住宅ローンを組んでいる人であれば一度は考えるのが「借り換え」だ。金利が低い現在であればなおさらだろう。借り入れ金利を下げることができれば、それだけ返済が楽になる。

しかし、現在借りている銀行で借り換えることができれば、またあの面倒な手続きをしなくて良いのではないか。もしかしたら借り換えに掛かる諸費用も節約できるのではないかと考える人もいるだろう。果たして同じ銀行で住宅ローンを借り換えることはできるのだろうか。

同じ銀行で住宅ローンの借り換えは可能か

結論から言ってしまえば、同一の銀行で住宅ローンの借り換えはできない。そもそも「ローンの借り換え」はA銀行から借りているローン残高と同額のローンをB銀行で別の有利な条件で借り、そのお金でA銀行のローンを完済するというものだ。A銀行のローンはなくなってB銀行のローンが残るから結果的として借り換えたことになる。

A銀行から同額のローンをA銀行から借り換えるということを可能にしてしまうと、ユーザーは常に最新の、有利な金利でローンを「更新」できるようになってしまう。これはA銀行からしたら何の特にならない、むしろ損をするだけの手続きになってしまうのだ。

そのため、基本的に同じ銀行から住宅ローンの借り換えはできないことになっている。

別商品ローンで借り換えが可能なケースも

同一の銀行で住宅ローンの借り換えはできないことになっているが、同じ銀行で取り扱っている住宅ローンが複数ある場合、異なる住宅ローンに借り換えるということが可能なこともある。

別商品なら借り換え可能

◎◎銀行 Xタイプ住宅ローン→◎◎銀行 Yタイプ住宅ローン

しかし、別の住宅ローンに借り換えるということは事務手数料や印紙税などの諸費用が発生してしまうだけでなく、書類の作成、ローンの審査など別の銀行で借り換えるのとやることは変わらない。別の銀行で借り換えたほうが、より良い条件になるケースもあるだろう。

絶対に同じ銀行で借り直したいという特別な事情がない限り、同じ銀行の別商品の住宅ローンで借り換えるというメリットはあまりないのだ。

契約中の住宅ローンの金利を下げてもらうことができるケースも

しかし、場合によっては契約中のローンの金利を引き下げられる方法がある。その方法は「他銀行への借り換えを材料に、現行ローンの金利の引き下げ交渉をする」というものだ。

「ほかの銀行へ借り換えを検討しているのですが、金利の引き下げはできませんか?」といったように交渉することで、現在契約している住宅ローンの見直しをしてくれるのだ。

なぜ交渉できるのか

銀行は住宅ローンを貸し付けることで利息収入を得ることができる。住宅ローンというのは長期で組むのが通常であり、返済期間が長ければ長いほど、金額が大きければ大きいほど利息収入は大きくなる。

他銀行に借り換えられて数百万円以上の利息収入がなくなるのであれば、利息の見直しをした方が収入は減るがなくなるよりはマシ、というわけだ。しかし、銀行の方針や状況によっては、こういった交渉は一切受けつけないという場合もある。

このような金利の引き下げ交渉を一度受けてしまうと、他の顧客に対しても同様の対応をしなくてはいけなくなるためだ。しかも、こういった場合はその後の担当者との関係が気まずい雰囲気になることもあるだろう。断られたらそのまま他銀行に借り換えてしまったほうが良い。

住宅ローン見直しのメリット・デメリット

ここまでして住宅ローンの見直しを交渉する場合のメリットとデメリットを見てみよう。

メリット

  • 借り換えによって発生する諸費用が節約できる
  • 借り換えによって発生する書類手続きの手間が発生しない
  • 金利が下がるので返済総額や月々の負担が軽減できる

    とくに上の2つは住宅ローンの見直しで得られる最大のメリットだろう。通常、住宅ローンの借り換えでは事務手数料や保証料などで数十万円~数百万円の費用が発生する。住宅ローンの金利見直しだけであれば、これらの費用を節約できるのだ。

    また、本来であれば書類の作成、審査などで時間がかかるのを短縮できるのもメリットだろう。借り換えであれば、最初に借りた時の煩わしい期間を再び過ごさなくてはいけないが、住宅ローンの見直しであれば審査はないのでその心配もない。

    金利が下がって支払総額や月々の負担が軽くなるのは他の銀行で借り換えても同じことだが、契約に係る面倒な手続きがないのは大きなメリットといえるだろう。

デメリット

・銀行担当者との関係が悪化する可能性がある
デメリットとしてはそこまで大きなものではない。単純に銀行担当者との関係が悪化する可能性があるだけだ。銀行担当者に「他銀行に借り換えするから金利を下げろ」と言ったからには、ダメだった場合は借り換えを実行する必要がある。

このようなことを言われれば銀行担当者も良い気分ではないだろうし、お互いに気まずい。しかし、忘れてはならないのは銀行担当者と仲良くなるために住宅ローンを借りているわけではないということだ。そのまま借り換えないでいるメリットはどこにもない。ダメならダメで、スパッと他の銀行に借り換えをしてしまおう。

