表情やジェスチャーで「嘘を見抜く」ことは不可能だという研究
(画像=Credit: stock image、『ナゾロジー』より引用)

Point

・「嘘のサイン」として信じられてきた人の言動は、実は「真実」を述べているときのほうが多く用いられていた
・実験では、聞き手は話し手の「嘘のサイン」と思われているものを上手に見分けることができていた
・実際には嘘つきはそのようなサインを意識的に抑制することができるため、態度から発言が嘘かどうかを見抜くことは非常に難しい

よく「嘘のサイン」として知られる「口ごもり」や「手を使ったジェスチャー」ですが、実はそれらのサインは「真実」を述べているときのほうが多く用いられており、嘘を見抜くことの難しさが最新研究により語られています。

Cues to Lying May be Deceptive: Speaker and Listener Behaviour in an Interactive Game of Deception

しかも嘘つきな人は、嘘を見抜かれないために故意的にそのようなサインを表に出さない技術を身につけており、巧妙な嘘つきの嘘を見破るのが至難の業であることが分かります。

実験の参加者には「話し手」と「聞き手」に分かれてもらい、聞き手がいかに話し手の嘘を見破ることができるかといった、インタラクティブなゲームが行われました。話し手の「1,100」の発言の中から、研究者たちは「19」の嘘のサインと思われるものを抽出。その中には「話の途切れ」や「話のペースの変化」、「目線の動き」などが含まれます。

表情やジェスチャーで「嘘を見抜く」ことは不可能だという研究
(画像=『ナゾロジー』より引用)

そして、ゲームを分析した結果、聞き手がそのような代表的なサインをよく見分けていたことが分かりました。つまり、聞き手はそのようなサインを見つけてからコンマ数秒以内に、その時点の発言が「真実」であるかどうかを判断していたのです。

しかしながら、ここで重大な事実が判明します。そうした「嘘のサイン」として抽出されたものは、実は「真実」を語っている際のほうがより多く用いられていたことがわかったのです。

研究を率いたエジンバラ大学のマーチン・コーリー博士は、「この発見は、私たちが考える『嘘をつくとき』の態度には大きな先入観があることを示しています。私たちは他者の話を聞く際に、何か無意識的な反応をしてしまうと思いがちですが、それは抑えようと思えば抑えられるものなのです」と述べ、嘘を見抜くことの難しさについて語っています。

提供元・ナゾロジー

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