出生率が減り続けている中で、学資保険の契約件数は過去5年間増え続けている。「教育費の準備=学資保険」という構図が明確になっていると言えるだろう。だが教育費の積立方法は学資保険だけではない。他にどのような方法があるのだろうか。
「運用力×貯蓄力」による商品選び
教育費の積立に適した方法は、自分の運用力と貯蓄力から考えるといいだろう。
「運用力」といっても、投資経験があるか否かということではない。自ら商品選択ができることはもちろん、損失が出ていたり利益がもっと出そうであったりしても、予め決めた価格になったら売却するなど、自らの投資ルールがあるか否かが重要だ。
「貯蓄力」はその名のとおり、貯蓄に向いている性格かどうかということだ。運用力があって利益が出せても、貯める力がなければ教育費の準備はできない。
運用力 高、貯蓄力 高の場合
一般NISAが向いているだろう。年間の投資額が120万円までと非課税制度の中でも高額で、夫婦ともに口座開設した場合、最大で年間240万円まで拠出することができる。
一般NISAでは、つみたてNISAのように運用商品に制限がなく、株式や株式投資信託などから商品を自由に選択できる。非課税期間は最長で5年間だが、いつでも自由に売却することができる。運用力が問われるのはもちろん、子どもが成長するまでキープできる貯蓄力が問われる。
運用力 高、貯蓄力 低の場合
ジュニアNISAが使いやすいだろう。年間投資額は上限80万円であり、一般NISAに比較すると少額だ。だが子ども名義の口座となるため、子どもの人数が多かったとしてもそれぞれの子どもの非課税枠を使って教育費を準備できる。
ジュニアNISAでは、親が自由に商品を選択をして運用する。非課税期間は一般NISAと同じく5年間だが、原則として子どもが18歳になるまで現金化することができない。現金化した場合は、利益に対して課税される。運用力はあるが貯蓄力が低い人に向いているだろう。
運用力 低、貯蓄力 高の場合
学資保険の利用が妥当だろう。今後の景気上昇を見据えて利率が変動する変動国債をお勧めしたいところだが、日本銀行の黒田総裁が金融政策について「結構長い期間にわたり、上げるという考え方はない」(読売新聞2018年9月1日朝刊)と述べている。
学資保険の予定利率を超え、かつ元本の安全性が高い商品がほとんど見当たらない現状では、運用力が低い場合、学資保険のほかに適当な選択肢はない。
運用力 低、貯蓄力 低の場合
こちらも学資保険が向いている。保険料を保険会社に運用してもらうイメージだ。満期年齢前に解約した場合には解約返戻金が支払われるが、支払った保険料総額よりも少なくなるのが一般的だ。
だが現状の運用利率はさほど高くない。特に2017年に金融庁が標準利率を引き下げたことで、保険会社各社が保険商品の運用の目安となる予定利率を引き下げた。たとえばかんぽ生命の予定利率は0.5%だ。多くの商品では、今後景気が上昇した場合にも契約時の予定利率が継続される。つまりインフレ対応力が低いということだ。
学資保険には保障機能などのメリットもあり、デメリットもある。それらも総合的に判断したうえで自分たちにに合った方法を見つけて欲しい。
文・国分さやか(ファイナンシャル・プランナー)
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