中国政府は26日、フードデリバリープラットフォームに対し、配達員の労働権利を守るよう求め、配達員の最低賃金、労働安全、労働環境など定める指針を発表。

同指針は以下の内容となる:

• 配達員に対し、現地の最低賃金以上の収入を保障。配達員の成績を評価する厳しいアルゴリズムを用いる代わりに、注文数や定時送達率など、KPIを合理的に設定することで、配達時間の制限を緩和。
• 配達員の社会保険加入。
• 注文振り分けシステムを改善し、配達路線を最適化。配達員の交通安全に対する意識を強化。
• 配達員の休憩所を設置し、受取ロッカーを普及。スマートヘルメットを配備し、配達員の労働条件を改善。

指針の発表後、デリバリー最大手の美団(meituan)の株価が一時的に15%急落。中国の配達員の多くは、正規雇用されているわけはないため、社会保険に加入してない。美団には295万人の配達員が所属しており、社会保険加入による支出は会社の大きなコストになると予想できる。

配達スピードを重視する中国デリバリー業界では、近年配達員が交通事故で死亡する事件が急増。プラットフォームが配達時間を厳しく制限したことが、信号無視や、逆走を助長したと世間に猛批判されている。

チャイトピ!編集部より

中国のデリバリーが発達し、国民の生活に利便性をもたらした。チャイトピスタッフも今やデリバリーがない生活が想像できないほど、デリバリーに依存している。激しい市場競争の中において、効率が最も重視されるが、効率を最優先した場合の犠牲者は、紛れもなく労働者である。

少子高齢化が加速する中国では、人件費が今後さらに高まると予想。これに伴い、美団はすでに無人運転の配達車や、配達ドローンの開発を進めている。これらの技術の進化によって中国のデリバリー業界が一変し、配達員が失業する日が来るかもしれない。

提供元・チャイトピ!

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