世紀の大発明が行われました。
6月25日にニュージーランドのオタゴ大学により『British Dental Journal』に掲載された論文では、磁石を用いて上下の歯を固定し固形物を食べられなくすると、2週間後には減量効果を発揮することが示されました。
この世紀の大発明に対してネットでは一部、拷問器具に例える表現がみられるものの、多くの人々の注目を集めています。
また実験に参加した被験者たちは
「使いにくい」
「自由に話せない」
「実はチョコ溶かして、食べてました!」
と述べています。
それでは実際の、装着方法ならびに驚きの仕組みをみていきましょう。
おくちを封鎖するとダイエットができる(名案
肥満を解消する手段は、原理的には2つあります。
1つは摂取カロリーを減らすこと、そしてもう1つは摂取した以上のカロリーを消費することです。
そこで今回、ニュージーランドのオタゴ大学の研究者たちは前者、摂取カロリーを減らす方法として画期的とも言える「おくちの封鎖」を考え付きました。
といっても、唇を縫い合わせるわけではありません。
封鎖にあたって使用されたのは強力な磁石です。
この磁石を、歯科矯正に用いるステンレス鋼とロッキングボルトを用いて、被験者たちの上下の奥歯(第一臼歯)に互いに引き付け合うように2mmほどの可動域を設けて固定します。
すると被験者たちは固形物を摂取することも咀嚼することも不可能になります。
栄養補給として許されたのは、水分のほか、低カロリーな流動食(1日あたり1200kcal)のみです。
そして2週間が過ぎました…。
結果、被験者たちは平均して6.36kgの減量に成功します。
これは被験者たちの平均体重(125kg)の約5.1%にあたる数値です。
しかし残念なことに、この数値は、正確な値ではありませんでした。
我慢できずにチョコ溶かして食べちゃった
2週間の苦行を経て得られた数値が、なぜ正確なものではなかったのか?
原因は、一部の被験者の裏切りでした。
例えばジェシー(仮称)の場合。
彼女は空腹に耐えかねて、実験期間中にもかかわらず、溶かしたチョコレートを2mmの隙間から流し込んでいたことを告白します。
同様の違反は他の被験者でも可能です。
そのため実験成果には誤差に加えて、違反による下振れも含まれていると考えべきでしょう。
拷問器具との批判もある
今回の研究により、新たに開発された装置(デンタ・スリムと命名)がダイエットに有効であることが示されました。
一部の違反行為はあったものの、デンタ・スリムは被験者たちが固形物を摂取することを大幅に妨げ、減量の大きな力になったからです。
一方で、いくつかの問題点も存在します。
デンタ・スリムを着用中、被験者たちは口の中に違和感を感じ続けるだけでなく、会話能力も制限された状態にありました。
そのため研究内容を公開すると、ネット上では多くの人々が、デンタ・スリムを拷問器具であると批判しました。
しかし研究者たちは、デンタ・スリムには未来があると信じています。
例えば、いくつかの手術では患者が太り過ぎていると開腹が行えない場合があります。
通常ならば患者は入院しつつ減量して手術にこぎ着けますが、医師に隠れて食べ物を食べてしまうような患者に対しては、打つ手がありません。
そんな時に、デンタ・スリムを使うことができれば、患者の命を救える可能性が高くなるでしょう。
参考文献
New weight-loss tool prevents mouth from opening more than 2mm
元論文
An intraoral device for weight loss: initial clinical findings
提供元・ナゾロジー
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