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島国である日本は、大小様々な「島」を持つ国だ。
しかし世界に目を向けてみれば、それとは比較にならないほどの多くの島が海に浮かんでおり、中には不思議でユニークな魅力や特徴を持つ「島」がたくさん存在している。
ここでは、世界中で他に例のない特徴を持つ「10の島」を紹介する。興味を惹かれた場所にこの夏訪れてみるのもいいだろう。しかし中には危険すぎて訪れることもできない場所もあるので、注意が必要だ。
1.ソロモン諸島の「金髪」
南太平洋に浮かぶ「ソロモン諸島」の住人のおよそ10%は、生まれつき「金髪」だ。この珍しい現象の要因は、魚中心の食事による突然変異であると考えられている。ヨーロッパからの探検家や行商人から遺伝子を受け継いだ者もいると考えられてきたが、スタンフォード大学の研究によってこれが否定された。
研究によると、ヨーロッパ人のブロンドヘアーと、この島のブロンドヘアーを発現させる遺伝子はまったく異なるとのことだ。研究では島民1,000人の唾液サンプルも採取されており、これにより彼らの金髪が「TYRP1」と呼ばれる遺伝子によるものであることが判明している。
2.日本の「うさぎ天国」
日本では知っている人も多いかもしれない。瀬戸内海に浮かぶ広島県竹原市「大久野島」には、数え切れないほどのうさぎが生息している。観光客はうさぎと触れ合うことが許されており、毎年多くのうさぎファンがこの場所を訪れている。
ここにはうさぎを襲う天敵が存在していないため、こうした自然の「うさぎ天国」が出来上がった。しかしながらこの島の歴史を知れば、ここを天国と名付けるのは心苦しくなってしまう。なんとこの島ではかつて、毒ガスの製造、実験がおこなわれていたのだ。
第2次世界大戦の際に大日本帝国軍が秘密裏に化学兵器の製造を進めたのがこの島であり、うさぎはおそらく動物実験に用いられたと考えられている。
3.統治国家が6ヶ月ごとに変わる島
縦に200メートル横に40メートルの小さな「フェザント島」は、地球上で最も興味深い場所の1つに数えられている。大西洋へと流れ込むビダソア川に浮かぶこの島は、ちょうどフランスとスペインの国境に位置している。
三十年戦争の終結をもたらした、ピレネー条約の締結が行われたのがこのフェザント島であり、条約によれば、この島はスペインとフランスの共同統治となっているが、両国は6ヶ月ごとに統治を交代する運用をおこなっている。
ちなみに2月1日~7月31日までがスペイン統治下であり、8月1日~1月30日までがフランスの担当となっている。
4.キャッシュレスの時代に「石貨」を使う島
ミクロネシア連邦に属する「ヤップ島」では、石の硬貨が使用されていることで有名だ。この「石貨」のほとんどはドーナツ型をしており、直径が4メートルに及ぶものまである。
石はお隣の島、パラオ諸島から調達しており、カヌーやボートを用いてヤップ島まで運ばれる。信じられないかもしれないが、そうした苦労を経てまでヤップ島の人々は今もなお取引にこの石貨を用いているのだ。
しかし、石は重すぎて動かせないため、所有権の移転は口頭でのみおこなわれる。そのため、たとえ運搬の途中で石貨が海に沈んだとしても取引は有効であると言われている。
5.「恐怖心」をなくしたガラパゴスの動物たち
「生きた実験室」と呼ばれることもある「ガラパゴス諸島」には、独特の生態系が息づいている。エクアドルの西部に浮かぶこの島は、本島からおよそ600マイル(約1000キロメートル)離れた場所にある。
この島を訪れた最も有名な人物は、間違いなくチャールズ・ダーウィンだろう。彼が最も強く心を惹かれたこの島の特徴の1つとして、動物たちが驚くほどに人に慣れており、「恐れ」のサインをみせなかったといったといった点がある。
これは、島に捕食者が存在していないことが要因であると考えられるが、なぜ捕食者がいなくなったのか、その理由については今でも議論が交わされている。
6.世界一カワイイ領土争い?
