フィンランド警察は放棄された盗難車から一匹の蚊を発見。

その後、蚊から採取したDNAによって盗難容疑者を発見することに成功しました。

冗談のようなこのニュースは、英国放送協会(BBC)が報じています。

目次

  1. 「蚊が吸っていた血」から泥棒を特定!?はたして証拠になる?

「蚊が吸っていた血」から泥棒を特定!?はたして証拠になる?

フィンランドの首都ヘルシンキから北に約380km離れた小さな町ラプアで、自動車の盗難事件が発生。

数週間後、盗難車は行方不明になった場所から25km離れた都市セイナヨギで発見・回収されました。

しかし乗り捨てられた車には犯人の痕跡がなく、特定は困難に思われました。

ところがフィンランド警察は、車内に一匹の蚊が飛んでいるのを発見。しかもこの蚊は、最近血を吸ったばかりだったとのこと。

つまり、蚊のおなかに溜まっているのは犯人の血だと考えられます。

そこで警察はこの蚊を分析室に送り、血液からDNAを採取しました。

盗難車の中で「蚊が吸っていた血」から犯人のDNAを採取し逮捕に成功
(画像=盗難車の中を徹底調査し、一匹の蚊を見つける / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

DNAと一致する人物を探したところ、警察登録簿に載っている男性だと判明。これによりその男性は容疑者として事情聴取されることになりました。

ところが容疑者は車を盗んだことを否定。「ヒッチハイクして車に乗せてもらっただけだ」と主張したのです。

事件を担当した警部補サカリ・パロマエキ氏は、「フィンランド警察が事件解決のために昆虫を使用したのは初めてだ」と述べています。

また、「車の中で小さな蚊を見つけるのは簡単ではありません。これは、犯罪現場の調査がどれほど徹底的であったかを示しています」と付け加えました。

しかし、この調査方法は前代未聞ゆえ、問題があります。

それは、「現場の蚊から採取された血が起訴を成立させるほどの証拠となり得るのか?」という問題です。

ちなみにこの事件は海外掲示板Redditでも話題になっており、「証拠としてはかなり弱いが、容疑者を絞る方法としては有用」との意見が多いようです。

いずれにせよ検察官はこの点を正しく判断しなければなりません。

科学技術が進歩した現代では、犯人は一匹の蚊にさえ気を払わなければいけません。完全犯罪はすでに小説の中だけなのかもしれませんね。


参考文献

Mosquito blood ‘identifies thief’


提供元・ナゾロジー

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