ポイントは具体性を持った交渉

単純に「借り換えを検討している」と言っても、取り合ってくれないこともある。そのため、交渉は具体的な材料を持って臨みたいところだ。本当に借り換える意思があるということを相手に見せることで、交渉のテーブルに付かせるのだ。

つまり、本当に借り換えるつもりで実際に事前審査まで申し込んでしまうのだ。そして、以下のものを提示してしまおう。

  • 借り換え先の銀行名
  • 借り換え先住宅ローン商品名
  • 借り換え予定の時期
  • 借り換え先の金利

    ここまで用意されていれば銀行担当者も話を聞くしかなくなるので、後は「のるかそるか」である。

交渉の手順 4つのステップ

1 借り換え先の銀行と住宅ローンを決定する

まずは本当に借り換えるのであればどの銀行にするかを選定しよう。この検討は本気で行うこと。なぜなら、現在借りている銀行が金利交渉にNOと答えた場合は、実際に借り換えるのはこの銀行になるからだ。

2 事前審査を申込む

銀行と住宅ローンが決まったら、実際に事前審査に申し込む。事前審査では返済能力が確認される。ここでも多少用意する書類が出てくるが、本審査ほどではないのですぐに準備できるだろう。

3 借入中の銀行担当者に金利交渉を申し出る

事前審査に通ったらいよいよ銀行担当者に金利交渉の申し出を行う。

「◯◯銀行への借り換えを検討しています。すでに事前審査は通過しており、金利が0.9%なので現在よりも0.5%金利が下がる見込みです。御社のサービスには満足しているので、金利さえ同じなら借り換えはしないつもりですが、ご相談可能でしょうか?」

といった内容で銀行担当者に連絡を取ろう。ポイントは事前審査まで通過しているという点だ。ここまで来ていれば相手も「本気だ」ということを察してくれる。実際に交渉できるかどうかは別問題になるが、ここまでくれば下準備は完璧だろう。

4 銀行担当者から回答が来る

銀行担当者からの回答は以下のどちらかになることが予想される。

「当行では金利の引き下げを行うことはできません」\

「残念ながら、お客様のご希望の金利まで引き下げを行うことはできません。1.2%まででしたら引き下げられます」
→そのまま他行で借り換えを実行

「当行としてもお客様とのお付き合いを続けたいため、金利を引き下げさせていただきます」
→借り換えはせずに、現行契約の見直しをしてもらう

交渉を成功させるポイント

交渉はあくまでも丁寧に行うこと

ほかの銀行の事前に通過したからと言って、高圧的な物言いでの交渉はNGだ。相手も人間、気分が悪くなれば下がるものも下がらないこともある。交渉時は相手をリスペクトした言葉を選んで交渉に臨もう。

実際に借り換える意思があることを表明すること

「ほかの銀行が安いから金利を下げて欲しい」では交渉にすらならない可能性が高い。あくまで、今回金利が下がらなければ他行へ借り換えるつもりだということを相手に表明すること。そのためにも、実際に借り換える候補銀行の事前審査は通過しておくと真実味が増す。

交渉は3月と9月が狙い目

タイミングによっても交渉の成否が変わることもある。銀行は3月と9月が期末に当たる。この時期になると、住宅ローンの融資目標を達成するために金利交渉に応じてくれる可能性が高くなる。

交渉時の注意点

中途半端に妥協しない

銀行によっては「希望の金利まで下げることはできないが、◯%までなら下げることはできる」という条件を出してくるところもある。しかし、これに乗ってはいけない。他の銀行で借りればもっと下げられるものをわざわざ妥協する必要はないのだ。

希望金利に届かなければ借り換えれば良いだけの話であり、こちらの希望金利を明確にしたうえで、一切妥協はしないことが重要だ。

金利の引き下げにも再審査はある

契約条件の見直し、金利の引き下げだけならば特に審査はないと考えるかもしれないが、金利の引き下げにも審査はある。なぜなら、金利というのはその人の信用によって決まるからだ。返済の見込みが高いのであれば、低金利でも貸し付けることができる。

しかし、返済してくれるか怪しい人には高い金利で貸し付けるのがローンの基本だ。金利交渉によって金利を引き下げるということは、その金利に見合うだけの返済能力があるのか再審査を受けるということ意味するのだ。

そのため、これまで返済の遅れがあったり、転職していたり、年収が下がっていたりすると審査でマイナスに響く可能性があるので注意が必要だ。

文・ZUU online編集部
 

【関連記事】
ネット証券は情報の宝庫?日経新聞から四季報まですべて閲覧可!?(PR)
40代で「がん保険」は必要か?
40歳から効率的にお金を貯めるための6つのステップ
共働きの妻が産休・育休中でも夫の「配偶者控除」を受けられる 意外と知らない節税法
40代が知っておきたい保険の知識まとめ