Point
■SNS疲れを解消したい時、ユーザーはそのSNSを閉じるよりも、その中に長く留まる傾向がある
■SNS内で行動を頻繁に切り替える人ほど、SNS中毒に陥っている可能性が高い
■SNSにストレスを感じた時、ユーザーがそのSNSの別のエリアへ移動して、それを異なる方法で利用できることが要因か
フェイスブックやインスタグラムなどのSNSが、「テクノストレス」を引き起こしていることが最近の研究で明らかになりました。
SNS疲れを感じた時、ユーザーはさらにSNSにのめり込む傾向があるようです。
この研究を行ったのは、英ランカスター大学ビジネススクールの研究チーム。論文は「Information Systems Journal」に掲載されています。
Explaining the link between technostress and technology addiction for social networking sites: A study of distraction as a coping behavior
SNS内の注意散漫の度合いがSNS中毒に関連
研究チームは、フェイスブックを利用する444名が持つインターネットの利用習慣を、3段階のパネル調査を用いて評価。
1年の調査期間中にインターバルを設け、それぞれ社会的負荷やSNSの利用週間、注意散漫さ、中毒性など異なる調査が行われました。
結果を分析したところ、SNSストレッサーがSNS内外における注意散漫に大きく影響していることが判明しました。また、SNSの利用習慣が、SNSストレッサーとSNS内における注意散漫の間の関係に、ネガティブな効果をもたらしていることも分かっています。
さらに興味深いことに、SNS内における注意散漫の度合いとSNS中毒に関連があるという事実も。つまり、SNS内で行動を頻繁に切り替える人ほど、SNS中毒に陥っている可能性が高いということです。
SNS内に用意された多種多様な場所へ次々と移動
SNSを頻繁に利用する人は、SNS疲れを解消したい時、それを閉じるよりも、むしろその内部に長く留まろうとする傾向がありました。SNSのヘビーユーザーであればあるほど、ストレッサーへの対処行動として気を紛らわすためにSNSを使い続ける傾向が強いのです。
研究チームは、これらの要因を、ユーザーがSNSにストレスを感じた時、そのプラットフォームの別のエリアへ移動して、異なる方法で利用することができるからではないかと推測しています。
SNSでできることは一つではありません。例えば友だちの行動をフォローしたり、日々のアクティビティについての写真を投稿したり、チャットをしたり、ゲームをしたり…と、ユーザーは同じアプリケーション内から、多種多様な場所へ次々と移動することができます。
このようなSNSの多様性が、SNS疲れを感じている人をさらに引き止めてしまうのだと研究チームは結論付けています。
ストレスを引き起こす環境が存在する時、そのストレスに対処する手段として、その環境に留まり続けるとは、なんとも不可思議な現象ですね。アルコール依存やギャンブル依存などの中毒症状に通じるものを感じます。
お酒、タバコ、ギャンブル、ショッピング、それにSNS。これらすべてに共通する合言葉は、「ほどほどが肝心」ということなのかもしれません。
reference: docwirenews / written by まりえってぃ
提供元・ナゾロジー
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