前回は当時人気を博したクロノグラフとしてゼニスを代表するレインボー・フライバックを紹介したが、今回は、当時同じく高い人気を誇っていたブライトリングのオールド・ナビタイマーをクローズアップしてみたい。 

 さて、ナビタイマーと言えば、1952年に世界で初めて航空用回転計算尺を装備したクロノグラフとして誕生。いまとなってはパイロットウオッチの代名詞的な存在といっても過言でない。それほどこの緻密にしてメカニカルな意匠に引かれる人は多い。

かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第5回|ブライトリング オールド・ナビタイマー II 】
(画像=マイナーチェンジが実施された1992年以降のオールド・ナビタイマー II 。新たに設けられたクロノグラフ針のカウンターバランス(後端)にある“B”のロゴマークで見分けられる、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 ブライトリングは、ほかのスイスの時計メーカー同様にクォーツショックやスイスフランの暴騰の煽りを受けて79年にその活動を停止する。ここに取り上げた個体は、アーネスト・シュナイダーという人物によって82年に再建された後に、オールド・ナビタイマー名で85年に再び復活。その後継機として92年にマイナーチェンジを果たし、オールド・ナビタイマー II としてリリースされた個体だ。

 オールド・ナビタイマーだが、当初はレマニア社の手巻きムーヴメント、Cal.1872だった。そのため最初は初代と同じくインダイアルが横目の3カウンターだったのだ。しかし、それがわずか1年後の86年にはETA7750ベースの自動巻きCal.13に変更されたことでインダイアルは縦目に配置が変更され、3時位置には新たに日付け表示も追加されるなど一新された。

かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第5回|ブライトリング オールド・ナビタイマー II 】
(画像=裏ブタには摂氏、華氏の換算表が刻印されている。なお、ブライトリングは1999年から全モデルに対してクロノメーター化を実施。そのためそれ以降の個体の裏ブタ中央にあるロゴの周りには写真のようにクロノメーター表記の刻印が追加された、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 その後継であるこのオールド・ナビタイマー II は、ムーヴメントは同じだが、それまでの非防水から3気圧防水にスペックアップ、ミネラルクリスタル風防から硬質なサファイアクリスタルに変更されるなど、堅牢性が強化された。そして、改良を重ねながらも実に16年間というロングセラーを誇ったのだ。その意味では新生ナビタイマーとしての礎を築いたモデルということができるだろう。なおオールド・ナビタイマー II は、クロノグラフ針のカンターバランス(後端)に“B”のロゴマークを備えているため簡単に見分けることができる。

 そんなオールド・ナビタイマー II が生産終了となった2002年は、ちょうどナビタイマーが誕生してから50年目という節目の年だった。それまでのCal.7750から7753へとベースムーヴメントが変更され、ファーストモデルと同じくインダイアルを横目に配置したサードモデルがその年のバーゼル見本市で発表されたのである。

 現在のユーズドの実勢価格はブレスタイプで40万円台後半。革ベルトタイプで40万円台前半と行ったところである。

オールド・ナビタイマー II
■商品データ
生産終了年:2002年
素材:ステンレススチールケース&ブレス
ケース径:40mm
防水性:3気圧防水
駆動方式:自動巻き(ETA7750ベースのCal.13)
その他:クロノグラフ(30分積算計、12時間積算計)、スモールセコンド、回転計算尺、日付け表示
当時の国内参考定価47万2500円

菊地 吉正 – KIKUCHI Yoshimasa

かつて人気を博した90年代の時計たち! 【第5回|ブライトリング オールド・ナビタイマー II 】
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

提供元・Watch LIFE NEWS

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