日常で起こる時計のトラブルの原因として最も多いのは何か。以前、とある時計技術者に聞いた際、最も多いとされたのは水に関するものだった。そして、これに次いで多いとされたのが“磁気”である。
 磁気が時計に及ぼす影響については今回割愛させたいただくが、磁気製品が身近にあふれている現代生活において、いったいどの程度の耐磁性能を備えた時計ならば安心して使えるのだろうか。

【知っておきたい腕時計の基本】現代生活に本当に必要な耐磁性能とは?
(画像=磁気の影響を受け流すことで、ムーヴメントへの影響を回避してきた耐磁時計の基本構造。いまも耐磁時計の多くはこうした古典的な構造を採用している、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 JIS規格に基づく“耐磁時計”には、4800A/mまでの耐磁性能を持つ第1種耐磁、そして1万6000A/mまでの耐磁性を備える第2種耐磁の2種類がある。だが、この数字だけ見ても具体的な性能はわかりにくいだろう。
 そこで、身の回りにあふれている磁気を発する製品と磁界の強さとの関係を示した下の表を見みてほしい。

【知っておきたい腕時計の基本】現代生活に本当に必要な耐磁性能とは?
(画像=意外なことだが、スマートフォンのスピーカー部分やも密着状態だとその磁気の影響が小さくない。現代はまさにそこらじゅうに磁気帯びの危険が潜んでいる、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 実は身の回りにあるもののなかにも強力な磁気を発する製品が多いことがおわかりになるだろう。磁気を発するものから10cm以上離した状態であれば影響は少ないが、密着状態ではなんとその多くが第2種耐磁時計の限界値を超えてしまっているのである。とはいえ、日常生活において不意に密着状態となってしまうことはいくらでも考えられるだろう。つまり、現代社会においては第2種耐磁時計であっても“絶対安心”というわけではないのだ。

【知っておきたい腕時計の基本】現代生活に本当に必要な耐磁性能とは?
(画像=シーマスター 300 コーアクシャル マスター クロノメーター 41MM
1957年に発表された初代シーマスター 300の意匠を継承する“シーマスター 300”の2021年発表モデル。マスター クロノメーターCal.8912を搭載し、1万5000ガウスもの耐磁性能を備える。
■Ref.234.32.41.21.01.001。SS(41mm径)。30気圧防水。自動巻き(Cal.8912/60時間パワーリザーブ)。72万6000円/【問い合わせ】オメガ omegawatches.jp、『Watch LIFE NEWS』より 引用)

 現代生活で本当に磁気の影響を防ぎたいのであれば、さらに優れた耐磁性能を備えるモデルをチョイスすべきだろう。例えば、ロレックスのミルガウスはおよそ8万A/mまで、オメガのマスター クロノメーター認定モデルにいたっては1万5000ガウス(119万A/m相当)という超耐磁性能だ。控えめに見てもミルガウスレベルの耐磁性能がないと十分とは言いがたいのである。

文・堀内大輔/提供元・Watch LIFE NEWS

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