貯金1,000万円をひとつの目標としている人もいるだろう。しかしこれは何もせずに簡単に貯められる金額ではない。どうしたら確実に効率良く貯められるのだろうか。今回は貯金1,000万円を達成する方法と貯まったあとの賢い使い方について紹介していこう。

貯金1,000万円を貯められる人の4つの共通点 メリハリ、支出管理、無駄遣いNG、先取貯金

一般的に、収入の多い人の方がお金を貯めやすい。しかしネットの情報などを見ていると、実際に1,000万円貯めた人は高収入の人ばかりではないようだ。高収入でも支出が多く、貯金がないという場合もある。

つまり、収入と貯金額に相関関係はあっても、収入が増えるから貯金も増えるという単純な結びつきではないのだ。口コミなどを見てみると貯金1,000万円を達成した人には、いくつかの共通点がある。その共通点を解説していくので、自分の貯金にも役立ててほしい。

共通点1,お金の使い方にメリハリがある

貯金ができる人は家族旅行や資格取得のための勉強などにはある程度思い切って使うが、その分早めの予約で交通費を抑えたり、普段の食事代や通信費などを見直したりして削れる部分を節約しているようだ。

具体的には自分のスキルの向上や家族との時間などには惜しまずお金を使い、ランチ代やコーヒー代など日常の出費から徐々に削っていくといった方法だ。ランチをお弁当に変えるだけで約500円の節約になり、20日間続ければ約1万円節約できる。

メリハリのある使い方をすることで、我慢の連続ではなくなり、貯金も続けやすくなるはずだ。

共通点2,何にお金を使っているか把握している

貯金を始めるのならば、自分が何にお金を使っているかは最低限把握しておきたい。貯金1,000万円を達成する人は家計簿をつけたり、支払いをクレジットカードで一本化して明細を見たりなどさまざまな方法で支出のモニタリングをしているようだ。

支出を把握していれば月の前半でお金を使いすぎても、後半は支出を抑えるといった対策ができる。何にどのくらい使っているかわからないと、日々の支出の中で何が節約できて、何が節約できないかも把握できない。

貯金するお金が「なんとなく」残らなかったり、家計が赤字になってボーナスで補填したり……という事態にもなりかねない。

近年は「Zaim」「マネーフォワードME」に代表されるような家計簿アプリも多く登場している。レシートを撮影するだけで手軽に家計簿がつけられるほか、クレジットカードやモバイル決済とも連動して支出全体を把握することができるので、活用していきたいところだ。

共通点3,小さな無駄遣いをしない

貯金1,000万円を達成できた人は小さな金額でも無駄遣いをしないようにしている。代表的なものが「ラテマネー」だ。例えば、通勤前などにカフェで1杯400円のコーヒーを毎日飲むと、1年間の支出は14万6,000円にもなる。1杯のコーヒーでも積み重なれば大きな支出になってしまう。

1,000万円を貯められる人はこのように小さな無駄遣いをしないよう、コーヒーをマイボトルに入れて持ち歩いたり、不要にカフェに行かないような環境づくりをしているようだ。

共通点4,貯金を先取りしている

確実に貯金をするために有効なのは、先取り貯金である。貯金1,000万円を達成した人の多くが、実践しているよう。これは給与口座からあらかじめ一定額を貯金用に別の口座へ移し、給与を使う前に貯金してしまう方法だ。

最初から給料が少なればその金額で生活できるように必然的に節約しなければならない。意志に頼るのではなく、貯金できる仕組みを作ってしまう方法だ。

貯金1,000万円を貯める先取り貯金3つの方法 口座を分ける、定期預金、自動積立定期預金

共通点1から4の中で、1,2,3は日々の心がけの側面が大きい。一方で4は今すぐできる。方法がいくつかあるので、まずは貯金初心者でも気軽に始められる3つの方法を解説していく。

先取り貯金の方法1,目的別に口座を分ける

1つ目は目的別に口座を分ける方法だ。口座は「生活費用」「貯金用」「ライフイベント用」などと3つ程度に分けるのがよいだろう。

  • ライフイベント用 住宅の購入資金や子供の学費など
  • 生活費用 毎月使用するお金
  • 貯金口座 残りを貯金用口座

    に入れておこう。貯金用は定期預金口座にしておけば普通預金口座よりも金利面で優遇を受けることができる。

    この方法メリットは生活費を引き出していたら、貯金用のお金も使ってしまった、という事態を避けられる点だ。デメリットは口座をいくつも持った場合、通帳やカードを管理する手間がかかることだろう。

