映画やテレビでは、偶然の出会いから恋仲へと発展するパターンが多いようです。
見知らぬ二人は「目と目が合った瞬間に」恋に落ちるのです。
ところが、カナダ・ビクトリア大学(University of Victoria)心理学部に所属するダヌ・アンソニー・スティンソン氏ら研究チームは、現実がもっと堅実であることを明らかにしました。
調査によると、カップルになった人の3分の2は、友達関係から発展していたのです。
研究の詳細は、7月12日付の学術誌『Social Psychological and Personality Science』に掲載されました。
私たちの多くは「見知らぬ人と恋に落ちる」ことを望んでいる
ロマンチックな関係に至るプロセスには、いくつかのパターンがあります。
そして私たちはそれぞれ、自分が理想とする「恋愛プロセス」に憧れています。
研究チームの調査によると、約75%の人は「見知らぬ人と恋に落ちる」ことを理想としています。
もしかしたら口癖になっているかもしれない、「誰かいい人いないかな?」という考えは、まさにそれです。
逆に、既に知っている友人たちの中から「時間経過とともに恋心を発展させていくパターン」を理想としている人はたったの8%でした。
ほとんどの人が見知らぬ人との劇的な出会いに希望を抱いているのです。
出会い系アプリなどはこうした人々の願いを反映させたものなのかもしれませんね。
では、わたしたちの願いには科学的な根拠があるのでしょうか?
研究チームは約1900組のカップル(大学生とクラウドソーシングで募集した成人)を対象として、どのように二人の関係が始まったのか調査しました。
恋愛関係の3分の2は友達から始まっていた
調査の結果、現在の恋愛関係の66%が友情から始まっていたと判明。
性別、教育レベル、民族グループにおける違いはほとんどありませんでした。
ただし、20代およびLBGTQ+のコミュニティにおいてはその傾向がさらに高く、85%が友情から始まっていたとのこと。
また大学生の場合、それらカップルの多くは1~2年間は友達のままでした。
さらに研究チームは「参加者の大多数が、恋愛に発展させる目的で友情を育んだわけではなかった」と報告しています。
つまり本物のプラトニックな友情関係から恋愛に発展することが多かったのです。
今回の結果は、多くの人が憧れている出会いとは真逆です。
もし恋人が欲しいなら、会ったこともない人を探すのではなく、身近な友人との関係を深めるべきなのです。
場合によっては、まず「友達から始める」ことが必要かもしれませんね。
さらにこの研究は長年議論されてきた友情と恋愛の関係性に一石を投じるものとなりました。
スティンソン氏は、「私たちの調査によると、友情と恋愛の境界線は曖昧です。何が良い友情を生み出すのか、また何が良い恋愛関係をつくるのか、私たちの仮定を再考しなければいけません」と述べています。
3分の2の恋愛が友情の延長線上にある以上、お互いに共通する要素は多いのかもしれませんね。
参考文献
Two-thirds of romantic couples start out as friends, study finds
元論文
The Friends-to-Lovers Pathway to Romance: Prevalent, Preferred, and Overlooked by Science
提供元・ナゾロジー
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