また、心理学者が「personality(人格)」の代わりに「alter(变化したもの)」といった単語を用いるのには理由があります。
彼らは頭の中に独立した人格を複数持っているわけではなく、その症状については、まるで皿が割れたかのように1つの人格がバラバラになっているとイメージするほうが正しいのです。
そのためすべての「alter」は、もともと1つであった人格の1部分であるということになります。しかし、すべてのalterにおいて、それぞれ気分、年齢、教育水準、さらには性別までもが異なる可能性があるのです。
たとえば、ここに解離性同一性障害を患うジャレッドという男性がいたとします。ジャレッドが持つalterは、「メガネが必要な女性」「年老いた英国人」「いつも泣き声をあげている赤ちゃん」の3つです。
ジャレッドはそれらすべてを同時に頭の中で体験することもありますが、たとえば1つのalterが脳を乗っ取ってしまえば、ジャレッドは自分が記憶喪失になってしまったと感じるかもしれません。
そうした場合、解離性同一性障害に苦しむ人の「メイン」の人格は非常に悲しみ、罪悪感を抱え込んでしまうこともあります。
心理学者たちは今も「1つ」より多くの人格を持つ患者に注目し、その対処法を模索しています。
ちなみに、中には自らが「162」もの人格を持つと主張した女性もいるのだとか。
前述したように、人格にこのような細かな分裂が起こってしまう原因は明らかにされていませんが、できれば私たちは、天から与えられた「たった1つの人格」を大切にしていきたいものです。
提供元・ナゾロジー
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