全国の自治体から趣向を凝らした返礼品が登場し、年々人気が高まっているふるさと納税。お得に全国の名産品などをゲットできるふるさと納税は、納税者なら必ずチェックしておきたい制度です。

ただ、ふるさと納税後に引っ越しを予定している方、すでに引っ越した方は注意が必要です。ふるさと納税後に引っ越した場合、多くの方は追加の手続きが必要になるためです。

ここでは、ふるさと納税後に引っ越した場合の手続きについて、ケース別に詳しく解説していきます。

目次

  1. 1. ふるさと納税とは?
  2. 2. 多岐にわたる返礼品の数々
  3. 3. ワンストップ特例制度とは?
  4. 4. ふるさと納税をした年に引っ越した場合は基本的に手続きが必要
    1. 4.1 返礼品を受け取りワンストップ特例を利用する場合
    2. 4.2 返礼品を受け取っていない状況でワンストップ特例を利用予定の場合
    3. 4.3 返礼品を受け取っていない状況で確定申告をする予定の場合
  5. 5. ふるさと納税後の引っ越しでも手続きが必要ないケース
    1. 5.1 ふるさと納税をした年以外に引っ越したケース
    2. 5.2 引っ越し先の市区町村が同じケース
    3. 5.3 海外へ引っ越したケース
  6. 6. 引っ越しをする予定の方がふるさと納税を利用するときの注意点
    1. 6.1 住民票は早めに異動
    2. 6.2 ワンストップ特例制度を利用する場合は期限に気を付ける
    3. 6.3 できれば引っ越し後にふるさと納税を利用する
    4. 6.4 返礼品をまだ受け取っていない場合に、住所変更のために自治体に連絡する

1. ふるさと納税とは?

「ふるさと納税」という言葉は、巷でよく耳にはするけれど、利用したことがなければ詳しく知らない方も多いはず。まずは「ふるさと納税とはどんな制度なのか」について説明していきましょう。

ふるさと納税とは、「地方自治体に寄付をすることで、所得税の還付および住民税の控除が受けられる制度」です。簡単に言うと、税金の負担額が抑えられるのです。

ただし、ふるさと納税による税金の控除額には上限があり、無限に控除されるわけではありません。控除上限額は収入や家族構成などで変動し、人によって異なるため、ふるさと納税をする際には自分の控除上限額を知っておくことが重要です。

控除上限額の範囲内で寄付をすれば、実質自己負担額は2,000円(2,000円を超える部分は税金が控除されます)。「え、結局2,000円払うんだったらどこがお得なの?」と思われた方もいるかもしれません。

ふるさと納税が人気なのは、「寄付をして終わり」ではないからです。ふるさと納税を利用して地方自治体に寄付をすると、寄付をした自治体から「返礼品」がもらえます。お肉や魚、果物など、通常2,000円では買えないような豪華な品々が「お礼」として送られてくるのです。

2. 多岐にわたる返礼品の数々

返礼品の種類は多岐にわたり、全国の自治体が食べ物に限らず化粧品や旅行券、バッグやアクセサリーなど、独自の返礼品を用意して寄付集めにしのぎを削っています。

ふるさと納税は「ふるさと」の名を冠してはいますが、自分の出身地や居住地以外への寄付も可能。

どこに寄付するかは個人の自由なので、応援したい自治体を選ぶ方も方いれば、魅力的な返礼品を用意している自治体を選んで寄付する方もいます。複数の自治体に寄付してもOK。いずれにしても、小額の負担で地方の名産品などが届くなんて、ワクワクしますよね。

3. ワンストップ特例制度とは?

ふるさと納税として寄付した金額は、その年の所得税と翌年度の住民税から還付・控除されます。税金の還付・控除を受けるには、寄付金控除の申請が必要。寄付金控除の申請方法として、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」の2種類があります。

前者の「ワンストップ特例制度」とは、確定申告を行うことなく簡易的に寄付金控除の申請ができる制度です。

寄付をした翌年の1月10日までにワンストップ特例申請書(寄付金税額控除に係る申告特例申請書)と本人確認書類(マイナンバーカードのコピー等)を、寄付した自治体に送ることで、翌年度の住民税から控除されます。

ワンストップ特例制度を利用するには条件があり、「給与所得者(会社員や公務員)等で確定申告をする必要がないこと」、「年間の寄付先が5自治体以内であること」の2つを満たしている必要があります。

会社員であっても、副業等で年間20万円以上の収入があった場合や2,000万円を超える給与収入があった場合、医療費控除の申告を行う場合などは確定申告が必要となるため、ワンストップ特例制度を利用することはできません。

確定申告なしで寄付金控除の申請ができる便利な制度ですが、気を付けてほしいのが、ワンストップ特例申請書は寄付をしたすべての自治体に送る必要があることです。

例えば、5つの自治体にふるさと納税を行った場合は、申請書を5通用意して、5つの自治体にそれぞれ送る必要があります。複数の自治体に寄付をした場合は、漏れがないように注意しましょう。

一方、フリーランスや自営業者をはじめ確定申告の義務がある方や、年間6以上の自治体に寄付を行った方は、確定申告時に寄付金控除を申請することになります。

確定申告の期日までに、確定申告書類と寄付金受領証明書等を税務署に提出することで、ふるさと納税をした年の所得税の還付と翌年の住民税からの控除が受けられます。

4. ふるさと納税をした年に引っ越した場合は基本的に手続きが必要

ふるさと納税を利用する際に要注意なのが、「引っ越し」。ふるさと納税をした年に引っ越した場合は基本的に手続きが必要となるからです。

返礼品を受け取っているかどうか、ワンストップ特例制度を利用するかどうかで状況が変わってくるため、ここでは3つのパターンに分けて解説していきます。

4.1 返礼品を受け取りワンストップ特例を利用する場合

すでに返礼品を受け取っていて、ワンストップ特例制度を利用予定の場合は、「住所変更手続き」が必要になります。まだワンストップ特例申請書を提出していない場合は、引っ越し後の新住所で寄付した自治体に申請書を提出するだけなので簡単です。

