Point
■成功者は、勝ち(成功)を積み重ねているときに自信を持つ傾向にある
■勝敗が仕組まれているトランプゲームでさえ、勝者は自分の才能やスキルのおかげだと思っていた
子供を「いじめる側」にしてしまう親の特徴が明らかに
成功者の秘密は勝ちを積み重ねることから生まれる絶対の自信かもしれない。
以前から世の中の成功者に必要なのは才能やスキルなのか、それとも自信や運勢なのかということが長い間議論されてきた。そこでイタリア・欧州大学院の研究チームは、成功者に特異な傾向を調査するため、トランプゲーム(1対1の大富豪)による実験を行なった。
しかもこのゲームはスキルがなくとも、勝敗があらかじめ決定されるように仕組まれている。それでも結果は、ゲームの勝者の方が敗者よりも自分の成功(結果)を運ではなく技術スキルのおかげであると見なす傾向が強いことが判明した。
成功者の自信は「何事もうまくいっている」と感じるときに生まれるのだろう。
研究の詳細は、7月17日付けで「Science Advances」上に掲載されている。
It’s not just how the game is played, it’s whether you win or lose
勝ち負けが自信を形作る
研究チームは、ウェブサイト 「Amazon Mechanical Turk」 を通じて約1000人の参加者を募り、「大富豪」による調査を敢行。参加者には2.5ドル、ゲームに勝った場合は5ドルのボーナスを与える約束をしている。
1対1の大富豪にはある仕掛けがなされており、スキルがほとんどなくとも、ゲーム開始時の状況で勝敗が左右されるように仕組まれている。具体的には、1ラウンド目で最初にカードを引いた方が有利な手札となり、もう片方のプレイヤーは不利になる。
さらに2ラウンド目ではカードを配り終わった後、勝者が相手の手札から強いカードを2枚もらい、反対に自分の手札から弱いカードを2枚渡すという設定にしている。つまり最初に勝ったプレイヤーの勝ちが続くように設定してある。
そしてゲームの終わりに、参加者たちに対して「ゲームが公平だったと思うか」についての質問をしている。
するとゲームの設定に関わらず、勝者は敗者よりも「公平だった」と答える割合が高く、また敗者よりも才能やスキルに長けていたと感じている参加者が多かったのだ。
これはあくまでのトランプゲームでのことであるが、研究主任のマウリツィオ・ブッカ氏によると、こうした成功者(勝利者)心理は現実世界においてより高くなるという。
勝ち(成功)を継続させることが自分の才能やスキルへの自信の増大につながっているのは間違いない。そうであればこの心理を逆に利用して、日頃の生活から小さな目標を設定し、ひとつずつ成功を積み重ねていくことで自分への大きな自信につながるのかもしれない。
かの有名なウォルト・ディズニーは夢を叶える秘訣として4つの「C」が大切だと説いた。それが「好奇心(Curiosity)」「勇気(Confidence)」「自信(Courage)」「継続(Constancy)」である。
これら4つの「C」はすべて成功者心理の内に含まれているのだろう。
文・ライター:大石航樹 編集者:やまがしゅんいち/提供元・ナゾロジー
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