしょうか?
そんな疑問に答えるためかわかりませんが、ネコに人間の死体を食べさせる、ちょっと怖い実験が行われました。
もちろん怖いのは研究の中身だけで、研究者が故意にネコに死体を食べさせたわけではありません。
実験が行われたアメリカ分解研究施設では、ふだん自然の中でのどう人体が分解していくかを調べて、警察による検死技術の向上に役立てています。
人間の死体は菌類による腐敗以外にも、自然環境にある動物たちに食べられることで、細分化され、崩壊が加速していきます。
今回、偶然この死体を食べている動物たちの中に、ネコが加わっていました。
そこで研究者たちは新たなデータをとるために、ネコが人間の死体を食べる様子を記録することにしました。
結果はコロラド州の分解研究施設の研究者たちによって発表され、2020年1月16日に学術雑誌『FORENSIC SCIENCES』にて掲載されました。
ネコにはお気に入りの死体がある
人間の腐敗の過程を研究する分解研究施設には、野外に40体もの遺体が置かれていました。
ですが他の動物とは違い、ネコは自分のお気に入りの死体をみつけると、他の死体を食べようとしなかったのです。
最初に現れた「タビー」と研究者が名付けたネコは、79歳の女性の死体の元に毎晩35日間、繰り返しやってきて、食べ続けました。
途中、1週間ほどタビーが食べていた死体の周りに柵が置かれ食べれない時期がありましたが、柵が撤去されると、タビーはまた同じ女性の死体を食べ始めました。
二番目に現れた黒猫は、別の70歳の男性の遺体が好みだったようで、断続的に現れては男性の遺体を食べ続けました。
どうやらネコにとって、お気に入りの死体は、毎晩通い詰めるほどの魅力があったようです。
ネコたちには鮮度にも好みがあるらしく、死体が腐りかけの状態を最も好み、本格的に腐り始めると、食べるのをやめました。
ネコたちは研究所の敷地内に無断で入ってきましたが、完全な野良猫であるという保証はありません。
研究者たちは、死体を食べていたネコたちが、飼い猫の可能性も十分にあると考えています。
ペットとして飼われているネコが、人間の死体を食べているという想像は少し抵抗のあるものです。
しかし、ペットと一緒に一人暮らしをしている人が身近にいる場合は、非常に重要な問題となります。
飼い主を食べるペットたち
これまでに数多くの、イヌやネコが死んだ飼い主を「好んで」食べていた、というショッキングな報告がなされています。
少なくないケースで、彼らはまだ餌場に沢山のドックフードやキャットフードがあるにもかかわらず、死んだ飼い主を先に食べていたのです。
特にイヌにおいては飼い主を食べる行動が顕著であり、同じようなケースの24%では、飼い主が死んで1日以内に、イヌは飼い主を食べ始めていました。
彼らには虐待されていた形跡は一切なく、異常な行動もみられませんでした。
また野生のイヌ科が、獲物の内臓から食べるのが普通である一方で、飼われていたイヌはの73%は、飼い主の顔から食べ始めていました。
イヌががなぜ飼い主の顔から食べるのかは解っていません。
研究者は、飼い主が死んでパニックになったイヌが、飼い主を起こそうと顔をかじっているなかで、不意に食欲を刺激されてしまったからだと推測しました。
ペットに食べられないために
ペットを飼っている以上、死体を食べられてしまうのは、避けられない事実ではあります。
研究者が提唱する確実に避ける方法は、そもそもペットを飼わないことです。
しかし既にペットを飼っている人もいるので、その場合は孤独死を避けることが次善の作になるでしょう。
普段から連絡をとる人を探して、万一の場合、あなたを探しに来てくれる人を確保するといいでしょう。
対策を立てておくのは、ペットのためでもあります。
人を食べたと判断されたイヌやネコは、里親に出されることなく、処分されてしまう可能性が高いからです。
ペットを大切に思うならば、できる限りの対策をしておくべきです。
提供元・ナゾロジー
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