寄付した自治体から届いた申請書を利用する場合は、旧住所に二重線を引き訂正印を押した上で新住所を記入すればOK。また、総務省の公式HPから申請書をダウンロードし、新住所を記入して提出することもできます。

引っ越し前の旧住所でワンストップ特例申請書を提出済の場合は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」の提出が必要になります。この変更届出書もワンストップ特例申請書同様、寄付をした翌年1月10日までに、寄付をしたすべての自治体に送る必要がある点に留意しましょう。

4.2 返礼品を受け取っていない状況でワンストップ特例を利用予定の場合

ワンストップ特例制度を利用予定でまだ返礼品を受け取っていない場合は、2つの手続きが必要になります。

ひとつは、すでに返礼品を受け取っている場合同様、「住所変更手続き」。ワンストップ特例申請書を提出していない場合は、引っ越し後の新住所で申請書を提出すれば住所変更手続きが完了します。

旧住所でワンストップ特例申請書を提出済の場合は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を寄付したすべての自治体に、ふるさと納税をした翌年の1月10日までに提出しなければなりません。

「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」はあくまでも住民税の控除に関する手続きです。したがって、返礼品を受け取っていない場合は、あわせて返礼品を新住所に送ってもらうための手続きも必要となります。手続きの方法は自治体によって異なるため、寄付をした自治体に直接問い合わせてください。

4.3 返礼品を受け取っていない状況で確定申告をする予定の場合

返礼品を受け取っておらず、確定申告を予定している場合は、返礼品を新住所に送ってもらうための手続きのみが必要となります。前述の通り、自治体によって手続き方法が異なるため、寄付をした自治体に直接問い合わせましょう。

5. ふるさと納税後の引っ越しでも手続きが必要ないケース

例外的に、ふるさと納税後に引っ越しても手続きが不要なケースもあります。例えば、返礼品を受け取り済で、かつ確定申告を行う予定の場合は、追加の手続きの必要はありません。そのほか、ふるさと納税後に引っ越しても手続きが不要なケースは下記の通りです。

5.1 ふるさと納税をした年以外に引っ越したケース

ふるさと納税後の引っ越しであっても、ふるさと納税をした年以外に引っ越す場合は、税金の還付・控除に影響がありません。そのため、ワンストップ特例制度を利用している場合でも、確定申告をしている場合でも、手続きの必要はありません。

5.2 引っ越し先の市区町村が同じケース

同じ市区町村内で引っ越しをした場合、住民税の支払先が変わらないため、追加の手続きの必要はありません。

5.3 海外へ引っ越したケース

ふるさと納税をした年に海外に引っ越した場合、翌年の1月1日には日本に納税の義務がない「非居住者」扱いとなります。非居住者となった場合はそもそも住民税が課されないため、ふるさと納税をしても翌年の住民税からの控除は受けられません。したがって、ふるさと納税後に引っ越しをしても手続きは不要となります。

6. 引っ越しをする予定の方がふるさと納税を利用するときの注意点

ふるさと納税後の引っ越しでも例外的に手続きが必要とならないケースもありますが、多くの方は引っ越しに伴い追加の手続きが必要となります。

ふるさと納税と同じ年に引っ越しを予定している方は、下記のことに注意してください。

6.1 住民票は早めに異動

そもそも住民票は、特別な事情がない限り、引っ越しから14日以内に異動しなければならないと決められています。住民票は公的な証明であり、引っ越し後のさまざまな手続きに住民票の写しが必要になるケースがあるため、引っ越し後は早めに異動しましょう。

6.2 ワンストップ特例制度を利用する場合は期限に気を付ける

確定申告を行わず、ワンストップ特例制度を使って住民税の控除を申請する場合は、申請期限に注意しましょう。

前述の通り、ワンストップ特例申請書は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日までに寄付したすべての自治体に提出しなければなりません。

また、旧住所でワンストップ特例申請書を提出していて、引っ越し後に「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出する必要がある場合、その提出期限も寄付をした翌年の1月10日。この変更届出書の提出は忘れがちなので、引っ越し後早めに手続きしておくことをおすすめします。

6.3 できれば引っ越し後にふるさと納税を利用する

ふるさと納税をした年に寄付をした後に引っ越しをすると、多くの方は引っ越しに伴う追加の手続きが必要となります。

一方、引っ越し後にふるさと納税をすれば余計な手続きがなく、スムーズです。引っ越しが年末でない限り、できれば引っ越し後にふるさと納税をしたほうがいいでしょう。

6.4 返礼品をまだ受け取っていない場合に、住所変更のために自治体に連絡する

返礼品をまだ受け取っていない場合は、ワンストップ特例申請を利用する場合でも、確定申告をする場合でも、新住所で返礼品を受け取るための手続きが必要です。

「旧住所に返礼品が送られてしまった!」ということのないように、引っ越しの日程が決まったら早めに寄付をした自治体に連絡しましょう。

ふるさと納税の後に引っ越した場合の手続きについて、ケースごとに解説しました。ふるさと納税の後に引っ越しを予定している方、あるいはすでに引っ越した方は上記の情報を参考に、お得なふるさと納税ライフを楽しんでください。

文・写真 旅の基本情報お届け部/提供元・たびこふれ

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