創業150年以上の歴史を誇るフランスの老舗時計ブランド“LIP(リップ)”が、日本市場で再び本格展開を始めた。今回は、二つの代表コレクションに注目しつつ、リップの魅力を改めてクローズアップしてみた。

数々の名作を輩出してきたフレンチブランドの代表格

 現在では“時計大国=スイス”というイメージが定着しているが、かつてはフランスが産業の中心地であった。18世紀後半にはブレゲ創業者のアブラアン=ルイ・ブレゲをはじめ、歴史に名を残す時計師を輩出している。そんな重厚なバックボーンをもつフランスの時計界で、古くから愛され続ける老舗メーカーがリップだ。

 創設は1867年。アーネスト・リップマンがフランス東部に位置するブザンソンに構えた時計工房が原点であり、その後、150年以上に及ぶ歴史のなかで、世界各国の要人に贈呈されたチャーチルや、フレンチデザインを象徴する名作マッハ2000など、数多くの傑作を生み出した。

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=1970年代に製作された代表作マッハの広告ビジュアル、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 一説には1950年代後半に年産で50万本の時計を生産し、圧倒的な販売数から当時のブライトリングやブランパンが、リップとのダブルネームで販路拡大を図ったというのだから、当時の勢いがうかがえる。

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=スイス国境に近い、フランス・ブザンソンにあるリップの時計工場。現在も、自社工場で一つひとつ職人が時計を組み立てている、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 近年はそうした歴史へのオマージュとして、名作の復刻モデルを展開。オーセンティックな雰囲気とファッション性を兼ね備えたデザインに加え、語りどころも満載なヘリテージコレクションは、瞬く間に時計ファンの心を掴み、いまでは同社を代表するコレクションとなった。

 今回は、再び日本での本格展開を開始したリップの代表作を振り返りつつ、改めてその魅力を紹介していこう。

》編集部の注目モデル-其の1

LIP(リップ)
マッハ2000

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 20世紀のフランスを代表するインダストリアルデザイナー、ロジェ・タロン。彼が残した作品のなかで、現在われわれが最も気軽に触れることができるのがこのマッハだ。21世紀になっても古びないデザインを目指して1974年に生み出したモデルであり、一見個性的なデザインだが、人間工学に基づいて着けやすさ、時間の見やすさが考慮されている。ケースは左側がラウンド、右側が直線というアシンメトリーな構成で、レバーのような形状をしたリューズやボタン類が非常にアイコニックだ。それでいて文字盤はシンプルにまとめられており、視認性は高い。MoMAの永久所蔵品コレクションにも入っているインダストリアルデザインの傑作だ。

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

■Ref.670080(ラバー)。SS(40×42mmサイズ/約10mm厚)。日常生活防水(5気圧)。クォーツ。5万9400円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

■Ref.671159(ラバー)。SS(40×42mmサイズ/約10mm厚)。日常生活防水(5気圧)。クォーツ。5万9400円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

Ref. 671086(メッシュ) 。SS(40×42mmサイズ/約10mm厚)。日常生活防水(5気圧)。クォーツ。5万9400円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

■Ref.671081(スケルトン)。SS(40×42mmサイズ/約10mm厚)。日常生活防水(5気圧)。自動巻き(MIYOTA 8N24)。4万73000円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 マッハ2000の裏ブタにはブランドロゴとともに、ロジェ・タロンの手書きサインが刻印され、特別感を加えている。

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 1929年パリ生まれの工業デザイナー、ロジェ・タロン。フランス国鉄のアドバイザーとして特急列車TGVのデザインを手がけたほか、2011年に没するまでフランスを代表するデザイナーとしてデュポン、キャタピラなど様々な企業でデザインを手がけた。


》編集部の注目モデル-其の2

LIP(リップ)
チャーチル

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 1940年代に製造されていた“Type 18”の復刻版。第2次世界大戦でナチス・ドイツの占領下におかれたパリ解放に尽力したとして、48 年にフランス政府からイギリス首相であったウィンストン・チャーチルに贈呈された時計。アール・デコを基調としたクラシックな角型デザインが当時の雰囲気を醸し出す。LサイズのT24とMサイズのT18、二つのサイズがラインナップされており、好みに合わせてセレクト可能。ペアウオッチとしても着けられるため、ギフトウオッチにもおすすめだ。
■(左)T24。Ref.671270。SS(42×24 mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。2万9700円
■(右)T18。Ref.671000。SS(39×21 mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。2万9700円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

■T18。Ref.671014。SS(39×21 mmサイズ)。3気圧防水。クォーツ。2万9700円

【巨匠の名作から、大統領の愛用時計まで!?】フランスの名門“LIP(リップ)”が、新作を加えて再始動!
(画像=『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 エッジを立たせたコンパクトなスクエアケース。サイドにヘアライン仕上げ、カーブさせたベゼルとフロント部分にはポリッシュ仕上げを施しており、クラシックなデザインに高級感を加えている。


【問い合わせ先】
エイチエムエス ウォッチ ストア表参道
TEL:03-6438-9321


文・船平卓馬/提供元・Watch LIFE NEWS

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