世界に向けて日本の美意識を発信するというコンセプトを掲げているセイコー プレザージュは、シンプルかつ静謐なデザインで完成度の高い外装に、セイコー自慢の機械式ムーヴメントを搭載しており、コストパフォーマンスの高いラインとして知られている。今回はこの6月にラインナップに加わった“スタイル60’s”という新シリーズを紹介しよう。

【話題の国産ウオッチを本音レビュー|Vol.18】 セイコー プレザージュ スタイル60’s
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

■Ref.SARY193。SS(40.8mm径)。日常生活用強化(5気圧)防水。自動巻き(Cal.4R35)。6万500円

シリーズのネーミングからもわかるように、スタイル60’sはセイコーの1960年代のモデルにインスパイアされたモデルだ。ピックアップしたSARY193は、64年に国産初のストップウオッチ機能を備えて発売された“クラウン クロノグラフ”がデザインの源泉となっている。クラウンはスイス時計に匹敵する性能を持ったマーベルをベースに、より精度を追求した高度成長期の国産時計を代表するモデルで、後のグランドセイコーにも繋がっていくセイコーとしては重要なラインだった。クラウン クロノグラフは1964年の東京オリンピックを見据えてクロノグラフ機能を追加した特に意欲的なモデルで、いまでも国産クロノグラフの名機としてその名前が挙がる。

SARY193を見てみると、クロノグラフ機能こそ廃されているものの、文字盤の雰囲気はクラウン クロノグラフのエッセンスをうまく取り入れているのがわかる。シンプルな白文字盤にゴールドの針とバーインデックス、黒のベゼルを合わせた顔つきは、フラットでかなりレトロな雰囲気だ。インデックス外周部に仕上げを少し変えた面を配置しており、これが平面的な文字盤においてちょっとした味付けになっている。3針+カレンダーと表示もシンプルだし、アクのないルックスなのでビジネススーツに合わせてもスマートな印象だ。

【話題の国産ウオッチを本音レビュー|Vol.18】 セイコー プレザージュ スタイル60’s
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

ケースの厚みは12mmと機械式時計としては抑えめ。しかも手首にフィットするように微妙に丸みを帯びているので装着感は良好だ。ブレスレットはバックル部分も含めしっかりした作りで耐久性は高そうである。防水性能は5気圧と日常生活用強化防水レベルだが、白の文字盤が爽やかなので、個人的には夏時計としてリゾートなどで使っても面白そうだと感じた。

【話題の国産ウオッチを本音レビュー|Vol.18】 セイコー プレザージュ スタイル60’s
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

ムーヴメントはほかのプレザージュにも多く搭載される自動巻きのCal.4R35が採用されている。4R系はセイコーのミドルレンジ価格帯の機種によく搭載されているムーヴメントだが、6振動のロービートで安定した動きが特徴となっている。気になる点はパワーリザーブが41時間と、現行モデルにしてはやや短めなところだが、実際の使用ではそれほど困ることはないだろう。裏ブタはシースルーになっており、このムーヴメントの動きを視覚でも楽しめる。巻き上げ効率の良さでは定評のある4R系らしく、大振りの金メッキローターの動きがかなりダイナミックで、機械式時計ファンなら使うほどに愛着が湧きそうだ。

6万円ちょっとで機械式ムーヴメントを搭載していて、ルックスも品がよくまとまった時計が手に入ると考えると、コストパフォーマンスはかなり高いと思える。クラシカルなルックスだが白の爽やかさが強調されているので、若いユーザー層が使っても違和感はないだろう。モデルバリエーションには黒文字盤のナイロンストラップ仕様などもあり、こちらはややスポーティブな雰囲気が強調されているので、好みに応じてチョイスしたい。

【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-061-012

構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎編集部

提供元・Watch LIFE NEWS

【関連記事】
【第4回-セイコー(プレザージュ&セイコー 5スポーツ)】3大国産時計の売れ筋モデルを調査、本当に売れた時計BEST3
【1位〜5位まで一挙に紹介します】“タイムギア”読者が選んだ、欲しい腕時計ランキングTOP10-後編
進化したエル・プリメロを搭載したゼニスの意欲作、“クロノマスター スポーツ”が登場
菊地の【ロレックス】通信 No.078|小振りで着けやすいベーシックな旧エアキング
アンティークの無名クロノグラフって知ってますか?