目次

  1. 人生の普遍的テーマに関するアドバイスが大多数
  2. 「なりたい」自己に近づくために…
若い頃の自分にどんなアドバイスする? 初の実態調査が行われる
(画像=Credit: depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

Point

■若い頃の自分へアドバイスを伝える場合、多くの人が過去の恋愛、教育の機会、個人の価値ついて伝えたがる

■若い頃の自分へのアドバイスは、過去の決定的な出来事と深く結びついている

■若い時にそのアドバイスに従っていれば、自分自身が目指す自己に近づけたはずだと考える人が多い

「もしも時間を巻き戻せるなら、若い頃の自分にどんなアドバイスをする?」

定番なお題の1つだが、実際に「人々がどんなアドバイスを伝えるか」を調べた研究は、これまで行われたことがなかった。

米クレムソン大学の研究チームが数百人の被験者(30歳以上)を対象にこの質問に関するアンケート調査を行ったところ、その多くが過去の恋愛、教育の機会、個人の価値に関するものであることが明らかになったのだ。

論文は、「The Journal of Social Psychology」に掲載されている。

If I knew then what I know now: Advice to my younger self

人生の普遍的テーマに関するアドバイスが大多数

若い頃の自分にどんなアドバイスする? 初の実態調査が行われる
(画像=Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

「若い頃の自分に何をアドバイスするか」をアンケートした結果、被験者のほとんどが恋愛・教育・自分自身・将来の夢と目標・お金に関するアドバイスを、若い頃の自分に伝えたいと考えることが明らかになった。

目立ったのは、「彼女と結婚してはいけない」「大学に行きなさい」「自分らしくありなさい」「目標に向かって常に動き、チャンスを無駄にせず、自分を高めつづけなさい」「無駄遣いしないで貯金しなさい」といったアドバイスだ。

誰でも「あるある〜そうだよなぁ」と思わず共感を覚えるものが、1つや2つはありそう。それは、これらが、愛・学び・自己・夢・経済という、人生における重要かつ普遍的なテーマであることの現れかもしれない。

興味深いことに、これらのトピックは、人生での後悔に関する調査でよく挙げられるトピックと、ほぼ一致していた。後悔しているからこそ、「過去の自分に伝えたい」という気持ちが生まれるのだろう。

「なりたい」自己に近づくために…

被験者の多くは、自身が考えついた若い頃の自分へのアドバイスが、過去の決定的な出来事(いじめにあっていた時、恋人と別れた時、飲酒やドラッグの問題を抱えていた時)と深く結びついていると語った。また、彼らはそれらの出来事が生じたことを、これまでに幾度となく後悔してきたことを吐露している。

また、被験者の優に半数以上が、それらの出来事が起きて以降、若い頃の自分へ送るアドバイスの内容に従って生きてきたと回答した。

さらには、被験者の大半が、若い時にそのアドバイスに従っていれば、他者や社会が押し付ける「なるべき」自己ではなく、自分自身が目指す「なりたい」自己に近づけただろう、と考えていることも分かった。

加えて、「若い頃の自分へのアドバイスに、実際に従って人生を過ごしてきた」と回答した被験者が、そうでない被験者と比べて、「若い頃の自分が現在の自分の姿を目にしたら尊敬の念を抱くだろう」と答える割合が高いことも明らかになった。

若い頃の自分にどんなアドバイスする? 初の実態調査が行われる
(画像=Credit: pixabay、『ナゾロジー』より 引用)

今回の調査は、手付かずのトピックについてのあくまでも予備調査に過ぎず、文化圏やデータの集め方が異なれば、違う結果が出る可能性もある。

とはいえ、この研究が、「年齢を重ねるにつれて、若い頃の自分へのアドバイスの数や種類が変化するか?」、「アドバイスに従うことは、感情や将来への希望にどう影響するか?」など、新たな疑問を次々と生むきっかけにもなることは間違いなさそうだ。

若気の至りを無かったことにすることは不可能だが、在りし日の自分へのアドバイスは、今の自分へ「贈る言葉」に他ならないのかもしれない。

reference: digest.bps

提供元・ナゾロジー

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