たまに肘をぶつけると、前腕にビリッと電気が走ったことはありませんか?

痛みというよりは痺れに近いでしょう。

この現象は一般に「ファニーボーン」と言われ、多くの人が何度も経験しています。

なぜ肘のある部分を打つと、奇妙な痺れが生じるのでしょう?

また、「ファニーボーン(おかしな骨)」と呼ばれるのはなぜでしょうか?

目次

  1. 骨ではなく、神経を打っていた

骨ではなく、神経を打っていた

先に答えを言ってしまうと、ファニーボーンは肘の骨ではなく、神経を打つために生じます。

その神経を「尺骨神経(しゃっこつしんけい)」といいます。

尺骨神経は、背骨から首を通り、肩〜肘まで伸びる上腕骨を経て肘をまわり、尺骨(下腕の小指側の骨)と橈骨(とうこつ、下腕の親指側の骨)を過ぎて手首に至る神経です。

肘をぶつけるとビリッと痺れる「ファニーボーン」はなぜ起こる?
(画像=赤い部分が「上腕骨」 / Credit: jp.depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

尺骨神経は、指先から脳へ情報を伝達する役割を担っています。

特に、小指と薬指の感覚を認識したり、手の動きを制御したりする部位として重要です。

神経の大部分は骨や筋肉、脂肪によって守られていますが、ちょうど肘を曲げた辺りで「肘部管(ちゅうぶかん)」という細い管を通ります。

肘部管は、肘の内側にある骨と靭帯・筋肉の膜でつくられるトンネルのこと。

この部分は浅いところにあるので、肘を曲げると尺骨神経が引き延ばされ、皮膚側に露出します。

そこに何か硬いものがぶつかると神経に刺激が伝わって、ビリッとかビィーンといった痺れが発生するのです。

場所でいうと、肘の折り目の延長上に現れる小さな骨の出っ張り辺りで、痺れはそこから手首にかけて起こります。

肘をぶつけるとビリッと痺れる「ファニーボーン」はなぜ起こる?
(画像=「ファニーボーン」の由来は? / Credit: jp.depositphotos、『ナゾロジー』より 引用)

では、この痺れ現象が「ファニーボーン(Funny bone、おかしな骨)」と呼ばれるのはなぜでしょう?

これは、痺れが起きる「上腕骨」を英語で「humerus(ヒューメラス)」ということに由来します。

humerusは、発音的に「おかしな」を意味する「humorus(ユーモラス)」とほとんど同じです。

つまり、ヒューメラス(上腕骨)からユーモラスを経て、同義語のファニーに転じ、最終的に「ファニーボーン」となったのです。

偶発的にファニーボーンが起こっても、特に問題はありません。

ただし、ファニーボーンを体験しようとして、いたずらに尺骨神経を刺激すると、尺骨神経障害を起こしかねません。

肘を曲げた状態での作業やスポーツを繰り返していると、尺骨神経が骨と摩擦を起こしたり、圧迫されたりします。

これを原因として生じるのが尺骨神経障害です。

最初は小指や薬指の軽い痺れから始まり、悪化すると前腕の感覚が鈍くなって、運動障害を起こすこともあります。

なので、肘をむやみに叩いたり、机や椅子の肘掛に当てたりするのはやめておきましょう。

参考文献
Why does it hurt so much when you hit your funny bone?

提供元・ナゾロジー

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