世の中には「1週間長すぎるよ、耐えられないよ。なんで7日間もあるの?」と言う人もいるかもしれません。
なぜ1週間は7日なのでしょう?
そんなの神様が7日で世界を作ったからに決まってんだろうが!
と、憤る宗教家もいるかもしれませんが、科学的な見解としてはどうでしょうか?
地球の自転や公転で1日や1年が決まっているのはいいとして、7つでワンセットという1週間の根拠はなんなのか。
今回はその理由について、解説していきましょう。
やっぱり天体の運行?
私たちにとっての時間は、天体の運行によって決定されています。
1日は誰もが知る通り、地球が1回自転する時間であり、1年は太陽の周りを地球が1周する時間です。これは厳密には365日と4分の1日なので、うるう年の4年に1回、2月に1日追加することで調整をしています。
1カ月は月の満月から次の満月までの周期が29日半と大体30日なので、30で一区切りになっています。ただ、365日を30で割ると5余るので、月には30日の月と、31日の月があるのです。
ここまで理解できる話です。
しかし、ちょっと特殊なのが週の区切りです。なぜ7なのでしょうか?
地球の初期の文明は、天体観測に魅せられていて、惑星と太陽そして月の運行を記録することに熱心でした。
現在のイラクにあたる古代バビロニアは、特に天体観測に力を入れていた国の1つであり、1週間を7日間に定めたのは彼らの功績です。
天体観測する古代国家なら他にも色々あったでしょ、と思う人もいるかもしれませんが、例えば天文学に通じていたエジプトでは1週間が10日間、古代ローマは8日間でした。
バビロニア人にとって7は重要な数字でした。古代国家はいわゆる占星術によって、未来の吉兆を占っていたので、天体の運行は信仰心ともつながりがありました。
彼らにとって、他の星々と異なる動きをする、7つのさまよう星は非常に重要な天体でした。
それが、太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星です。
マジックナンバー7
「惑星」という日本語訳は、ギリシャ語の「さまよう星」から来ています。
太陽系内の惑星は、地球との距離近いため、他のはるか彼方の恒星たちとは異なり、地球の自転に沿ったきれいな円形で夜空を回りません。
特に昔の人達は地球を中心とする天動説で宇宙を考えていたので、惑星は空を自由に動き回る特別な星に見えたのです。
天動説と地動説の星の動きを比較すると、惑星が特別な星に思えたのも理解できます。
バビロニア人たちは、惑星の数と同じ7日間で週を区切り、1ヶ月を4つの週に分割しました。これだと1ヶ月は28日になり、月の満ち欠けとはズレていきますが、彼らはこれを採用しました。
バビロニアは紀元前6世紀から7世紀頃まで中東で支配的な文化で、1時間が60分などの時間の概念も生み出しています。
これはバビロニア人の捕虜になっていたユダヤ人たちにも伝わり、またペルシャ帝国やギリシャ人など周辺の文化にも拡散していきました。
エジプト人は、この惑星の数と調和する7日間の週という文化に魅力を感じて、エジプトも週7日間制を取り入れていきます。
その後、アレキサンダー大王がギリシャから中東全体を支配し、その文化をさらに東のインドにまで広めました。このとき1週間が7日間という考えも同時に広まったと考えられています。
中国に1週間が7日間と伝えたのはインドの功績と考えられています。西遊記に登場する天竺がインドであることを考えると、そうした影響が中国に伝わったのも不思議ではないでしょう。
そして、最後にローマ人がアレキサンダー大王の支配していた領土を征服すると、今度はローマ人も1週間は7日間という文化を取り入れていきます。
帝国に週を7日間に定め、日曜日は祝日と定めたのは紀元前321年のコンスタンティヌス帝でした。
こうして、世界中に広く1週間は7日間という概念が広まったのです。
ただ、7日間というくくりは1年間の長さとはうまく調和していないので、あちこちでズレや矛盾が生じています。しかし、それでも人類はずっとこの周期を長く使い続けています。人類との相性がよかったのでしょうか。
曜日の並び順の意味は?
なんとなく、曜日と惑星は関係あるだろうなというのは、漢字で名前を見たときに誰もが子供の頃から勘づいていたことだと思います。
英語でもSUNDAYは太陽(SUN)ですし、MONDAYは月(MOON)が由来と言われています。
しかし、曜日の並び順は、なんだかメチャクチャなように感じます。
太陽 水 金 月 火 木 土 というのが地球から見た星の並び順でしょう。
ただ、これに気づいた古代の人々は天動説で夜空を見ていました。古代の人々が考えた太陽系の星の並び順はどうなるでしょう?
彼らの考えた惑星と地球の距離の関係は、遠いに順に「土星 木星 火星 太陽 金星 水星 月」という並びでした。
天動説に基づいているとは言え、かなり正確に惑星との距離の関係を古代の人々が理解していたのは驚きです。
しかし、この並び順でも、現在私たちが知る曜日の並び順とは異なります。これはなぜなんでしょう?
これにはいくつか説があります。
1つは天体を音楽のテトラ・コードにあわせて4つおきに拾っていったというもの。
するとたしかに現在の曜日の並び順になります。
天体と音楽を結びつけるという発想は、古代のギリシャやピタゴラス、ケプラーなどの研究者も持っていたものでした。
ピタゴラスは特に音楽と数学の関係性にも気づいていて、調和する音は弦を整数比で区切った場合ということも発見しています。
ピタゴラスは、天体の軌道が整数比で構成されていて、天体が軌道を巡ると宇宙に音楽が鳴り響くと考えていたそうです。
もう1つの説は、古代の人々が曜日とともに、1日の24時間も7つの惑星によって区切っていたというものです。
彼らにとって遠い土星が週の第1日目の1時を支配する惑星と言う考えでした。そしてそこから24時間をこの星の並び順に振り分けていきました。
すると第2日目の1時を支配する惑星は太陽になるのです。これを繰り返して、1週間それぞれの日の1時を支配する惑星を並べていくと…
そう、馴染みある現在の1週間の並び順になるというわけです。
こうして見ると、1週間が7日間というのは長い人類の文化に関わる深い理由があるのです。
半端な区切り方がうざいとか、長いとか言わずに、人類の歴史を感じながら1週間を乗り切っていきましょう。
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功