今から10年前、太平洋南西部の海底で奇妙なヒトデ様生物が捕獲されました。
この生物は、ヘビのような長い腕を持つ「クモヒトデ」に似ていますが、中央に生えそろった歯など、明らかに様子が違っていました。
その後、生物は「オフィオジュラ(Ophiojura)」という学名が与えられ、新種として記載されています。
そして今回、国際研究チームの調査により、オフィオジュラは約1億8000万年前の恐竜時代の生き残りであることが新たに判明したのです。
研究は、6月16日付けで科学雑誌『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。
DNA調査で「恐竜時代の生き残り」と判明!
オフィオジュラは2011年に、オーストラリア東方の島ニューカレドニアの東200キロ、水深500メートルにある海山「バンク・デュラン(Banc Durand)」で回収されました。
棘に覆われた10センチほどの腕が8本と、中央に鋭い歯の生えた円状のアゴが1つ、それを囲むようにして別のアゴが8組あります。
全体の容姿はクモヒトデに似ていますが、オフィオジュラは新科・新属の新種で、標本もこれ一つしか存在しません。
ミュージアム・ビクトリアの海洋生物学者で、本研究主任のティム・オハラ(Tim O’Hara)氏は「2015年に初めて標本を見た瞬間に、現存するヒトデとは異なる特別な存在であると確信した」と言います。
そこでオハラ氏と研究チームは、オフィオジュラの遺伝子分析を行い、現生するクモヒトデやヒトデのDNAと比較。
その結果、オフィオジュラは、現存するクモヒトデの中で最も近縁の種と約1億8000万年の進化の差があると判明したのです。
つまり、彼らの最後の共通祖先は、恐竜が存在した三畳紀かジュラ紀の初期に生きていたことになります。
おそらく、オフィオジュラだけが細々と進化を続け、今日まで生き残ったようです。
また、フランス北部のジュラ紀(1億8千万年前)の堆積層から、オフィオジュラによく似た化石が見つかっており、この生物が太古の存在である可能性を高めています。
一方で、海底での標本は一つしか見つかっていないため、今も種として生きているのかは分かりません。
オフィオジュラは、熱帯海域の水深200〜1000メートル付近にある海山に分布すると考えられており、研究チームは7月と8月に大規模探索を実施する予定です。
場所はインド洋東部のクリスマス島とココス諸島の周辺で、45日間の海底探査を計画しています。
参考文献
Bizarre Deep-Sea Creature Bristling With Teeth Is ‘Totally Unique’, Scientist Says
元論文
Relict from the Jurassic: new family of brittle-stars from a New Caledonian seamount
提供元・ナゾロジー
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