先取り貯金の方法2,定期預金を利用する

貯金を始めても口座からいつでも引き出せる状態だとつい使ってしまうという人は、満期を数年後に設定した定期預金を検討してみるのも手だ。メリットは普通預金よりも金利が高く、満期まで引き出せないため無駄遣いのリスクがない点だ。デメリットは急に多額の現金が必要になった際に簡単に引き出せないことだろう。

定期預金の金利は預入期間5年の場合、メガバンクで0.01%、ネット銀行なら最大で0.3%程度。例えば、大手銀行のみずほ銀行と各社ネット銀行の定期預金の金利を比較してみよう。

【銀行各社の定期預金金利比較】

預入期間 6ヶ月 1年 2年 3年 5年
三菱UFJ銀行 0.01% 0.01% 0.01% 0.01% 0.01%
三井住友銀行 0.01% 0.01% 0.01% 0.01% 0.01%
みずほ銀行 0.01% 0.01% 0.01% 0.01% 0.01%
オリックス銀行 0.15% 0.20% 0.25% 0.30% 0.35%
楽天銀行 0.02% 0.03% 0.03% 0.03% 0.03%
ジャパンネット銀行 0.02% 0.02% 0.02% 0.02% 0.02%
住信SBIネット銀行 0.02% 0.02% 0.02% 0.02% 0.02%
ソニー銀行 0.15% 0.15% 0.02% 0.02% 0.02%

※銀行各社の公式サイトを元に筆者作成
※各社の金利は2020年2月10日時点での数値

普通預金の金利が0.001%ということから考えればみずほ銀行の定期預金の金利も10倍ではあるが、ネット銀行の定期預金金利に比べると低金利。オリックス銀行の場合、5年間預け入れすると金利は0.35%となる。

5年もので500万円預け入れしたとすると、みずほ銀行の場合の金利は500円しかつかないが、オリックス銀行の場合は1万7,500円つく計算だ。

先取り貯金の方法3,銀行の自動積立定期預金を使う

積立定期預金とは、あらかじめ指定した日に指定した額を自動的に積み立てるサービスのこと。例えば、給料日の翌日に3万円、という指定をしておくことで貯金分が自動的に差し引かれる。ボーナス時の増額の指定や、いつもより多く貯金したい時にATMから随時入金するといったことも可能だ。

メリットは、一定額を毎月自動で貯金するため手間が省け、確実に貯金できることだ。一方のデメリットは中途解約すると金利が下がることだろう。

主要な銀行の自動積立定期預金(1年もの)の金利を比較したのが以下の表。最も高いのはソニー銀行の自動積立定期預金で毎月1,000円から預金でき、金利が0.15%つく。

【自動積立定期預金の金利比較表(1年もの)】

銀行名 金利
ソニー銀行 年0.15%
イオン銀行 年0.08%
楽天銀行 年0.03%
ゆうちょ銀行 年0.01%

※各金融機関の公式サイトを元に筆者作成
※各社の金利は2020年2月10日時点での数値

>>ソニー銀行の詳細を見る(公式サイトへ)

貯金1,000万円貯まったら?資産運用の3つの方法 NISA、つみたてNISA、ロボアド投資

これまで1,000万円貯金をするための心構えと具体的な方法を紹介してきた。実際に1,000万円貯まったら何をすべきなのだろうか。まず忘れてはいけないのはペイオフ対策だ。万が一銀行が破綻すると、預金保険制度により元本1,000万円とその利息までが保護されるが、それ以外はカットされる場合がある。そのため、1,000万円以上の貯金は複数の金融機関に貯金を分散するのが望ましい。

また更に資産を増やしたい場合、今まで同様貯金という手もあるが、少額投資を試してみるのもよいだろう。ここからはNISA、つみたてNISA、ロボアド投資など初心者でも気軽にチャレンジできる3つの投資を紹介。資産運用の参考にしてもらいたい。

資産運用の方法1,NISA――短期間で資産を増やしたい、本格的な投資の前に練習したい人

通常、株式や投資信託などで利益を得ると、利益の20.315%に税金がかかる。それに対し、NISA口座内で購入した株式や投資信託から利益を得た場合は非課税となる。購入額は毎年120万円までで、非課税期間は購入から5年間、購入ができるのは2023年までだ。この期間であれば自分で選んだ株式や投資信託を好きな時に購入でき、積立での投資も可能だ。