デンマーク自治領グリーンランドと、カナダの国境に位置するネアズ海峡にその「ハンス島」はある。およそ半マイル(約800メートル)四方の小さな島を巡って、両国が領有権を争っている。
とはいえ、両国は銃や爆弾を用いて強硬策をとっているわけではない。彼らはより平和的かつあいまいな方法で、この島を巡る領有権をおよそ100年にわたって主張し続けている。
デンマーク人は島を訪れると、自国の蒸留酒「シュナップス」のボトルを置いて帰り、カナダの軍隊が島を訪れた際にはそれを「カナディアン・クラブ(ウイスキー)」に置き換えるのだ。これを繰り返している両国だが、どうすればこの争いに終止符が打たれるのかは誰にも分からない。
7.色のない島
南太平洋に浮かぶミクロネシア諸島「ピンゲラップ島」は、別名「The Island of the Colorblind(色を識別しない人たちの島)」と呼ばれている。これは、島民のおよそ10%が、色をまったく感じることができない「全色盲」であることに由来している。
18世紀に島を激しい嵐が襲い、その生存者は王を含めてたったの20人とされ、その王が持っていたレアな遺伝子が子孫に受け継がれて今の状態が作り出されたと信じられている。
世界的にみれば数万人に1人とされる「全色盲」が、島民の1割に及んでいるのであるから偶然では片付けられない。ちなみに全色盲は夜の暗闇でも比較的視界がハッキリとしており、これを利用して全色盲の島民は暗くなってから夜釣りに出かけるとのことだ。
8.世にも珍しい「口笛」で会話する島
「シルボ・ゴメーロ(silbo gomero)」として知られる「口笛言語」が用いられている島が、スペイン自治州カナリア諸島に属する「ゴメラ島」だ。この島の住民は指笛を用いて、遠い距離でもコミュニケーションを図ることができる。
こうした言語は、16世紀にスペインから入植者がやってくる以前から存在していたと信じられており、不安定な島の地形の中でも簡単に意思疎通できる手段として一般的になったことが考えられる。
しかし、このユニークな言語は電話の導入やテクノロジーの発達によって使用頻度が減少しており、これを受けて2009年、ユネスコはこの口笛言語を無形文化財として認定した。
9.ブラジルの「毒ヘビ島」
ブラジルはサンパウロ付近の海岸からおよそ25マイル(約40キロメートル)離れた場所に、その「ケイマーダ・グランデ島」はある。この島は、地球上で最も「毒々しい場所」の1つとして知られている。
なんとこの島、大量のヘビのすみかとなっているのだ。それもただのヘビではない。そこには、最強の猛毒ヘビとして名高いゴールデン・ランスヘッド・ヴァイパーをはじめとした毒ヘビがところ狭しとせめぎ合っているのだ。
1平方メートルにおよそ1匹のヘビが生息しているため、ほとんど逃げ場はないと言っていいだろう。そしてゴールデン・ランスヘッド・ヴァイパーの毒性は半端ではなく、噛まれた瞬間に楽になることができる。
島に足を踏み入れることは政府によって禁止されているが、政府とブラジル海軍の許可があれば訪れることが可能だ。この島が「毒ヘビ島」となった要因については諸説あるが、一説によれば、海賊が財宝を隠すために毒ヘビを放ったとも言われている。非常に少年心をくすぐる話ではあるが、バカなマネだけはしないようにしておこう。
10.悲劇が生んだペンギンの自治政府
アルゼンチンとイギリスとの間で領有権が争われている「フォークランド諸島」には、1982年にアルゼンチン軍が突如として侵攻した際に、イギリス軍を対象とした30,000もの地雷が埋められた。
フォークランド紛争はイギリス軍の勝利に終わり、イギリスは領土を保持することに成功したが、地雷の撤去は困難を極め、多くの犠牲者が発生したために中止となった。
危険であることに変わりはないが、地雷はペンギンの体重では作動せず、人間の立ち入りは禁止されているため、ここにはジェンツーペンギンとマゼランペンギンによる自治政府が設立される結果となった。絶対に人間による干渉を受けることのないこの場所は、皮肉ではあるが彼らにとっては楽園なのかもしれない。
reference: unbelievable-facts
提供元・ナゾロジー
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