アイアンマンのようなフライングジェットスーツのデモストレーションを公開して話題となった新興企業「JetPackAviation(JPA)」が、今度は新たに垂直離着陸(VTOL)航空機「SPEEDER」を発表しています。
その新しい乗り物は、まさに空飛ぶバイクのようであり、最大高度1万5000フィート(4572メートル)まで飛行可能で、最大速度は時速240kmに達するといいます。
現在プロトタイプの初期飛行試験が完了し、予約の受付も開始しています。
一体、それはどのような乗り物なのでしょうか?
垂直離着陸可能な新しい航空機
空飛ぶ車の前に、空飛ぶバイクが来るかもしれません。
新興企業の「JetPackAviation」は、「フライングモーターサイクル」という新しいジャンルの高級車の予約受付を開始しました。
同社は、以前にフライングジェットスーツを公開して話題になったメーカーです。
今回開発が進められているのは、スーツではなく垂直離着陸航空機です。
「SPPEDER」という名称のその乗り物は、まさに空飛ぶバイクのようなデザインです。
これで空を飛ぶとなるとかなり近未来的な感じがします。
公開されているSPEEDERのスペックは、最大高度1万5000フィート(4572メートル)、最高速度は時速240km、最大推力は1200ポンド、連続飛行時間は30分となっています。
この形状で1万5000フィートを飛ぶというのはちょっと怖い気もしますが、かなり高性能な乗り物になるようです。
現在は、そのプロトタイプの最初の飛行試験が完了している状態です。
安定した飛行制御が実証されたプロトタイプ
これが公開されているプロトタイプの飛行試験の様子です。
このプロトタイプ試験は、複雑な新しい飛行制御ソフトウエアをテストしています。
不格好に見えますが、大きなアルミシャーシは、エンジンの位置や配置を変更して試験するためこの形状を取っています。
そのため、時速240kmも出すというこの乗り物のすごさは、ここからは伝わりませんが、非常に安定した飛行制御が実現していることは見て取れます。
開発者は「エンジンを動かしたり、重心が移動したり、燃料が減ることで重量が変化した場合の安定性は非常に驚くべきものだ」と語っています。
30分の飛行時間というのは、ホバーを使った場合の話しです。
このSPEEDERは、水平飛行に移行すると、推進力によって翼から揚力が生成されるため、飛行時間は最大1時間近く延長されるそうです。
そのため、大量にエネルギーを消費するホバー機能だけで飛ぶジェットスーツと比較して、長距離の高速水平飛行を実現できるのです。
燃料は現在は軽油を使うということですが、これも後に炭素排出のない方法に切り替えることを検討しているといいます。
最初有人飛行テストにこぎつけるまで、後どのくらいかかるかはまだ不明ですが、現在の予約価格は1台あたり38万ドル(約4160万円)の見積もりです。
ただ、この値段は予定より上昇しているようです。
最大2人を乗せて飛ぶことが可能で、この乗り物は災害救助活動の現場などで威力を発揮すると想定されています。
非常に高い高度まで対応できるこの乗り物は、日本でも山岳部の遭難者救助などで活躍するかもしれません。
参考文献
Jetpack Aviation’s flying motorcycle prototype aces first tests(newatlas)
Recreational SPEEDER(JetPack Aviation)
提供元・ナゾロジー
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