宇宙にある天体の中で「畏怖」を感じるのはブラックホールだろう。

ブラックホールとは質量が太陽の30倍以上の恒星がその寿命を終えた時に生まれ変わる高密度の天体とされており、光すらも脱出することのできない巨大な重力を持っている。

このブラックホールを理論上で最初に提唱したのはカール・シュバルツシルト(ドイツの天文学者)である。彼はアインシュタインが発表した一般相対性理論からその存在を導き出し、1916年にその方程式を発表している。これがシュバルツシルト解であるが、内容は複雑なためここでは割愛する。

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その後研究技術が進んでいき、恒星の寿命が尽きる際に起きる超新星爆発でできた高密度の天体が天体自身の重力に耐えきれず、中心に収縮することで時空に歪みが生じて穴が生まれることがわかった。理論でしか講じていなかったブラックホールの存在が実際に存在することが証明されたのである。

ちなみに「ブラックホール」という単語が生まれる前の天体の名称は「ダークスター」「gravitionally collapsed object(重力的に崩壊した物体)」などと定まっていなかったが、1960年代中期にアメリカで発行された科学雑誌に初めて「ブラックホール」が記載された。

それでは本題へ。

2021年現在の時点で、我々人類がいる太陽系から一番近いブラックホールは何なのか。

ヨーロッパ14カ国(フランス・ドイツ・イタリアなど)とブラジルが共同で運営しているヨーロッパ南天天文台(南米チリのラシヤ山に位置している天文台)の研究チームが、地球からおよそ1000光年離れたブラックホールを発見したと2020年5月に発表した。

それがぼうえんきょう座にある「HR 6819」。

研究チームは当初連星(2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動しているもの)に関する研究の一つとしてHR 6819の連星を観測していたのだが、分析していく中で奇妙な軌道が見つかった。さらに詳しく観測を進めた結果、HR 6819は連星をなしているのではなく3つの天体が存在している体系であり、新たなる3つめの天体は太陽の4倍以上の質量をもつブラックホールであることがわかったのだ。

2020年に発表されたもの以前で太陽系に近いブラックホールはいっかくじゅう座X-1で、地球からは約3300光年離れている。つまりHR 6819のブラックホールはいっかくじゅう座X-1よりも約1/3も距離が近いのだ。

ただし1000光年という距離が及ぼす地球への影響は皆無なので、やがて地球を飲み込むとういことはないのでご安心を。

今後もHR 6819よりも地球に近いブラックホールが見つかる可能性は十分あり得る。その場合は新たに更新しよう!ではまた。

提供元・QUIZ BANG

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