NISAのメリットは、運用益が非課税であることにより、普通に株などを売買した場合に比べてお得に運用できることだ。デメリットは証券口座と異なり、一人一口座しか開設できない点。また途中で株などを売却して新たに買い付けようとしても、購入枠が足りない場合がある。

NISAでの投資が向いている人は、年間120万円までのまとまったお金を、短期間で増やしたいと考えている人といえるだろう。また、これから投資を本格的に行いたいという場合は、その練習としても適しているはずだ。NISAは、証券会社のほか銀行や農協、生命保険会社などでも取り扱っているが、株式の売買ができるのは証券会社のみとなる。

資産運用の方法2,つみたてNISA――長期で低コスト・低リスクの投資を行いたい人

つみたてNISAは、NISAと同様に利益が非課税となる制度だが、購入できる商品は金融庁が定める173本の投資信託とETFだけ。購入額は毎年40万円までで、非課税期間は購入から20年間、購入できるのは2037年までだ。

つみたてNISAのメリットは毎月一定額を積み立て、長期間非課税で運用できるため、長期・分散・少額という要素を満たし、リスクを低く抑えることが可能ということ。まとまった資金がなくても始められ、毎月自動で買付をしてくれるため、投資の経験がない人でも利用しやすい。また、積み立てた資産はいつでも引き出しができる。一方、デメリットは投資商品が限られていること。NISAのように価格が急騰しづらい銘柄が選定されているため、短期間での資産形成には向かない。つみたてNISAもNISA同様途中で投資信託を売却しても、購入枠は増えないため、新たに買い付けができない場合がある。

つみたてNISAでの投資が向いている人は、投資初心者や、少額をコツコツと長期運用したい人といえるだろう。つみたてNISAは、証券会社、銀行、農協などで取り扱っている。

資産運用の方法3,ロボアド投資――忙しく投資に手間をかけられない人

ロボアド(ロボットアドバイザー)とは、人工知能(AI)が投資に関するアドバイスをしたり、人に代わって投資を一任してくれたりするサービスだ。スマホなどで簡単な質問に答えると投資のアドバイスを提案してくれる「アドバイス型」、最初の投資額を決めればその後は代わりに投資をしてくれる「投資一任型」がある。利益には20.315%が課税されるが、アドバイス型なら自分で購入するためNISA口座での購入も可能だ。

ロボアド投資のメリットは毎月一定額を積立でき手間がかからないことや、自分で商品を選ぶ必要がないため初心者でも気軽に投資できることだろう。一方デメリットは、ロボアドによっては税金や手数料などの運用コストが比較的高くなることがあげられる。例えば「WealthNavi」の手数料は1%となっているが、つみたてNISAの投資信託なら売買時の手数料は無料、信託報酬も国内インデックス型の場合は0.5%以下となっている。

ロボアドでの投資が向いている人は、手間をかけずに投資したい人や投資初心者、25年や30年といった長期にわたり運用したい人などだ。ロボアドは、証券会社や銀行、ロボアド投資のみを行うフィンテック企業などが取り扱っている。

「アドバイス型」には松井証券の「投信工房」、SBI証券の「SBI-ファンドロボ」「投資一任型」には楽天証券の「楽ラップ」、マネックス証券の「マネラップ」などがあり様々な会社が提供している。

貯金1,000万円貯まったら増やすことも検討しよう

今回紹介した方法で着実に1,000万円を貯めることができたら、その貯金のいくらかを投資に当てるのもよいだろう。しかしNISAやつみたてNISA、ロボアド投資は、銀行での貯金と違い元本保証がないことは忘れてはならない。上手く運用すれば、効率的な資産形成が可能になるかもしれない。

文・MONEY TIMES編集部
 

【関連記事】
iDeCo(イデコ)を40代から始めるのは遅いのか
iDeCo(イデコ)をSBI証券で始める場合の手数料は?他の証券会社と比較
楽天証券でiDeCo(イデコ)を始めるメリット
「楽天ブラックカード」の魅力 最上位クレジットカードのインビテーションや年収条件も紹介
ポイント還元率の高いクレジットカード11選