若者の消費動向に沿った「タオバオ造物節」が開催、アイディア溢れる商品祭り

2021タオバオ造物節（淘宝造物節/Taobao Maker Festival）が上海で開催中。
このイベントは、アリババが若手の起業家や、新ブランドの成長支援を目的としたもので、毎年開催されている。テクノロジーと中国カルチャーが入り混じり、若者を中心に年々盛り上がりを見せる、今話題のイベントである。

2016年から年に1回開催しており、今年で6回目を迎える。展示会場の面積は3万㎡を超え、過去最大規模となった。

タオバオ造物節の会場（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

以前、無人コンビニや、漢服がこのイベントで取り上げられたのは記憶に新しいが、今回アリババは「小規模」、「高い成長率」、「非ヒット商品」という3つの基準から出展店舗を選出。まだ一部の若者消費者の間でしか流行っていない物でも、今後の成長が期待できる商品を調査するため、投資家らも自ら現場に足を運ぶほどである。
今回、チャイトピ！もこのイベントを取材したので、その中の面白い商品をご紹介。

国潮推し

国潮ブームが波に乗っている今、会場を中国風にレイアウト。まるで、時代劇の撮影セットにいるような感覚である。

手のひらサイズの箱に収められる漢服（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

2018年から中国の伝統的な民族服「漢服」が流行し、町を歩いていても漢服を着ている女性をよく見かけるようになった。今回の展示会では、かなり薄い生地で作られ、小さい箱に包装されている漢服が注目を集めた。一番軽い漢服商品は、たったの24gしかない。

調べて見ると、このお店のタオバオ店舗のフォロワー数は、驚くことに4,000人程で、商品の月間販売数もけして多いとは言えない。

しかし、それでもアリババがこの店舗をタオバオ造物節に選出した理由としては、漢服市場は継続的に成長していること、デザインが派手で重いという漢服の常識を覆し、軽くて快適な商品に新たなビジネスチャンスの可能性を感じること、この2点である。

三星堆遺跡の銅像をIP化したフィギュア（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

こちらは、中国四川省の有名な古代文化遺跡「三星堆遺跡」の銅像をIP化したフィギアである。去年、三星堆遺跡での重大な考古発見を機に地元の博物館の人気が急上昇し、人気旅行スポットにランクイン。
現在、ブラインドボックスが様々な分野で活用されているが、博物館から発売されるのはこれが初めてである。

テクノロジーコーナー

2人乗りの大型ドローン（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

新興EVメーカーのxiaopeng（小鹏）が2人乗りドローンを発表。
飛行できる自動車をコンセプトに開発され、このドローンは、電気を動力源としており、25m以下の低空で飛行が可能。

宇宙ホテル（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

「宇宙ホテル」と呼ばれる大きなロケットを設置。中身は「宇宙旅行時の寝室」をモチーフに展示されている。
中国火星探査機の着陸成功や、宇宙ステーションの建設など、宇宙関連の研究加速により、現在「宇宙ブーム」を引き起こしている。

ヘルス関連商品

漢方薬が入ったコーヒー（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

食品コーナーでは、透明なハンバーガーや、ブロッコリー味のアイスクリームなど、アイディアの溢れる食べ物が注目を浴びた。特に漢方薬の入ったコーヒーは、独創力を感じざるを得ない。コーヒー豆や牛乳の他、クコなど身体に優しい薬草を投入しており、ストレスや、睡眠が不足しがちな若者の健康への関心が日々強まる中、健康食品市場は拡大を続けている。

ヒアルロン酸が入った飲料水（チャイトピ！撮影(画像=『チャイトピ！』より引用)

また、美容によく使われるヒアルロン酸入の飲料水も注目を集めた。
開発会社は、中国のヒアルロン酸生産企業で、中国政府が添加物としてのヒアルロン酸を許可したことを機に、ヒアルロン酸を中心とした食品分野に注力している。

育毛用帽子（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

他にも、レーザー技術による育毛を促進する機器を実装した帽子が出展。
抜け毛や、薄毛に悩む中国の若者が増えたことによる、関連商品の需要増加が背景にある。

ペットのクローンサービス

左が本体で、右がクローン（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

中国ペットビジネスの急成長に伴い、ペットのクローンサービスが登場。人より寿命の短いペットへの想いから、動物のクローン、細胞保存の研究開発を展開している。

少し変わってる商品も・・

ギブスカバン、火鍋の香りがするアロマキャンドル、石で作られたスーツ（チャイトピ！撮影）(画像=『チャイトピ！』より引用)

タオバオ造物節は、アリババがタオバオ上の個性的な店舗に自己アピールのチャンスを与える場でもあり、ここで展示される商品の多くは、風変わりなもの、言い換えるとごく一部の人にしか受け入れらないようなものといえる。
しかし、それでも出店者は、市場規模やニーズを問わず、中国の若者に向け、負けじと様々な試行錯誤を行っているのである。

アリババが新ブランドをサポート

アリババが近年、新ブランドや新商品の成長に加勢。今回、タオバオ造物節に選出された店舗は、歴史が浅く、規模の小さい店がほとんどで、出店者の平均年齢は27歳と、かなり若い。
彼らは、アイディアとイノベーションを重視し、中国の若者消費者の心を掴む商品の開発に注力している。

ここ数年、中国では、有名なブランドを超過する新興ブランドが相次いで登場。
アリババの618セール（独身の日と同規模のECセールイベント）では、459個の新興ブランドが小カテゴリーにおいて、売上1位を獲得。これらのブランドは約2017~2019年に創業されており、Z世代といった若い消費者の個性的なニーズに合わせて商品を打ち出すことで、急成長を遂げている。

チャイトピは、中国の市場をお伝えするメディアとして、引き続き若者市場に着目していきたい。

提供・チャイトピ！