旅行業に従事している事柄、私は行ったことのない土地の持つ魅力は絶大にあると感じています。初めて訪れる地で、不意に出逢う風景や人物、食す料理に飲む酒...その時その体験が織りなす「知」となって、自らの魂に潤いを与えてくれる、そう信じています。
ズバリ「行ったことない」は十分かつ立派な旅行理由になる!
先日初めて、東北・秋田へ出掛けた際に出逢った景色のいくつかを、ここでぜひ皆さんと共有したいと思います。
知らなかった!八郎潟いろいろ

秋田観光といえば、水深日本一の田沢湖が上位ランキングにきますが、田沢湖と深~い縁でつながる「八郎潟(はちろうがた)」を知っている人は少ないのかもしれません。
八郎潟は、かつて220平方キロメートルもの湖沼面積を誇る、琵琶湖に次ぐ第2位の湖でした。昔々、八郎太郎という若者が、マタギの掟を破った報いに龍の姿に変えられて、放浪の末に棲家として選んだという伝説が名の由来だそうです。昭和30年代に食糧の増産及び農家働き口の問題解決を目的として推進したのが、八郎潟干拓地というビックプロジェクト!当の干拓地は今、170平方キロメートル(東京の山手線がすっぽり入る)という広さを有する「大潟村」になりました。

今回の一押しは、大潟村の上に走る県道298号線にあるこの素晴らしい景色!
県道半分の約11kmにわたり4,000本ほどの染井吉野や八重桜、紅山桜が植えられていて、満開の桜と菜の花が織り成すピンクと黄色の鮮やかなコントラストが最高でした!

男鹿半島の付け根にそびえたつ寒風山。その背後には八郎潟の干拓地が広がっています。

田沢湖畔の潟尻に佇むのは、そう大きくはない漢槎宮(かんさぐう/別名・浮木神社)。流れ着いた巨木を祭ったことを由来するという。(諸説あるが)伝記によれば、龍の姿になった八郎太郎は元々十和田湖に棲み、南祖坊との戦いに破れると、やむを得なく八郎潟の方へ追われた後々、川伝いにこの神社付近から湖に入り、終に湖の主である辰子姫と結ばれて暮らすようになったとか。何と美しいロマンチックな物語でしょう!
八郎潟町生まれの名物・畠栄のあんごま餅

現地の友人宅を訪れた際、もてなしに「あんごま餅」をいただきました。程よいコシの残る白餅(約1.5cm)の上に、その厚み半分くらい小豆の漉し餡が載せてあって、その上にさらにつぶしごまが薄く掛かる三層構造。
見た目はお世辞にも良いと言えないけれど、豊かな味わい、バランスの取れた食感、甘すぎない味。どこか東北人の個性に似たこの名物が、一遍食べたら大好きになりました!
畠栄菓子舗
住所:秋田県南秋田郡八郎潟町中田8-1
TEL:018-875-2719
秘湯と云われる孫六温泉

十和田・八幡平国立公園の乳頭山麓に点在する七つある湯宿は「乳頭温泉郷」と呼ばれています。そのうちの一つ、「孫六温泉」が今回利用した宿です。山の奥に川が凄い勢いで流れていて、その上に掛かる二人通るくらい幅の橋を渡った先に、宿の古びた建物があります。この第一印象が、まさに秘湯!

温泉風呂の造りはとてもシンプル。当宿自慢の源泉を存分にお楽しみくださいと言っているように思える佇まいです。

料理は旬の山の幸をふんだんに使ったものが中心。もちろん名物の「きりたんぽ鍋」が付いていました。休日なのに(二食付きで)一人12,000円で収まって、湯よし、料理よし、の大満足の旅でした。
孫六温泉
住所:秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢国有林3051
TEL:0187-46-222
最後に
今回の旅はコロナ禍の影響でかなり強行的なところがありました。
コロナ終息後には改めて時間を見つけて、東北 ・秋田 のさらなる魅力を深掘りしたいと思います。
文・写真 kenjiroR/提供元・たびこふれ
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